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JPEXへの出向打診が始まった!     (03.03)
ゆうパックペリカン便統合会社

民営化から二年目、日本郵政の前途には早くも暗雲がひろがっている。
  麻生首相の「私は郵政民営化に賛成ではなかった」の発言に象徴されるように、民営化の骨格であったはずの4分社化の見直し論が浮上する中、時を同じくして「かんぽの宿」問題で日本郵政西川社長は窮地に追い込まれる。ついにオリックス不動産への一括譲渡は白紙撤回となり、責任問題も含め西川社長の去就が取り沙汰される状況となっている(後任には旧郵政官僚のドン團副社長の名が浮上)。
  民営化の暗部が露見する中、現実は右往左往しつつ進行する。

いよいよ今年4月1日からペリカン便との宅配便統合会社JPエクスプレス(JPEX)が事業を開始する。
  当初は統一ブランドの下で新宅配便事業を全国スタートする予定であったが二度にわたり実施延期となり完全統合は今年10月となった。この4月からはペリカン便のみがJPEXで先行実施、ゆうパックは8月1日からJPEXへの委託を順次開始するという。
  結局、当初5月中発表とされていたペリカン・ゆうパックに代わる新ブランド名発表も10月にずれ込むこととなった。

 決定的な一年の統合遅れ

スピードが命とされる企業統合においてこの一年間の統合延期は決定的な遅れとなる。
  なぜこうも統合がもたつくのか。そもそも両社の思惑が最初からまるで違ったからにほかならない。
  日通にとって国内宅配便事業は長年赤字部門でありその譲渡先を検討していたところに民営化した日本郵便が渡りに船とばかりに出てきたのである。
  一方の日本郵便はといえば、郵政公社時代に推し進めた国際市場進出がTNTエクスプレスとの提携頓挫により暗礁に乗り上げた後、海外拠点を多く持つ日通に白羽の矢を立てた。合併を足掛かりに国際展開を図りたいという思惑があったのだ。だから成長分野として位置付けていた宅配物流部門をあえて手放しても統合に踏み切ったのである。
  日本郵便にとってJPEXは「戦略会社」であるが、日通にとっては単なる「清算会社」にすぎないのだ。

現実は、日通のガードは固く海外部門はじめ収益部門を手渡す気配はないため、結局国内ペリカン便に限定した譲渡とならざるを得なくなった。新会社JPEXは「小宅急便会社」としてスタートするはめになったのだ。

 負のシナジー効果

「企業に強いペリカン便」と「個人に強いゆうパック」が統合してシナジー効果を発揮するとした新会社であるが、先に発表された「事業戦略」では、「1.同業他社に対する競争力の確保、2.統合により現在よりもサービスダウンとならない、3.類似サービスを統合し、簡素化、の3点を原則としてスタートする」という後ろ向きな内容となっている。
  さらに組織・経営体制でも「スリムでフラットな組織」「コストダウン」「効率的オペレーション」という弱気な「戦略」のオンパレードである。
  当然、人事政策でも「競争の厳しい業界であり、労働諸条件は、宅配便事業の業界水準に見合ったものとし、良質な労働力の確保とコストダウンの要請の両立を図っていく」となるのだ。

JPEX表にあるように、年間労働時間は大幅増、年休は大幅減、病休はなし、歩合制が導入等々、現在の日本郵便会社に比してすべて低位水準化の内容となっている。

 誰かに行ってもらう

すでにJPEXへの出向打診が始まっている。
  4月1日(管理者540名、支社・統括支店160名、ターミナル営業所40名)、7月15日(支店・営業所事務員970名)、8月1日(支店・営業所SD670名、ターミナル事務員50名)、10月1日(支店・営業所SD180名、ターミナル事務員60名、ターミナル作業員220名)という出向スケジュールが明らかにされており、それぞれの発令日に向け管理者による意向確認が行われる。

JP労組は当初「出向は本人同意」と要求して交渉に臨んだが、最終的には「当該社員の意向を最大限尊重する」という会社側回答を得て「組合員の不利益は回避できた」と強弁する。
  原則2年(更新可)という出向であるが「戻れる保証」があるわけではなく、その先には転籍という二文字がちらつく。
  労働条件についても、原則JPEXの就業規則を適用するが特例項目(勤務時間、休暇、給与、賞与、各種保険等)についてはJPの就業規則の内容を保障する措置を講ずるとされるが、運用面での不安はつきまとう。

「社員の意向を尊重」と言いつつ、最終的には必要人数を確保するため半強制的な出向命令が下るのは目に見えている。

 行くも地獄、残るも・・・

同時に現在ペリカン便・ゆうパック配達に携わっている委託・アルバイト労働者にも雇い止めの嵐が押し寄せようとしている。
  両社の統合により現在の配達区域(メッシュ)1万4500が約1万1000へと減少、単純にいって25%効率化されることとなる。
  5月からJPEXの集配拠点に従事する契約社員の意向確認が始まり、6月中に選考が行われる。6月末日には8月1日採用にもれた労働者に対し雇い止め通知が出される。その他支社・統括支店・ターミナル営業所・支店の間接部門の労働者にも意向確認、選考、通知が段階的に行われる。

すでに2月中に日本郵便の全契約社員に対し8月1日のJPEXへの採用に備え、従来4月からの6ヶ月間雇用契約を4ヶ月と変更する旨の通知が行われており、不安がひろがっている。

新会社の社員区分は、正社員が総合職・一般職・SD職、契約社員が歩合給制契約社員、時給制契約社員、エキスパート社員、アルバイトと多分化している。
  差別・分断構造の新会社、これも同業他社を模したものか。

もはや成熟産業といわれる宅配便市場に新たに打って出るJPEX、すでに大きく水をあけられたヤマト・佐川とのシェア争いに勝算はあるのか。新たな経営戦略が見えない中、送り込まれる労働者には地獄が待っているのか。一方、唯一の「成長分野」を引きはがされた日本郵便会社にとって残された道はあるのか。
  混迷する政治、経済の渦中にあって、出帆したての郵政丸は早くも座礁の危機に立たされている。

(東京M)