『人事制度改革の基本的考え方』           (02/12.26)
    今10月各組合に提示された『人事制度改革の基本的考え方』。これは来る公社化に向けて当局より提示された新人事システムの概要である。その狙いは、職員間、事業間競争による一掃の格差の拡大をもくろむものである。  
 

クリックで拡大
 <クリックで拡大>

  各事業ごとの業績に反映して給与に格差をもうける。
  確かに、これまでも手当ての差によって実質的に各事業ごとの所得格差はあった。今度は名実共に各事業収益順に格差を付けるという。
  総合坦無制度などはどうなるのだろう?
今一〇月に各組合に提示された『人事制度の基本的な考え方』には、来春の公社化に向けた人事、給与制度の大幅な改革案を総合的にまとめてある。具体的な細かい詰めの作業はもうとっくに水面下
で始まっているのだろうが、この『基本的な考え方』からも、その方向性はよく見えてくる。要は上から下までの競争原理の徹底による総人件費の抑制ということだが、これまでにない要素といえば、上にはより徹底的に厚く(給与面で)する、ということか。

  大きな項目が五つ。
 T 人事制度改革(総論)
 U 人事評価制度改革
 V 任用・育成制度改革
 W 給与制度改革
 X 非常勤制度改革
 各項目ごとに、駆け足でその中身を検討して見よう。
 
  競争に打ち勝つために

  T 人事制度改革(総論)
  総論である。労働集約型事業では、人件費の抑制以外に市場で勝ち残る道はない、という。
  『職員一人ひとりが、主体的、能動的にその能力を最大限に発揮すると共に、生きがいをもって働ける職場環境を確立〜』
  文面には、企業と職員が依存する関係から相互に尊重し合う自律型職員の育成、などとあるが、それならば、事業に巣くう官僚、小官僚、元官僚達を一掃するだけでいい。実際には、職員の能力・実績主義という名の下に、一部の有実績者のみに厚く、大半は人件費の抑制に貢献してもらう。

  U 人事評価制度改革
  毎年のように労務管理の締め付けが行われてきた。一方的に、強権的に。『相互に尊重し合う自律型職員』を徹底的に排除してきた。結果、職場はより上意下達的な官僚主義が蔓延する。・・・そのような職場にしたこれまでのやり方を、労働組合の意見などを参考に一応反省する。
  『新昇格制度は、オープン考課といいながら結果的にはクローズド考課。対話も行われておらず、育成もない』
  人事評価はこれまでのように『人を採点により区別』するのではなく『経営目標達成のためのツール、職員育成のための』ものである。これまでの客観的な評価から、より納得性を重視した評価へ。当局の経営戦略目標に合致した個人目標を持たせるための、職員育成(洗脳)のための道具へ。

  企業戦士の育成

  その評価項目、評価基準は公平性を期すために公開される。例えば、顧客志向、自律志向、チームワーク、品質向上等々。その細目にわたる『評価シート』が作成される。これまでとどう違うのかって?評価項目はさらに細分化され、一つひとつについて、自己評価、一次評価(総務主任等)二次評価(課長等)最終評価(局長)が行われる。
  評価項目が、仕事のできばえとかいう曖昧なものではなく、費用対効果、などと、よりコスト意識を重視した『近代的』なものになっている。
  評価対象者は当然管理者も。その場合最終評価者は郵政局長。上から下まで具体的な評価項目がノルマとなってさらに覆い被さってくる。管理者への評価のしわ寄せはこれまで通り現場へと倍加して押し寄せてくるだろう。

クリックで拡大  
 <クリックで拡大>

  弾力的任用

  V 任用・育成制度改革
  T種U種という国家試験制度による採用は公社ではない。大きく二つの職群に分け、独自に試験を行い採用する。 
 ◎総合職
   ・経営T(文化系)
   ・経営U(理科系)
 ◎一般職
   ・内務区分
    ・外務区分 
  総合職はさらにスペシャリストと一般に分かれるが、前者はいわゆるキャリア組のことだろう。名前を変えただけだ。
  現場には、(郵便・貯金・保険・共通以外に)営業専門コースなどが新設される。ただ、採用後3年後に一度、5〜10年後に再度適正判断・再配置もあり得る。
  志願制昇任選考システムというものを作る。総務主任になりたいやつは待ってないで手を挙げろ。一方では、先の人事評価の結果(3年連続で評価の低いもの)によっては、降任・降格を厳格に行う。実績主義の徹底。
  そのほかには、『専門性の求められる事業分野において』民間からの中途採用、任期付採用制度を取り入れ、任用の弾力化を図ろうとしている。
  
