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【北海道】
20年遅れの成果主義       (03.01)
―私達はどう抵抗するのか

JP労組本部の反動姿勢

JP労組情報1月12日、『新人事制度』第2次要求に関するJP労組との中央交渉整理がなされた。 一応、「継続して交渉を行う項目」と「要求の受けとめた項目」として、振り分け、問題が孕む後者17項目を示している。

誰もが指摘しているように、格差拡大の基本は変わらない経営側だが、本部は、後述のように反労働者的見解を有し、全体的トーンが、限りなくすり寄っているのが如実に示されている。
  「高齢再雇用制度を補完する勤務制度の構築」。55才をもって強制的に短時間勤務や配転を余儀なくされてるのが必須ではないか。
交渉回答  北海道は意見集約の段階で、これに対する反対意見が多く出された。
  そもそも、北海道の地本専従役員は中央交渉の回答全般を読んでおらず、この問題を含め、「民営化にふさわしい新人事制度はJP労組が求めたもの」と開き直り、思考停止的答弁を繰り返していたと言う。
  重要な査定の中身についてだが多項目化、厳格化に関してすでに妥協している、と専従役員が話しているが、中央本部も地本も腐っており、経営側が決着の決断を示していたら容認する安易な方向に向かうのが大いに想定される。

中央委員会の論議だが、全体として低調だったと言う。
  「郵政改革」経営見直しの現局面で「新人事制度先送りせよ」という少数地本の意見に対し、否定する中央本部。経営側がはっきりしないのがあるのかもしれないが、油断は禁物と考える。

能力、成果主義の背景

2002年、全逓中央本部は現人事制度導入に際し、「働きがい、生きがい=自己実現につながる」と組合員をたぶらかしてきた。
  自治労は97年、『資金の基本的考え方』で「能力・成果主義を導入することではなく、全職種を職務分析し、同一価値労働、同一賃金を」と決定していたのと比して、あまりにも理論レベルが低すぎると言える。

80年代頃から、新自由主義、市場万能主義が席巻し、徹底的に企業間競争を促進し、企業間では個人競争を促進すべきとして、企業内労務管理への反映が能力、成果王義の強化であった。
  経済のグローバル化がもたらした産業構造、職業構造の変化、そして、急激な情報革命を背景に、個別企業レベルでは徹底した生産性向上と人件費の削減がおしすすめられた。
  労働者にはリストラ、残った人々へは労働強化がもたらされた。チームワークの精神、人間関係、企業に対する帰属意識よりも市場価値の高い専門能力、リスク管理能力など業績主義を重視する。
  昇格に対する職務がないのに認める、あるいは、多数者を優秀と決定する上ずりの傾向を許さない、徹底して、個別的でより仕事の結果を実績に直結するというものである。

JP労組新聞能力・成果主義の日本的な現れとして、他国と比べて労働組合による規制媒介が不在のために、競争範囲が全人格的になる傾向がある。
  個人の能力評価で差が肥大化し、なんらかの労働法制、労働協約によって一律で決められる部分が極小になるが故に、能力、実績主義によって労働条件の決定は個人処遇化に近づくことになる。
  現下の職場がまさにそうだが、仕事の内容、仕事量、所定外労働時間、個人収入、個人ごとの雇用機会が個人査定、個人ごとに違うようになり、この個人処遇をめぐる労働者間競争を促進するようになって、労働者はその競争の中でふり廻されざるを得なくなってくる。

いうまでもなく労働組合伝統の原理は、雇用機会とか働きぶりをめぐる労働者間競争を規制することである。
  生活の維持・改善は各人が競争に身を投げ込んで獲得していくのではなく、「仲間とともに」「平等を通じての生活保障」という考え方があたり前であった。

メンタルヘルスに深刻な影響

「成果主義の背後には、総人件費の削減と時間の圧力という二つの負荷が存在し、これらの要素を度外視して成果主義を論ずるわけにはいかない」と労働科学研究所の某産業医は、成果主義の職場実態を自身の経験として告発している。
  ある会社の支店の朝礼。二人の男女が何やら歌を歌い、社員が彼らを取り囲んでいる。二人の顔は惨めに歪み「声が小さいぞ!」という叱咤激励に「足手まといの歌」を歌わされていた。
  この会社では、目標に達していないグループに罰を与えることになり、有名な歌の替え歌で「足手まといの歌」というのをつくり、目標達成グループのうちで成績が下位の二人に朝礼で歌わせるというものであった。

