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郵政民営化の本質─
かんぽの宿のヤミ     (03.03)

 不透明な入札過程

「2400億円の建設費をかけた69の施設が109億円でオリックス不動産に売られる」・「鳥取県のかんぽの宿鳥取岩井を東京の不動産会社が一万円で買い直後に地元の社会福祉法人に6千万円で転売された」。朝日新聞の社説まで動かして問題なしとして闇から闇に葬ろうとした疑惑が次々に表れようとしている。
  鳩山総務大臣が入札手続きの不備を理由に真相解明の方向を示していることも問題の深さを暗示している。息子に議席を譲ると引退を表明した元小泉首相まで直接関係ない「定額給付金で造反するぞ」と麻生に圧力をかけているが「かんぽの宿の究明を止めよ」といっているように聞こえる。
ゆうぽうと世田谷レクセンター  世田谷区にある7500坪の世田谷レクセンターが決定直前に、対象物件からはずされた理由は何か。世田谷の高級住宅街の7500坪である。何もないはずはない。

 矛盾を暴け

なかったはずの埋蔵金が定額給付金の原資として2兆円、第二次補正予算に計上された。特別会計の闇は深く、これまでの財政投融資の財源、郵貯・簡保・年金の闇はとくに深い。収支決算は霞ヶ関の高級官僚以外は誰も知らない。
  そしてこのシステムがあらゆるところでほころびはじめ、新自由主義のカジノ経済が破綻し世界大恐慌に突入しようとしている時代に重なっているのである。したがって絶対に許してはならない不正を明らかにし正していかなければならない。
  もとより私達が知り得る情報は圧倒的に少ない。しかし一つ一つ相手の矛盾をつき、どんな小さいことでも事実を共有しながら運動を広げていく必要がある。

 民営化以前から分捕り合戦

日本郵政の施設売却は民営化を前後してすでに行われていた。
  郵便貯金会館が公式にメルパルクと呼ばれるようになった08年8月以後、宿泊施設を持つ17の郵便貯金会館は六施設が閉鎖され、新たに設立されたメルパルク株式会社に11施設が譲渡されたのである。しかし土地と建物はそれまで運営していた財団法人ゆうちょ財団(旧郵便貯金振興会)が保有したままであり、現在は日本郵政が保有するというなんともいいようのない状況になっているのである。
  ちなみに宿泊施設を持たない会館は山口県の施設を除いて地方自治体に売却された。メルパルクの土地と建物が売却されず営業権だけ譲渡されるという理由は明らかである。株式会社になったとはいえ、旧郵政官僚の天下り先を確保しておく必要性が優先された結果であると思われる。
  営業権がどれだけの価格で取引されたかは不明であるが、郵便貯金会館は、官僚の天下り先として設立されたものであり、職員の全員採用ということは、天下り官僚の職場確保という以上のものではない。逆に言えば民間会社になれば天下り等という概念は基本的に存在しなくなる。
  メルパルク株式会社は目黒雅叙園と共にワタベウエディディング株式会社の100%子会社。本社は京都府にあり資本金41.5億円。結婚式を中心とするサービス業である。

 小泉─竹中路線の精算を

旧郵政省は「郵便貯金の普及宣伝」が目的という建前すら捨てて、バブル期に宿泊施設、温泉、プール等を備えた複合型保養施設を建設した。それは年金積立金を使って、グリーンピア等の大型施設を作り、破綻させ、二束三文で売り払った旧厚生省の構造と全く同じものであった。
東京新聞  グリーンピアがあまりにもひどかったので郵政の保養施設はあまり知られていないが、国立公園内に建設され、他の民間業者の追随を許さない豪華な建物であった。場所は日光霧降、伊勢志摩の二ヶ所。経営が赤字であったかどうかは定かではないが、民営化直前の07年3月に営業を終了した。その後売却されたが、日光は210億円の建設費に対して7億円、伊勢志摩が250億円投じて四億円というものであった。グリーンピアもそうであったが、これは犯罪である。
  日本郵政は少なくとも全経過を国民に対して説明する義務があるはずである。ちなみに日光を買ったのは大江戸温泉物語、伊勢志摩は近畿日本鉄道が取得している。
  郵政民営化の真の目的がかんぽの宿も含めてこうした事実の中にはっきりと表れている。郵貯も簡保も将来に備えて庶民がコツコツと蓄えた資金である。これを一部官僚と大資本がただ同然にかすめ取る。許されることではない。
  郵貯・簡保の300兆円の資金、郵便事業会社・郵便局会社の2.5兆円の不動産を、株を取得することによって得ようとするハゲタカファンドに象徴される人達と、改革と称してこれを後押ししている勢力を許してはならない。

(横山喜一)