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民営化の歪み、山間過疎地に集中     (08.12)
地域と切り離される郵便局

自民党が惨敗した都議選の翌日、郵便局では選挙の話題でもちきりでした。朝一番で来たお客さまが局長に話しかけました。
  「局長、この前郵便屋さんに振込を持って帰ってくれと頼んだら、会社が違うから持って帰られないと断られたよ。できないのを知っていてあえて頼んだんだが。次の選挙で民主党が勝ったら、民営化が元に戻って前のように郵便屋さんが貯金や振込を預かってくれるようになるかのう。」
  別のお客さまは局に来るたびに、「私は、今度の選挙では絶対自民党には入れんけえね。郵便局は民営化してから不便になった。元に戻してもらわにゃいけん。」と話して帰られました。

地域の生産者と切り離されて

6月になると、とうもろこしの注文の振込が増えます。その振込用紙は局会社の単独チラシのものではありません。とうもろこしは民営化前は私の局で取り扱っていた自局開発のふるさと小包でした。
通販ショップ  今はその取扱い業者は、民営化前に扱っていた顧客名簿でDMを送り、独自に注文をとっているとのことで、郵便局とは全く関係が切れてしまいました。窓口でとうもろこしの振込を扱うたびに、「民営化前なら局の郵便収入になったのに。」とはがゆい思いをしています。
  しかし、はがゆい思いをしているのは、私たちだけではありません。取扱い業者によると、郵便局員が注文をとって歩いていた頃と比べたら、その売上はやはり減少したそうです。
  11月になると毎年お客さまから「りんごの注文をしたい。」「正月のもちの注文がしたい。」と問い合わせがあります。りんごも正月もちも、苦労して開発した商品だったのですが、もう私の局では取り扱っていないので、仕方なく生産者の方を紹介して、直接そちらへ注文をしていただくよう案内をしています。 

手数料ビジネスは共倒れ

民営化前、自局開発のふるさと小包は小さな農家の作物や地域の人が集まって作った加工場の商品を取り扱っていて、大企業のように大きな利益があった訳ではありません。それでも続けて来られたのは、地域の人が地元の商品を買ってくれて、それが地域の振興につながっていたからだと思います。
  ところが民営化してからは、局を通じて商品を売ろうとすると、高い手数料を払って、決められた規格にあったチラシを作成しなくてはならなくなりました。これでは、民営化前に得意先だった小さな農家や加工場は撤退するしかありません。
  そして、得意先を失った旧特定局も民営化後は地元で一番売れ筋の商品を失い、収入源を失ったのです。

量販店の商品よりも

7月になって、ヤマダ電機のテレビや冷蔵庫をカタログで売るようになりました。
  地元にはヤマダ電機はありません。修理に出す時はどうするのだろうかと思います。
  値段は店頭価格より安くなっているそうですが、お年寄りが多い当局の地域では、値段よりアフターサービスで選ぶ人が多いのです。
  先日お客さまに聞いた話では、農協の展示会でテレビが飛ぶように売れたとか。
  農協の電化製品は家電量販店の価格に比べると、かなり高いです。それでも売れるのは、何かあったら農協に電話すればよいという、安心感があるからです。
  お年寄りからしてみれば、農協は自分がよく知っているお店でもあるし、職員さんも知っている人がいるから、とても頼りになるのです。

地域のニーズにあった事業を

郵便局会社の本社は健康食品だの電化製品だのカタログになりそうな物は何でもかんでも売り出そうとしています。
  全国一律にカタログを配布しても、地域によって売れる物と売れない物があります。
  光ファイバーの取次をするよう言われても、ADSLしか来てないような地域にチラシを置いても意味がありません。そんなことをするより、民営化前を振り返って、何がお客さまに喜ばれていたのかを考えることです。
  お客さまは何でもそろうコンビニを郵便局に期待しているとは思えません。地味でも本当にお客さまに必要な物を提供するのが郵便局だったのに、今は儲けのことしか頭にないような会社になってしまいました。
  八月の選挙では自民党を破って、西川や小泉のための郵便局ではなく、国民みんなの郵便局を取り戻したいものだと思います。

(広島某郵便局会社 山村美里)