  ボーナスで差別

  W 給与制度改革
  年功要素の縮小(俸給カーブのフラット化)。能力・実績主義。反映は主にボーナスで。そのボーナスを各事業ごとの支給にすることで事業収益ごとの業績も反映。
  内務・外務職俸給表の統合。各種手当て調整額の整理改廃。より能力主義的な手当新設。郵便事業でいえば、郵内外調整額、夜間手当、機動車手当等縮小廃止。
  なお、役職者については、『昇任のインセンティブを増大』させるために、基本給に占める役職調整額の割合を多くする。
  特別昇給制度を廃止。欠格基準の厳格化。
  結果、職員間、役職者の間で年間収入に相当の差が出てくることになる。役職者は上に上がるごとにその昇任のインセンティブを刺激するために益々加算額が増えていく。予算は、『支出中立』(増減額の総額の均衡)の為、上が上がった分当然下は、下がる。

クリックで拡大
 <クリックで拡大>
 
  使い捨て手当?

  X 非常勤制度改革 
  非常勤労働者にとって最大の課題は、雇用の安定。能力、習熟度によって差をつけろとの要求は依然非常勤職員から出てくる。それで何十円時間給が上がるだろう。
  当局はしかし、その要望を飲むようだ。習熟レベルをA〜Cに分け、ランクアップするごとに何十円か時間給が増える。管理は職員並みになる。非常勤育成シートなるものに自らの評価を記す。何十円かの時間給アップを目指して。
  当局にとって基本的に非常勤労働者は安価な労働力でしかない。こなしている仕事は基本的に本務者と変わりはない。であれば堂々と同じ賃金を要求するべきだろう。そのような要求を主張できるようにするためにも、雇用の安定化は欠かせない。日々雇用という制度をこそ真っ先に改正するべきである。

  全体のパイ(予算)は変わらない。その配分により差をもうける。インセンティブという名の下に“上”に更に厚く、“下”により薄く。
  パイが小さくなれば当然“下”は安い労働力に置き換えられる。雇用も賃金も労働条件も、右肩下がり。

  ただし、おそらくは官僚主義的組織、風潮はそのまま残る。JRのように。
  で、職員の志気が上のような人事施策で保たれるのか?

  それで、現郵便事業が維持できうるのだろうか。
  官僚の、官僚による、官僚のための郵便事業は、本当に維持できるのか?

                                              by 多田野 Dave

 
「伝送便は今」のメニューへ
 

 

 

 
【千葉】   郵政の差別任用を撃つ            (02/12.26)
  −非常勤労働者の差別任用、使い捨てを許さない−
 
  昨年の九月三〇日、船橋東郵便局を不当解雇されたゆうメイト、今村久孝さんの第一回解雇撤回裁判が一一月一二日午前一一時より千葉地裁第一〇二号法廷で開かれ、多数の支援の仲間が結集した。
  裁判所側の用意した法廷では傍聴席が少なく、裁判長に立ち見傍聴を強く要求したが、前例がないということで認められず、交代で傍聴した。
  どうも裁判長はこの裁判を書面のやり取りだけで早期結審し、不当判決という筋書きを想定していた節がうかがわれる。あらためて傍聴闘争の重要性を再確認するとともに、裁判長と被告側にこの裁判の重要性を突き付けることが出来たと思う。
  また冒頭、原告代理人の田村弁護士からも、郵政当局がゆうメイトの恣意的なな採用と解雇を繰り返しているため、多数の雇止訴訟が提起され、大きな社会問題になっている中で、本裁判は全国的に注目され、多くの郵政労
働者、ゆうメイトが見守っている旨発言があり、また今後の訴訟手続き・進行にあたっては公開の原則で口頭弁論と書面で行うよう意見表明があった。
  裁判は第一回目ということで訴状及び答弁書の確認、認否が行われた。

