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現場を無視した精神主義的労務管理    (05.19)
女性も共に声を上げよう

今年の初め、一人のゆうメイトが、郵便事業会社A支店を辞めていきました。
  このゆうメイト、Bさんは勤続約一〇年。小包配達や周辺局との郵便物授受、ポスト開函などの仕事をしていました。
  Bさんは、昨年末、仕事中に赤車を電柱にぶつけ、ミラーとサイドボディを傷つけてしまいました。会社から、2か月の乗車禁止と、1日200枚をノルマとする、自転車での年賀状営業を言い渡されました。お客様も利用する駐車場の入口に立たされたりもしていました。
 彼女は、年休を使って休みを取り、ロッカールームで泣きながらも、「がんばる」と言っていましたが、話かけようとする同僚に、「私に話しかけると会社によく思われないから、話しかけないで」と言うようになりました。出社してきてからも、管理職から「10年も勤めているのに、こんなこともできないのか」と書類の不備を指摘されるなど、心理的に追い込まれていきました。そして、ついに、今年に入ってから退職届を提出しました。

もう一人のゆうメイトC君は、今年の初め、山間部で配達中、二頭の鹿が車にぶつかってきて、赤車の前部を破損してしまいました。車の修理費用が10万円以上かかるという理由での処分と出勤停止を言い渡され、結局、退職していきました。
  二人とも、本意で辞めたわけではありません。
  Bさんには10年あまりの勤務の間に6回ほどの事故歴があったとのことです。C君も、過去に誤配や受領証の署名を自書してしまった等の事故歴があったと聞きます。しかし、だからと言ってこのような、「解雇」という言葉を使わないというだけの、実質的解雇が許されるのでしょうか?

これらの事例における処分の仕方には、「どうしても辞めさせる」という会社の意思を感じます。また、もう一つの意図は、ほかの職員に対する「あなた方も何か起こしたら、こうなりますよ」という見せしめ的効果です。これらの事故に対する会社の対応の問題点は、処分が「処罰のため」のものになっており「改善のため」のものになっていないことです。
  これらの経緯を間近で見て、私たちは「会社から目を付けられたら逃れられない」「事故を起こしたら、理由の如何を問わず許されない」という危機感を感じながら、仕事をしています。

 現場を無視した業務運行計画

民営化後、職員に対する締め付けは激しくなってきました。
  出勤時の点呼の机には「あなたのせいで営業停止になってもいいですか?」と書いた紙が置いてあります。アルコール検査は、出社時のみならず退社時にも義務付けられています。数か月前には、小包・運送ゆうメイトの赤車に課長や課長代理が同乗して、運転をチェックすることが行われました。また、運転席の後ろに、運転者に向けてカメラを設置しての運転チェックもありました。

会社は、締め付けさえ強化すれば事故は防げると考えているようですが、不公平な処罰・瑣末な事故に対する処罰の強化等は、事態を改善するというより職員を委縮させ、逆効果にさえなっていると私たちは感じています。
  特に、同様の事故における、会社に気に入られている者とそうでない者に対する余りにも不公平な処罰の仕方は、職員の意欲を削ぎこそすれやる気を喚起するものにはなっていません。
  「郵政の交通事故は同業他社の数倍」とは常々管理職の言うところですが、郵政の職員の運転能力が他社のそれより特別に劣っているなどというはずはありません。事故の多発にはそうなる理由が存在するのであり、それは決して「締め付け」によって改善されるものではなく、事故の起る条件を改善しなければ減少しないものだと思います。

私たちの勤務に、12時半に出勤し12時半に運送に出発という業務があります。
  私たちは、出勤して、出勤簿・分担簿に押印し、アルコール検査を受け、授受簿に記入・押印し、A4版一枚分の「日常点検簿」に従って16項目の点検をし、小包の数を確認し、有証郵袋の授受をし、積み込み、数の記入をしてから出発するのです。
  1 2時半に出発せよというのは、サービス残業(前超勤)強要に等しいものです。
  この無理な計画は、業務を「1日6時間」勤務の枠に閉じ込めるためになされているのです。

このような締め付けや無理の強要の一方で、会社は対外的には、やかましく「コンプライアンス遵守」「個人情報保護」を唱え、職員に対してはこれらに違反した行為を行っています。
  取れていない休憩時間を課長代理が記入してしまう、または、「5分でもいいから書けないか」と言って記入させるということがまかり通る。
  また男性の課長が女性ロッカー室に入ってきてのロッカー検査などもされています。先日は、課長が職員を一人ずつ呼び出して、「ローンはあるか?」と聞いてきました。また、私たちは営業用携帯電話の不足により個人の携帯を業務に使用していますが、使用料の会社負担はありません。

 組合を活用した現場の声を

このような状況に対し、職員、特にゆうメイトは皆不満を抱いていますが、会社に目をつけられるのを恐れて言い出せないのが実情です。
  かつて、私はまったく同じ仕事をしていながら指定表の不公平により勤務日数に差をつけられていました。最多勤務日数の人とは年間10万円単位の賃金の差がありました。
  これについて私は、同じ仕事をする6人の勤務日数表を作り、要請書に添付して改善を要求しました。課長との何回もの激しいやり取りの末、遡っては改善されませんでしたが、指定表はほぼ公平に作られるようになりました。
  勿論、抗議や要求がすべて通るとは限りませんが、不当・不公平に対し、抗議しなければ改善されないのは明らかです。

確かに、抗議の声を挙げるのはしんどい作業です。しかし、やはり一人ひとりが勇気を出して言うべきことは言っていく、そしてユニオンを活用していく、このことによってしか状況は改善されず、私たちにとって働き甲斐のある、働き易い職場にはなっていかないと思います。

(報告 長秀康子)