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ひげ裁判勝利判決を勝ち取る    (04.27)
「ひげ」「長髪」認め、会社側の違法行為に賠償命令

3月26日午前10時30分、神戸地方裁判所204号法廷において判決が言い渡されました。
その主文は「被告は原告に対し、37万5600円・・・を支払え」というもので、私の訴えた内容が認められた瞬間でした。
  この日は傍聴席に入りきれない地域・職場の仲間に駆けつけていただき、この一年余をともに闘い続け、支えてくれたみなさんに仲間に感謝の気持ちでいっぱいとなりました。

判決のあとは裁判所の前で簡単な報告集会を開き、そのあとは記者クラブでの記者発表を行いました。すべて初体験ということもあって緊張の連続でしたが、昼食を兼ねた交流会に合流してから多くのみなさんからの喜びと激励で胸が熱くなりました。また、「テレビを見た」「新聞を読んだ」「晴れやかな姿やった」などと多くの連絡を受け、うれしさがこみ上げた一日となりました。
  私の背中を押してくれた職場の仲間をはじめ各地から闘いを支えていただいたみなさんに、心からお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 これまでの経過

私は1970年4月、当時の神戸地方貯金局に採用され、郵便貯金(郵便局の貯金窓口)の後方事務処理機関で35年間働いてきました。しかし、合理化によって28箇所ある事務センターが11箇所に統廃合され、神戸貯金事務センターは大阪貯金事務センターへ統合されることになりました。そして、2005年8月、希望もしていなかった灘郵便局(当時)・郵便課に配転を命じられました。
  貯金の事務処理から郵便職場へ、正に180度の変化でした。

私の灘局配転が決まった以降、職場の管理者からの執拗な強要が始まり、「ひげを剃れ」「髪を切れ」「郵便局が受け入れない」と連日のように個別指導が行われました。
  これを拒否して灘郵便局に配転してからは局長、総務課長、郵便課長から“身だしなみ基準”を守るよう個別対話の連続でした。
  「私の改善スケジュール」(「何月までに髪を切る」「何月までにひげを剃る」ということを記入して提出するもの)の強要が続きましたが、これを拒否。配転して二人目の郵便課長から「何でもいいから書いて出してくれ」と頼まれ、「“私の課題”については“業務知識の向上”と記入。当局から再三指導されている『ひげ』『ヘアスタイル』については改善すべき課題であるという認識・考えはない。私自身の顔、人格として社会的な関係を築いてきており、今日まで何ら問題が生じたことはないし、社会通念上からも指摘されるべき事柄であるとは考えていない。偏見に基づく一方的な“身だしなみ基準”こそ改めるべき課題だ」旨を記入して提出。この写しが証人尋問で会社側の主張を覆す弾劾証拠として採用されました。

灘郵便局で二年連続「人事評価」が70点(200点満点)以下にされたこと、一泊二日の奈良研修所でのパワーアップ研修などによって職能調整額5400円が停止(2007年11月から)されたこと、およびひげと長髪による人権・人格の侵害、担務・勤務の差別的指定は決して許されるものではないと考え、私の置かれている状況を郵政職場はもとより社会的に明らかにして、人権・人格、そして働く者の名誉を回復するため、咋年1月に神戸地裁に提訴しました。
  具体的には「経済的損害=カットされた職能調整額(7万5600円)および精神的損害(150万円)を支払え」というものでした。

 ほぼ全面勝利の判決文

身だしなみ基準判決内容は基本的な部分で私の主張を認め、会社側の違法行為を認定しました。
  2007年11月から停止されている職能調整額については全額支払いを認め、精神的損害についても賠償を命令しました。
  ひげおよび長髪について「男性の長髪及びひげは不可とする灘基準1・2並びに窓口業務を担当する男性職員のひげは不可とする公社基準2は、いずれもこの長髪及びひげについて、一律に不可と定めたものであると解する場合には、被告に勤務する男性職員の髪型及びひげについて過度の制限を課するものというべきで、合理的な制限であるとは認められないから、これらの基準については『顧客に不快感を与えるようなひげ及び長髪は不可とする』との内容に限定して適用されるべきものである。・・・整えられた原告の長髪(引き詰め髪)及び整えられたひげは、いずれも、公社身だしなみ基準及び灘身だしなみ基準が禁止する男性の長髪及びひげには該当しないというべきである」と判断しました。

停止された職能調整額については「平成18年4月以降、原告に『特殊』業務の『夜勤』のみに限定して担務指定している・・・ひげを生やし、長髪の職員が窓口業務を担当することはできないとの判断に基づくものであると認められる。…被告の判断は誤ったものであり・・・原告に『特殊』業務の『夜勤』のみの担当を指定したことは、被告の裁量権を逸脱した違法なものというべきで、被告は、原告がこれによって被った損害を賠償する責任を負う」と断定しました。
  また、執拗に「ひげを剃れ」「髪を切れ」と迫ったことに対しては「上司らの指導(ひげをそり、髪を切るよう繰り返し求める)は、原告に対し義務のないことを行うよう繰り返し要求したものであって、違法であるというべきである」と認定しています。

人事評価についても「原告について、公社身だしなみ基準及び灘身だしなみ基準を遵守していないことを前提として行われた本件各人事評価は、誤った前提に基づいてされたものというべきであるから、評価権者が有する裁量権を逸脱したものとして違法となる」と会社側の違法行為を認めています。
  ただ、「灘局に配転になる前の執拗なひげ・長髪に対する指導」、「夜勤のみの指定による地域活動や家族との交流の制約」などについては「…社会通念上相当な範囲を逸脱するものと認めるには足りない」、「勤務日以外の休日を利用することが可能であるはず…各労働者それぞれの家族の職業の有無及びその生活時間帯等は様々であって、原告が家族と過ごす時間に制約があることが、夜勤の指定を受けたことと相当な因果関係を有するものとは認められない」など私の主張が認められなかった部分もありますが、内容的には全面勝利の判決だと受けとめています。

 闘いは大阪高裁へ

しかし、神戸地方裁判所から「仮執行宣言付判決に基づく強制執行は、本案控訴事件の判決があるまでに、これを停止する」との3月30日付の特別送達が届きました。会社側が控訴手続きを行ったということです。
  私個人としては、3月29九日に一社員として郵便事業会社・灘支店の支店長に対し、「判決内容を受けとめ、控訴しないよう」求め、「停止した職能調整額の復活」「全国の職場で私と同じのように人権・人格を否定されている社員への謝罪と損害の回復」「身だしなみ基準の廃止」を内容とした要請文書を提出(面会は拒否される)しました。
  また、一組合員としてJP労組神戸東支部に対しても同様の要請文を提出し、会社側に申し入れるよう求めましたが、会社側はこれを無視して控訴し、企業の社会的責任を放棄した姿勢は決して許せないと新たな怒りを感じています。

闘いは大阪高等裁判所へと続きます。これからも郵政職場に働くすべての仲間の人権・人格が少しでも大切にされよう負けられない闘いであることを自覚し、多くの仲間の支援を受けながら必ず勝利を勝ち取りたいと決意しています。

(原告 芝英機)