医師は、成果主義について、一面マネジメントが楽になるように思えるが、社員の不安感を極度に高め、人間関係の悪化が上司との間より同僚との方が大きな精神的ダメージになることを指摘する。
  個人責任を強める成果主義によって、競争に関わる種々のストレスが引き金となって、管理者等の自殺が増え、メンタルヘルスに大きな変化を及ぼすと警鐘を鳴らしている。

私達の職場も種々の人権侵害が悪どい管理者によってなされ、なかなか歯止めがかからないのが現状だが、重大な決意をもって抵抗しなければならないだろう。

追いつめられる職場を直視し

『世界』(三月号)の樫田氏の郵政現場ルポタージュ。職場排除や排除のためのイジメが赤裸々に報告されている。
  中でも衝撃的なのは、パワーアップ研修の実態。年収が50万円から100万円下がる仕組み。
  関東支社は主任の分限降任者19名中、精神病患者数は4名と、人事院光平審査で悪らつにも認めた。
  07年関東全体で、この研修により、分限降任176名、自主降任278名、辞職者69名、と無慈悲にも攻撃をしかけた。
  メンタル病弱者etc弱者を切り捨てる手口を断じて許す訳にはいかない。

多くの職場学習会で「新人事制度」の内実が明らかになってきているが、相対評価を絶対譲らないが故に、現行制度以上にマイナス評価者を多数つくる。
  高齢者、低役職者、そして病弱者に多大な痛打を与える。
  経営側はわずかに査定率などを見直すという欺隔を駆使しつつ、格差の本質は変わりなく、試算では、社員約4割を占める2級では年収65万円の差、ボーナスでは最高80万円前後の差、退職金で500万円以上の差が想定される。
  退職金の大幅なダウンによって、将来設計の見通しが危うくなる組合員が続出するのははっきりしている。

親査定制度

労働者間競争を排する取組み

以上、現行人事制度導入以降の職場は荒廃し、管理者の悪行が跋扈し、労働者は受難を強いられてる。
労働者間のいがみあい、いじめが頻発している。
  非正規仲間にあっては、抵抗した取り組みにもかかわらず、露骨な賃下げが続発している。
  地本の専従役員はやむを得ないという対応で、もはや腐り切っているとしか言いようがない。

労働条件の個人処遇化と能力主義競争への投機によって労働者は組合離れの段階を通りこして、組合空洞化とニヒリズムが蔓延している。
  現時点、私達は、この能力主義的競争そのものを全面的に排除することはできない。が「闇の中」の競争を放置することなく、中味を素通しにさせ、環境の平等性や労働組合規制をもって可能な限りチェックし、職場排除、いじめるなど人権侵害に同時に立ち向かっていく必要がある。

労働者個人への受難はノルマ強制、隔離など極限近くまで進行しているが、荒廃した職場を凝視しつつ、市民、地域と連携して、社会的労働運動を模索していかなければならない。

 成果主義賃金制度に対して、「賃下げは絶対認めない」と、裁判闘争で抗している数少ない労働組合の取り組みに学ぶものが多い。
  又、私達は、賃金問題の本質的な視点であるペイエクテイの実現目指している先進的女性グループの気高い運動に敬意を表するものである。
  郵政ワーキングプアを直視しつつ、差別低賃金構造を打ち破る視点を共有していかなければならない。

その意味で『奔流』09年6月号の真の郵政版ワークシェアリング論に賛同するものである。

(北海道JP労組組合委員A)

郵政ワークシエアリングを

労働力政策について、本部は従来の非正規化や転力化施策についての見直しを求めていますが、会社はコストカットの至上命令の下に人減らしと非正規化をさらに進めていく姿勢を変えていません。
  ワーキングプアと言われる非正規労働者を20万人以上雇用する郵政グループは今や日本一の非正規依存企業となっています。
  正社員との待遇格差は広がるばかり、パワハラ、セクハラ、雇い止めなどの恐怖にさらされながら、働き続けています。
  このような「格差職場」は正社員にとっても決して働きやすい職場とはなりません。いま均等待遇は切実な課題です。
  正社員登用への道は開けたというものの「超狭き門」、抜本的改善への道とはなりません。
  ワークシェアリングが日本でも検討される今日、総人件費抑制ではなく均等待遇を目的とした郵政ワークシェアの導入を組合として提案すべきです。均等待遇に向けて正規社員の賃金引き下げも視野に、踏み込むべき時が来ているのではないでしょうか。

09年6月「奔流」記事