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JPEX設立で何が起こっているのか     (09.01)
~郵便事業会社A支店の場合~

事業会社A支店は、中規模の普通局です。JPEX設立によりA支店では今後小包は取り扱えないことになります。A支店には数十人の小包関係期間雇用社員(ゆうメイト)がいます。
  この統合決定によりA支店内でどのようなことが起きているかをお話したいと思います。

今回のJPEX設立により、現在事業会社A支店で扱っているゆうパックは近隣の市の「ペリカンセンター」で取り扱うことになります。それに伴い、A支店のゆうメイトは5月下旬までに、「意向確認書(JPEXへの雇用斡旋に関する希望等申出書)」を提出させられました。JPEXへの斡旋を希望するか、事業会社での雇用継続を希望するかの意向調査ですが、それに先立ち行われた業務研修でも、何ら具体的な条件が示されぬままの提出でした。
JPEX
  業務研修では、「ペリカンセンターに、A支店の小包担当ゆうメイトを雇用してほしいという斡旋はできるが、雇用の権限はない」「どうしてもペリカンセンターで仕事をしたければ、辞めてから、求人広告を見て応募するように」「JPEX勤務を希望する場合、B支店、またはC支店に行くことになるが、希望者全員が行けるとは限らない」「A支店の外務には空きがないので、外務で働くことは考えないでほしい」「内務なら少しの空きがある」等の話がありました。
  つまり、仕事は新会社に移るが、人間は移れないのです。

  統合により、小包業務は日通と事業会社の分とを合わせた量になります。それなのに、なぜ、ゆうメイトを、新会社で雇用しないのでしょうか?それは、新しくできる拠点が、日通側事前準備が主導権を持つところと事業会社側が主導権を持つところとに二分されてしまったからなのです。ですから、この問題はA支店だけのものでなく全国規模で発生している問題です。
  A支店は、日通が主導権を持つ地域にあたってしまったのです。

  新しくできる「ペリカンセンター」には雇用の道はない、外務は人員に空きがない、B支店・C支店に行く道は提示されたが、通勤に往復2時間半から3時間かかり実質的に通勤困難である、また、希望者全員が雇用されるわけではない、内務には数名の空きがあるとされるが、内務の賃金では生活が成り立たない。
  これは、実質的な整理解雇に他なりません。しかも、「ペリカンセンター」に欠員が生じることが明らかであるのに、ゆうメイトを雇用しないことは、整理解雇の4要件―解雇回避努力義務―を満たしていません。非正規という立場が、如何に、企業の調整バルブとして使われているか、が如実にわかります。

  逆の立場から考えれば、事業会社側が主導権を持つことになった地域では、日通側に同様の問題が生じていると考えられます。
  なぜ、お互いの職員を雇用しないのでしょうか?経費削減の目的が疑われます。

その後の状況―選別と疑心暗鬼

JPEX設立に伴い、ゆうメイトは09年7月で雇用契約が解除されることになっていましたが、会社は、9月末までの雇用契約延長を申し出てきて、その後、「ペリカンセンターに雇用の道ができた」として、ゆうメイトにセンターに移る意志の確認をしてきました。
雇用を守れ  しかし、センターに何人の雇用枠があるかを明示しないままの、しかも、休みのゆうメイトには電話で聞くほど急いでの確認でした。結果、課長によれば、移行希望者は「ほとんどいなかった」とのことです。

これは、小包の仕事がない事業会社に、数十名のゆうメイトがあふれることを意味します。「雇用は守る」と言っても、現実に仕事はないのです。会社は、どうするつもりなのでしょうか?

  このような状況下、局内ではゆうメイトの「選別」が始まっていると感じます。それはしばらく前から始まった、一日に配達したゆうパック数と超勤時間の記入指示などから感じます。また、あるゆうメイトは課長から「かもめーる」販売を勧奨された際、「査定に響くぞ」と言われたそうです。現在の状況下で「査定」を持ち出すことが、労働者にどのように響くか、課長は意識して言っているのでしょうか?