  任用行為そのものが無効

  訴状のポイントは、二つの最高裁判所(@昭和三八年四月、東郷小学校事件=地公法事案 A平成六年七月、大阪大学図書館事件=国公法事案)を検討した上で、日々雇用の非常勤職員任用の適法用件は、
 【第一】 恒常的な業務に従事しないこと(一時的、臨時的、突発的、季節的業務であること)
 【第二】 代替的業務に従事すること(特別の習熟、知識、技能、経験を必要としない代替的業務であること)
 【第三】 身分(雇用)及び勤務条件の十分な保証があること(非常勤職員の身分が保障され、それによって安心して自己の職務に専念出来ること)が必要
  であり、それに照らして本件任用行為はいずれの用件をも充たしていないので違法・無効であるとしている。
  そして「無効行為の転換法理」により、本件期限付任用行為が無効なのであるから予定雇用期間の終了をもって退職の意思表示(雇止)をしてもそれは権利濫用として無効になり結局従前の任用と同一条件の勤務関係が存続することになる。  
  結論として、船橋東郵便局長が今村さんに対して行った雇止の意思表示は、無効な期限付任用における期限到来を理由とするものであるから、権利の濫用として無効となる。
 さらに本件雇止は、ILO、一一一号条約(雇用及び職業についての差別的待遇に関する条約)一条及び、同二五八号条約(使用者の発意による雇用の終了に関する条約)第四条に違反し無効であるとする(日本政府は両条約を批准していないが、確立された国際法規として遵守する義務を負い、裁判所も裁判規範として両条約を適用しなければならない)。

  これらは従来のゆうメイト裁判を十分検討した上で、今村弁護団が新たに組み立てた裁判方針である。なお弁護団はこの裁判の重要性から急遽四名体制に強化された。

  ゆうメイト裁判の流れが変わってきた

  一方被告、国側の答弁書は、他のゆうメイト裁判と同様、昭和六三年の名古屋高裁金沢支部判決−福井郵便局事件を引き合いに出し、非常勤職員の期限付任用も一般的には禁止されていないという主張に尽きる。なお答弁書では「無効行為の転換」およびILO条約、無効行為の転換法理等をめぐっての書面でのやりとりとなり、次回は年明け二月二一日午前一一時より五〇二号法廷と決定した。裁判長は超反動ということであり、進行についても決して予断は許されないが、次回も多くの仲間の結集で安易に不当判決を出さない体制作りが求められる。

  ここ数年、郵政の差別的任用制度に対して全国で相次ぐゆうメイトの異議申し立ての中で、雇止をめぐる裁判は岡山中央局池田裁判でかってない成果を勝ち取り、大きな山場にさしかかっている。すでに徳島西局、横浜青葉台局裁判も結審して判決を待つばかりであるが、青葉台の場合、裁判長が判決文を書けないため期日指定が出来ないという事能だまで追い込んでいる。
  横浜港局飯島裁判も郵政全労協議長の証人尋問も実現して、ここにきて明らかにゆうメイト裁判の流れが変わってきた。
  来年四月公社化以降も見据えて、今村裁判を軸にこの流れをさらに大きなうねりにしていきたい。

  労働法制のあり方を問う

  来春の通常国会に向けて現在、厚生労働省労働政策審議会各分科会において、一連の労働法制の規制緩和に向けた具体的論議が始まっている。
  非正規・有期・不安定雇用のさらなる拡大、派遣労働と裁量労働の拡大、首切り自由・解雇・雇止の規制緩和、さらに非正規労働者の均等待遇問題、そして公務員非常勤問題等々。公務員制度改革とあわせて小泉改革の隠された正体が明らかになってきた。これらは我々労働者の今後一〇年を決定する重大問題である。ゆうメイト裁判はこうした流れと深くつながっている。

 (今村さんの不当解雇を撤回する会・土屋)
 カンパ送り先 : 郵便振替 00100-3-117527 かえる会
 連絡先 : 090-3478-5679
 
「伝送便は今」のメニューへ