伝送便編集委 フランスへ行く (1) 1/2


 
(03/7.29)
 
 

  正確には、郵政全労協フランス訪問団。ただ、そのメンバーの殆どが伝送便編集委員。編集長池田氏、写真のようにちゃっかり自分の争議の“のぼり”まで持って行ってる(^_^;)。
  編集部中枢メンバーがいなくなった為に伝送便7月号の編集はてんやわんや。そのお詫びにと、長大な土産話と膨大な写真の数々。ワインの1本ぐらい持ってこんかい(^^ゞ。
  訪問の目的は、SUD-PTTとの交流と現地の労働運動、大衆運動に直に触れること。
  さて、その成果や如何に。
  まずはその伝送便編集長池田氏直々による訪問記をお届けします。

 
 
 
    これをデジャブ(既視感)というのだろうか。
  パリ郊外の郵便局に一歩足を踏み入れた瞬間、私はふとなつかしい感覚におそわれた。三〇年あまり前、私が集配の仕事していた頃の日本の郵便局、あるいは一昨年訪れた韓国の郵便局、この風景は記憶の中に残るそれらとよく似ていたのだ。
  喧噪と人いきれ、渦巻く笑いと行き交う郵便物、その音、匂い、情景に、なぜか昔に戻ったような感じを覚えたのである。肌の色や飛び交う言葉は違っていても、その雰囲気は世界共通のものだった。

  課長がいない

  6月20日、私たち『伝送便』スタッフ4人はフランスへと旅立った。
  一昨年、来日したフランスの独立郵便労組SUD−PTTを、今度はこちらから訪問して交流し、生の郵便局の実状を見ようというのが主な目的だった。
  2年ぶりに再会したジョン・ピエルさんに案内されてメトロ(地下鉄)に乗りパリ郊外ナイリー市の郵便局を訪れたのは早朝8時すぎ。パリ市外の高級住宅地の中にあるというその郵便局は、日本でいえば普通集配郵便局で職員数は152人、女性はその4割を占める。
  郵便関係職員は全体の8割で、バンク(貯金部門)の職員は17人(ラ・ポストに保険部門はない)、非正規の職員は全体の35%に達するという。
  案内されて郵便局に入ると、まず所長(局長)が笑顔で握手を求めてきた。そして彼は、働いている職員に、日本からの訪問者を紹介するではないか。写真撮影もOK、私たちは1階から3階まですみずみと郵便局見学をさせてもらうことができた。
  まず1階、2階の郵便課。郵便パレットや区分棚など備品類は万国共通なのかあまり変わりはないが、働いている職員が半ズボン、ジーパン、Tシャツ姿、頭にバンダナや帽子をかぶっている。また女性職員、アフリカ系職員が多いのも日本とは違う光景だ。郵便内務では手を休めて区分棚に腰掛けて談笑している職員もいて、区分機械が配備されていないせいか、のんびりした印象を受けた。
  ところが3階の集配課に入ると一転、そこは喧噪と熱気の現場だった。笑い声や怒号が飛び交う中、みな忙しそうに動き回り、郵便物を抱え区分口に放り込む。配達区分口の横幅は大型郵便物が入るサイズで日本より大きく、区分棚の高さも2メートルはあり全体的にビッグサイズ。
  一つの配達区を二人で配達するので区分作業も二人並んでする。ざわざわと雑然としている感じだが、人と言葉が行き交いして活気がある。
  見渡しても管理者らしい人はいない。日本のような労働者を監視するような課長席など見当たらず、みなおもいおもいに自分の担当の仕事をこなしている。突然の来訪にもみな笑顔で迎えてくれる。かつて、日本の郵便局にもこんな活気と笑いがあったはずだと郷愁がよぎる。

  配達は徒歩と自転車

  フランスの人口は日本の約2分の1だが、国土は約1.5倍、郵便物の年間取り扱い量はほぼ同じでフランスが世界2位、日本が3位(1位はアメリカ)だが、一人あたりの郵便物利用数で言えばフランスは3位なのに対し日本は18位となっている(2000年)。
  郵便局数はフランス2万4千局、日本は2万4,800局とやや日本が多いが、職員数はラ・ポスト全体で30万5千人、日本は28万人とやや日本の方が少ない。ところがラ・ポストには保険部門はないので約8割が郵便関係。配達に携わる職員数は15万人という。
  日本はといえば郵便関係職員数が約13万人で配達は8、9万人程度か。非常勤の数を入れていないので単純に比較はできないのだが、とにかく日本の配達関係職員が極端に少ないのは明らかだ。
  日本では過去10年間で総引受物数は9.6%増えたのに対し、郵便事業定員は4.5%も減っている。数字だけをみてもそれは言えるだろう。 
  実際、フランスの郵便配達のやり方も日本とは全くことなっていた。
  パリ市内の配達は基本的にすべて歩きで、配達員はカバンをさげて徒歩で各家をまわるのだ。
  市外地の配達は自転車でラ・ポスト特別仕様の補助車輪の付いた頑丈そうな黄色い自転車で行い、山地など過疎地域は四輪自動車での配達となる。日本で主力の二輪バイクはラ・ポストには存在しないのだ。
  市内の住宅事情、道路事情、あるいは環境問題を考慮しているか、徒歩・自転車配達が主力というのはすばらしいことだと思った。
  聞けば配達はだいたい昼過ぎには終わるという。週35時間労働で1日の労働時間は日本より1時間少ない7時間。残業など考えられない。
  配達物数は日本の都市部の郵便局の一人の半分以下という感じ。それも徒歩、あるいは自転車でだ。いかに日本の郵便局が生産性を上げようと無理な減員をしているのかがわかるというものだ。
  私たちが訪れたナイリー市の郵便局は、市外なので配達は自転車だ。10時すぎに黄色い自転車に乗って女性配達員が一斉に出発するのを見たが、前1個、後ろに2個つけた配達カバンは少し重そうだったが、それでも3時間程度で終了するのだから日本の都市部の配達よりきつくはないのだろう。何より女性がこれだけ多く働いているというのはその証といえる。
  最後にお客さま窓口を見学したが、日本と同様にラ・ポストの各種商品のポスターや自動計量器などがあった。ただ、保険商品やふるさと小包の宣伝がない分、だいぶすっきりしている印象をもった。
  職員には制服はなく、日本のように背後に上司が座っていることもなく、職員は後ろにお客が並んでいるのを気にとめる様子もなく、親切に郵便や貯金業務の応対をしていた。
  ラ・ポストは今年6月に郵便料金を約60円値上げしたという。二年前にも「顧客ニーズにこたえる」「サービス改善」と称して、「確実に翌日配達する」という謳い文句のもと「準速達」郵便を新設、結果として料金の値上げと従来の普通郵便の遅配を生むこととなった。また、人気サッカー選手の写真付きなどオリジナル封筒の窓口営業に力を入れているという。
  ラ・ポストは公社化以降、郵便局利用者の呼称を「顧客」というように改めさせ、職員の意識改革を行ってきている。今は外務員への営業ノルマはないが、郵便収入を上げるため、将来日本のような営業を行う可能性も否定できない。

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