  業務研修以来局内には重い空気が漂い、今までなかったゆうメイト間の微妙なきしみが感じられます。郵便外務でも「成績の悪い者はクビになる」との噂が流れています。
  今後、局側によく思われていない者・高齢者・仕事が遅い者などが切り捨てられていく可能性があります。

その他の問題点―便乗雇用調整

JPEX設立による、実質的解雇・労働条件切り下げ自体許されないことは言うまでもありませんが、問題はそれにとどまりません。
便乗首切り  JPEX問題と直接関係ない郵便外務でも「成績の悪いものはクビになる」可能性があることからは、この統合に乗じて職員を選別して、社内のスリム化・効率化を図ろうとする会社の意図がうかがえます。

  人間は機械ではないのですから一律ではありません。職員を「会社の都合」のみで選別することは許されないことです。
  今までゆうメイトは会社の事情に合わせて働いてきました。その日の小包の多寡に合わせて残業し、または、残業なしで帰宅し、年末・年始の繁忙期には定時より一時間前に出勤し、小包仕分けを行ってきました。
  また、特殊室ゆうメイトは、民営化後、出勤時間が朝5時に変更されました。
  道順組立ゆうメイトは、数年前「道順組立廃止」を言い渡され、会社の「数名分内務の空きがある」として希望者募集に応募までさせられましたが、「課長の移動により方針が変った」として廃止案自体が撤回されました。しかしここにきて再び廃止の動きが出てきています。
  このように、今まで、会社の事情に合わせて働いてきて、今回の実質的切り捨てとも言える措置に対し、ゆうメイトの中には不満が渦巻いています。

最近の動向―非常識な時間調整

8月に会社は二度目の「意向確認」を行ってきました。「勤務日数、勤務時間の短縮に関する意向調査」というものです。
  調査用紙の概要は、以下の通りです。
・一週平均の勤務時間数を、雇用契約時から一週平均※時間から、※時間にした場合、この条件で引き続き勤務できますか。次の該当する番号に○印を付してください。なお、勤務日数や勤務時間変更に応じていただいても、必ずしも雇用契約を更新できるとは限りません。
  1.雇用更新時において労働条件の変更に応じます。
  2.労働条件の変更には応じられません。
  年月日 名前 押印
 (※にはそれぞれ原行契約労働時会社提示の勤務時間が記入)

  あるゆうメイトは、現在1日6時間、週30時間勤務契約ですが、この「意向調査」では、勤務時間1日4時間、週16時間となり、しかもこの4時間は、はじめ2時間勤務、2時間休み、再度出勤してまた2時間勤務と説明されました。
  また、小包がなくなることにより、業務区分が「混合」でなくなるため、時給自体も下がります。 この条件では社会保険にも加入できません。余りにも大幅な労働条件の「不利益変更」です。
  1.を選択すれば生活が成り立たず、2.を選択すれば雇用が危うい。多くのゆうメイトは提出直前まで悩みました。結果、泣く泣く1.を選択したゆうメイトが多いと思われます。

社会的な糾弾が求められている

この件に関し、会社は,当事者であるゆうメイトに十分な説明をしていません。
  事業会社に残れば、仕事内容・待遇はどうなるのか、JPEXに移ればどうなるのか、その十分な説明がされてこそ、我々は選択ができるのです。しかし、現状では会社はその説明義務を果たさないままに、有無を言わさず「1か2か?」の二者択一を迫ってきているのです。

雇い止めを許さない  JPEXは、既に一部始動していますが、実は、総務省からの認可が下りていないことが判明しました。そのため、10月の業務移行が難しい事態を考慮したのか、会社は8月中旬の朝礼で、「急いで、次の仕事を探したりしないように」などと言ってきました。
  しかしその前日には退職希望者を募っていたのです。あまりにもコロコロ変わる方針にゆうメイトは翻弄され続け、今後の不安を抱えながら日々業務を行っています。

私達は、生活のために働いています。
  今まで、会社の都合に合わせて一生懸命に仕事をしてきて、このような形で、最悪の場合雇い止めという名の解雇までも考えられる状況に追い込まれている現実に対し、怒りを感じざるを得ません。
  この問題は、ゆうメイトや郵政の問題にとどまらず、広く非正規という立場で働くことの意味をも我々に問いかけています。
  働く意思を有し、雇用期間の継続更新をしてきた非正規職員は、全員、雇用継続されるべきことはもちろん、契約内容も継続されるべきであると考えます。

(期間雇用社員 堀田摂子)