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ハラスメント根絶─人権侵害に反撃を     (05.13)
メンタルヘルス問題は入権と生命を守る闘い

郵政職場に於けるパワハラ、セクハラ等の人権侵害は、民営化されてなりをひそめるどころか、全国で悪質な事象がくりかえされている。
  悪辣な人権侵害によって、尊い生命を自ら断つ仲間に、過去私達は胸がつまる思いを味わってきた。
  1999年12月、横浜無配特定局の女性が自殺した事例。
  過労によるうつ病の悪化が原因として遺族が提訴。2004年、公社は和解金6800万円を支払う。
  取材したフリーライターの藤田和恵氏によると、職場で陰湿ないじめが行われていたという。

ずうっと私はメンタルを送っている仲間と係わってきているが、必ずといっていいほど心ないパワハラを体験している。
  自殺を口にし、結果として、完全に守りきれず早期退職を余儀なくされてきた。
  今日、労働─社会問題の大きな課題となっているメンタルヘルス問題は、職場のハラスメント=人権侵害とどう向きあうのかとしてあり、運動の質を高めなければならないと考える。

国の施策の推移と問い

国内の自殺者は1998年から3万人を超えるようになった。
  2000年3月、過労によるうつ病を発症し、自殺。安全配慮義務違反として、1億6800万円の支払いを命ずる電通事件最高裁判決が出された。
  厚労省は、これを機に、精神疾患に関して「労働者個人」から「職場責任」へと責任の所在を明確化し、以下の法整備をはかってきた。

1999年 ・精神障害にかかわる認定基準緩和
  2000年 ・メンタルヘルス指針
  2001年 ・職場における自殺の予防と対応
  2002年 ・過重労働による健康障害防止の総合対策
  2004年 ・職場復帰支援の手引書(1)
  2006年 ・労働安全衛生法の改正
        ・長時間労働者の産業医面接指導
        ・新「メンタルヘルス指針」(2)

今日、労働現場での雇用破壊、劣化と労働者いじめの実態は枚挙にいとまがない。その中で孤立しても、人権を守る闘いが北海道新聞に掲載されている。

(a)2007年、4月23日付。
  札幌40代男性。「アルツハイマー、脳みそおかしい」と言われ、うつ病を発症し退職。「パワハラ」と上司らを提訴。

(b)2007年、10月16日付。
  東京35才男性。「お願いだから消えてくれ、給料泥棒」など上司暴言で自殺。東京地裁が労災認定。

(c)2008年7月1日付。
  愛媛男性42才。パワハラによる自殺。会社に責任、として松山地裁、3100万円賠償命令判決。

資料郵政職場に於いては、民営化になって、求めても経営側は資料を出さなくなっているが、右資料が示しているように精神疾患が大きく増加している。警鐘を打っていかなければならない。

JP労組本部のサボタージュ

公社時代から、地本や中央本部に改正安衛法や新メンタルス指針の活用を求めてきたが、ほとんど無視されてきた。毎年、全国大会で各地の他議員がメンタルヘルス問題の現状の深刻さを訴えても、である。
  昨年12月、全国大会決定要求の中央交渉整理がされた。メンタルヘルス対策について、本部はカウンセリングの類のみ求め、本社は相談窓に開設というレベルの低い回答に終わっている。
  毎年の中央交渉は、復職に関して安全健康規定30条にもとつく就業支援委員会でお茶をにごす程度だ。
  パワハラ、セクハラについても、本部はありきたりの社内啓発、研修を求めるだけで、今さら言うまでもないが、現場と大きく遊離している。

本年3月24日、日本郵政株式会社による"心とからだの健康"計画が出された。
  本部はこれまで政策を求めてきたと奇弁を駆使しているが、経営側は株式会社に限定しての新「メンタルヘルス指針」を適用。ようやく、対症療法から進め、予防療法を充実させていくとし、「ラインによるケア」にもとづく職場環境等の改善や職場復帰支援の具体的フォローについて一定示されている。

しかし、新「メンタルヘルス指針」(2)で抜けおちている大切な中味を3点ほど挙げよう。

事業者(支店長)自らの積極推進の表明の他、職場環境改善等のうち、ハラスメント対策に触れていない。それが、示されれば見せしめ、厳罰主義、管理者等の怒号など、仲間のストレスを増長させる施策を排除する取り組みに連なる。
  更に、職場復帰支援についてだが、安全衛生委の調査審議など組合側が介入できるような媒介を保障させるべきである。
  現在、仲間の復職にあたって、主治医を無視し、専門医─当局の専横領域で決定されてきている実態に歯止めをかけていく必要がある。

他の課題もそうだが、本部は何故厚労省の法、指針等を活用しないのか、無能としか言いようがない。
  「セクハラ防止」についても、均等法11や、厚労省告示615号にもとつく諸規定が3項目ある。
  郵政就業規則では「職場外」も禁止規定の対象としており、支店長による方針明確化の宣言から始めさせなければならないはずだ。

なお、安全衛生委が設置されていない無配など小局職場は、労働協約105条で、安全衛生推進者を中心とした職場ミーティングを4半期に1回以上開催と定めている。
  無配はうつ病疾患の実態が深刻、当地の産業医が安全衛生委で報告しているが、支部による運動のフォローが大切となってくる。
  又、激励、叱責、出張を禁じた北海道支社作成の管理者向けの「メンタルヘルスケア対策」を支部の交渉で活用している。

岩盤をコツコツ叩き続ける取り組みを

焦眉の課題として、仲間の復職を阻む包囲網に対し、どう打開していくか、がある。
  道内の医療機関、先進的な医師グループとの情報交換と支援を求め、領域を広げていく必要がある。

どこもそうかもしれないが、職場は経営側が制圧し、パワハラの元凶が管理者だけでなく、その下の課長代理、班の総務主任と広がり、異常さが蔓延している。
  組合員だから、役職だからハラスメントを擁護することは許されないだろう。
  問題が発生したら、すぐ対応するのが当然で、何度でも是正するまで、要求書をつきつけるなどしつこく求めることで仲間の信頼を得ていくものである。
  特に、パワハラと職場排除が直結している非正規仲間を守ることが緊要である。
  安全衛生委の積極活用、法、通達、規定類、労使確認をふんだんに使っていくこと。

若い頃、各地に労災職業病対策委が活動し、交流して、職場の仲間を守る取り組みに還元されていた。現在、それらが皆無となったが、別の形での交流と学習を広げていく必要がある。
  根気づよく、コツコツ岩盤を叩き続けることが問われている。

(北海道K)