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採算性の下に切り捨てられたもの     (03.03)
地方での郵政分社民営化の影響

私は広島県北部の中国山地の山あいで行政書士などをしております。
  この地域では約1240平方キロメートルというちょうど東京都23区の倍くらいの地域に約4万人が住んでいるという過疎地域です。もちろん高齢化も進んでいます。
  地域の住民の通信及び金融は郵便局に依存している部分が多く、これまで単一組織であった郵便局員の方々は、色々な権限の中で色々な融通を利かせながら地域住民の生活を守ってくださっていました。
  しかし分社民営化後は「その窓口はあっち、別な会社なので・・・」と非常に不条理な不便さを味わっています。配達などを非正規職員の方に委託し権限がなくなっているのも一因かもしれません。
  行政サービスのワンストップ化などが検討される中、「窓口の細分化はサービスの低下だと言うことが理解できないのか」「民営化してもサービスは低下しません」と言っていたのはなんだったのか、と憤っております。

私どもは国民の権利義務を守るための書類を作り、通知などを代理するなどの仕事を行っています。
  世の中には通知などをきちんと行わないと自分の権利義務が守れないことが非常に多くあります。その点から言っても郵便局は国民の権利義務を守るための、一番身近な公的窓口であり、そもそも民営化してはならないものであったと思います。
  集配局の集約は、書留や内容証明郵便などの権利義務を守るために特に重要な郵便物の窓口の減少につながるのですから、人権侵害の一種ではないかとも思われます。

私どもは業務上必要がある場合遠隔地での戸籍住民票などを取得することがありますが、その料金は郵便小為替で支払うのが一般的です。
  その郵便小為替の手数料が民営化によって10倍になりました。
  いま50円の小為替を取得するのに窓口で150円支払います。世の中で手数料が証券の倍になる例がほかに一般的な例としてあるでしょうか。民営化したにもかかわらず業務を独占し、しかも手数料を10倍にするなんて、公正取引委員会は問題にしないのかと思います。

窓口の減少は地域住民が自分で書類を作成通知する利便を減少させるので、私たち行政書士に仕方なく頼まれる方が増えてきます。為替手数料も実費としてお客様に請求するので、私たちの懐は痛みません。しかし、書類を通して国民の権利を守る仕事をしている私たちとしては自分の利益になるからと見過ごしては矜持に関わる問題だと思っています。

この地域での人気の宿の一つで地域住民に愛されているのはかんぽの郷庄原です。簡易保険の加入のとき必ずかんぽの施設の利用のときのメリットがアピールされてきたはずです。
  そのかんぽの施設を保険契約継続中に譲渡すると言うのは契約違反には当たらないのでしょうか。また看板が代わった宿を地域住民が同じように愛していくでしょうか。

郵政分社民営化によって制服を変え、看板を変え、印刷物を変えるのにも膨大なお金が使われ、膨大な廃棄物が出たはずです。
  そのような色々な無駄遣いをしておきながら、採算性云々といわれても、江の川の鵜のように鵜呑みにすることはできないでしょう。

(広島県庄原市在住 行政書士)