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交通事故と労働安全       (01.01)
会社の労災隠し・交通事故の個人責任転嫁を許さない

昨年3月末で、岡山支店は5年間働いてきたゆうメイトの萩原君を、交通事故を口実に解雇した。2月26日に判決が下される裁判の争点は、民営化後半年間の二件の事故が解雇理由に相当するか否かにある。
萩原君は午前4時間、夕方4時間という変則勤務の雇用形態で、それぞれに超勤がありと言う勤務を強いられていた。事故の責任は加重労働を強いた会社にある。
ところが本社は、事故多発支店だった岡山支店に改善を指示、中国支社・岡山支店は、たまたま二件の事故を起こしていた萩原君を見せしめ効果を目的に解雇した。
会社にとって標的は誰でも良かった。無論、彼がゆうメイトだったことが背景にある。
これを号砲とするかの如く、会社は同年4月から、交通事故に対する厳罰主義を打ち出す。

 【厳罰化】

今年度に入って、会社は更にエスカレートさせる。中国支社が発生者に対して行なっているのは、次の通り。
 ・過失割合がゼロでない限り、発生社員に対する処分。
 ・県単位に設置した「トレーニングセンター」に、一日の出張を命じて対話と実技訓練(後述)。
 ・700字以上の「感想文」の提出。
  これでもかと言わんばかりの施策であり、JR西日本の「日勤教育」を連想させる。文書の苦手な集配社員に、反省文を求めること自体が懲罰に等しい。

呉支店の掲示板には、これ見よがしに事故事例が掲載され、会社負担金額まで記載されている。
  よく見るとその中に、「マンションの配達中にバイクが転倒、駐車中の車を破損した」との事例がある。
  世間は交通事故とはいわないし、転倒の原因は過積載にあるのではないのか。つまり、会社は意図的に交通事故を増やしている。

山口県で発生した歩行者の死亡事故について、10月に支社長名で「会社車両が凶器となった」とのセンセーショナルな見出しの元に、「非常事態宣言」が発出された。原因は書かれていない。
  伝わってくる話しでは、片側二車線を四輪車で走行中、歩行者が反対車線側から分離帯を乗り越えて車道に降りてきたというのである。自殺行為に等しい。普通は運転手の過失は減点される。会社はこれを隠し、社員の責任を誇張したと思われる。

 【調査】

事故の原因は、過酷な労働環境にある。ユニオン呉支部は調査を開始した。
バイク積載郵便の重量 ・定形外の増加により、積載貨物が重量化しているのは周知の通りだが、支部の調査結果は別掲の通り。この区は主に50ccバイクを使用するのだが、常態として30kgの積載制限をオーバーしている。
 ・同支店は2ネットの導入により、90ccが50ccに転換された。呉市は管内でも有数の坂道の険しい地域であり、それ故にエンジンに負荷がかかり、オーバーヒート状態を起こす。
 ・走行距離10万㎞を超えるバイクが使用されている。以前は更改基準があったが、現在は不明。支店の説明は「修理費が嵩む様になったら更改する」とのこと。
 ・バイク保守店の話では、「老朽化が進み、走行中に何時エンジンが止まってもおかしくない。会社には報告している」と指摘するバイクまで乗車させている。なお、支店の回答は、「その様な話は聞いていない」というものだった。

 【交渉】

こうした中、ユニオン大阪北部支部の『11月期定例窓口』での席上で、会社側から「5年以上、7万㎞以上、という基準はある」との交渉情報が寄せられた。
  こうした経過から浮かび上がってくる会社の方針は次の通り。
 ・積載オーバーについては、計量をしていないので解らない。従って、道交法違反の事実は確認していない。(呉支部は交渉の中で指摘したが、支店は黙ったままで返答をしなかった)
 ・バイク更改基準はあるが、経費削減のためにこれを隠し、出来るだけ長期間使用する。
 ・事故の責任を社員に被せることによって、会社の責任をごまかす。

ユニオン呉支部は、陸運局・呉労基署・広島労働局・呉警察署に相談した。その結果は次の通り。
  陸運局はあくまで四輪車を対象にしているので、バイクは対象外。そもそも、今の法律はバイクによる荷物運搬を想定していない。余談話で次の話しがあった。
  「普通貨物車には、車庫証明と同じように駐車場所を明記する義務が事業主にある。軽四については、自治体ごとの駐車規制に準じる」
  警察の話しは次の通り。
  「積載オーバーを知りながら乗車を命じた事業主には、当然ながら責任がある」「道路運送業法に基づいて、安全運転管理者が任命されているが、安全については支店長より権限と責任が重い。同管理者から支店長に勧告したらどうか」

 【現状と今後】

呉支部は支部情報でキャンペーンを行なっているが、会社は沈黙を決め込んでいる。都合の悪いことは頬被りをして、事故発生者の責任に転嫁するつもりなのだろう。
  JR西は尼崎事故の後、事故調査委員会に対して隠蔽工作を行なった。これが明るみに出て社会の指弾を浴びている。それでも会社は、事故現場に「考動館」という追悼施設を作り、全社員に出張を命じて、事故が社員全員にあるかの如くの社内思想教育を行なっている。
  日本郵便が行なっているのは同様の論理構造である。論理のすり替えを許してはならない。事故の責任は挙げて会社にあり、社員は犠牲者である。
  呉支部は引き続きこの問題に取り組んでいく。

 余話

支社には、県単位にトレーニングセンターが設置され、新規採用のゆうメイトの業務訓練を行なっている。業務事故発生者にも、一日訓練が命じられる。
  このセンター長には、旧局長クラスが天下っている。トレーナーの中には、組合役員経験者がいる。広島・岡山では、元全逓広島中央支部・岡山支部の支部長が名を連ねている。

かつて、「命と権利が危ない」と組合員を煽動していた広島中央支部長が、今や社員の思想教育を行なう立場にある。
  恥ずかしくないのかと思うが、おそらく会社は意図的に配置をしている。会社と元組合幹部が結託をしているのだから、抵抗をしてもムダですよ、とのメッセージが込められているだろう。

民営化によって天下りの部署が少なくなったので、センターを作ったとも見える。また、民営化後、会社は事故処理を「損保ジャパン」に委託をしているが、あまりに事故が多いので、同社側からの苦情を受けて対策を講じている様にも見える。
  センター送りになった社員の話しでは、事故責任が「君のイラな性格にある」と結論づけられ、その報告が支店にもされた。同じように、損保ジャパンと提携しての「運転適正診断アンケート結果」には、本人の性格が子細に書かれている。
  こうした施策は、必然的に人権侵害を侵す。郵政がJRと同じ道を歩むことを許すのか否か、正念場を迎えている。

(郵政ユニオン呉支部 米今)