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再々度郵政民営化を問う市民集会    (05.21)
郵政民営化を監視する市民ネットワーク第6回総会&市民集会報告

5月16日市民集会

5月16日、東京神保町区民館。「郵政民営化を監視する市民ネットワーク」第6回総会と再々度郵政民営化を問う市民集会が開催された。参集は30名。小規模な集会ではあったが活発な意見交換が行われた。

まず監視ネット代表稲垣さんからこの1年間の活動報告。
  去年8月の前総会で提起した監視ネット独自の郵政改革論「郵政民営化の見直しと公共サービスの社会的確立を」からはじまり、折々に発行された「UBIN WACTH NEWS」は19日の国会要請行動に会わせて発行されたものを含めると40号を数える。仏ラ・ポストの労働組合活動家の来日に合わせた学習会や今年1月には松戸での市民公聴会なども開催してきた。
  政権交代後、小泉―竹中路線の総括が始まる中で監視ネットもその象徴としての郵政問題を追い、郵政ユニオンなど現場の労働者と共に社会的に問題を提起してきたことを報告。
稲垣さんと棣棠さん
  その郵政ユニオンからは役員の棣棠氏から国会状況を報告。
  3月24日に発表された「郵政改革法の骨子」は昨年閣議決定された「郵政改革の基本方針」からはかなりかけ離れた方針になっていると批判。18日から改革法案の審議に入るが、再度世論を喚起し、国会要請行動などを強め公共サービスとしての事業の確立を要求すべきとの提起。監視ネットとしてもその方向で今後も運動を進めていくよう提案がなされ、事務局体制も現状を維持していくことが確認された。

集会は第2部として元衆議院議員の保坂展人氏を講師に招き、日本郵政ガバナンス検証委員時代の経験を元に西川民営郵政の闇を暴露・検証して頂いた。
  改革改革というがその実態はどうだったのか。小泉―竹中路線はいわゆる公務員の既得権を攻撃しその流れは今も続いているが、果たしてその既得権益は市民に配分されたのか。蓋を開ければすぐに化けの皮が剥がれた、後期高齢者医療制度などがその好例。市民に逆に負担を強いるという流れになってしまっている。また非正規労働者の増大などもこの改革の欺瞞性を表しているだろう。

小泉改革は生活を楽にしなかった。結局はある一握りの人たち、一部の利益集団のみがその果実をもぎ取ったのではないか。
  例えばオリックスという会社がある。ここは昨年までの10年間になんと利益を10倍にふくらませている。この10年間、他の企業はどこも青息吐息だったにも関わらずだ。オリックスの宮内会長というのは規制改革会議という小泉政権時の政策決定機関のトップに就いていた。例えばタクシーの規制緩和。これもここが指導した。台数を増やすと。そのとき増えたタクシーの車体リースを行ったのがオリックスだ。お手盛りの「改革」といよりこれはほとんどインサイダー取引といえるだろう。

 かんぽの宿売却のインチキ

かんぽの宿問題同様の構造が、鳩山邦夫によって表に出たいわゆる「かんぽの宿問題」。
  かんぽの宿は、ただそれを売るだけなら総務省の許可はいらなかったのだが、税金対策のためにいろいろ策を弄したために、たまたま時の総務大臣鳩山邦夫の目にとまってしまった。
  ただ、時の朝日新聞をはじめこのときの各マスコミの論調は、民間の経済活動に国が口を出すのはおかしいという論陣を張った。しかし、構造が明るみに出るにつれて、さすがの朝日も沈黙せざるを得なかった。問題は沈黙したままで謝りもしないことだが。

競争入札と言っていたかんぽの宿の売却過程は、私の国会での質問によってもそれが全くのインチキであることが暴露されてしまった。そしてそのインチキの先にいたのが、オリックスだ。
  国会に提出された日本郵政によるかんぽの宿売却処理過程の時系列の資料がある。それによるとまずメリルリンチと契約。これは契約過程の助言を請うという名目で年間1億2000万円払っている。
  次にホームページに入札公告を出したとある。ところが実際にはそこには入札という文言はどこにもない。単に一括して購入してもらえるところを募集していますと。申し込みの期限だけが書いてある。オリックスをはじめいくつかの企業が「募集」に応じる。
  問題は、この時系列の資料の中に、「入札日」というものがなかった。 いくつかの企業が募集し入札を行うのだったら当然その入札日があるはずだ。入札日がない入札というのはあるのか。入札があると言うからには入札「箱」もあるはずだが、これもないという。
  当時国会で答弁に立った日本郵政の役員は、「入札日というものはありません。入札箱もありません。入札のような感じといったものです」と。その「感じ」っていったいなんですか、と(笑)。

予算委員会で西川社長を私が追求したときに初めて彼は、これは入札ではないと言明した。ようするにこれは談保坂展人さん合だったということだ。マスコミは社説でも一般競争入札と書いた。ではその後訂正記事は出たのか、訂正の申し入れはしたのか。西川は「最近の記者は取材が甘い」と答弁したという。

インチキの過程。まず最初は70施設を一括して売りに出していた。最終的にオリックスが購入予定になったのは69施設。世田谷レクセンターという広大な敷地を持つ立派な施設が一つ抜け落ちていた。普通、入札というの同一条件で競争するものだが、なぜか最終段階になって条件が変わってしまっている。
  日本郵政が土地建物を譲渡売却しだしたのは公社時代から。そのときに売られたかんぽの宿の評価額には1万円とか千円というものもあった。当時の笑い話で、かんぽの宿に泊まり1万円を出したら「宿泊ですか、お買い上げですか」なんてものもあった。そういう不当に安く売られたところが2回3回と転売されていく内に付いた値段はやっぱり億単位だったりしている。
  公の財産を民間に安く、ただみたいな値段で払い下げて民間企業に濡れ手に粟の儲けをさせる。なんのことはない、これが構造改革というものであったということだ。メディアもその後押しを一斉にしてきた。
  国民の財産である郵政の土地を俺らが分捕ったぞというのが彼らの自慢であり、また彼らの夢なのだ。
  日本郵政が持っている土地はまだまだ優良物件がごまんとある。県庁所在地の一等地にはだいたい中央郵便局がある。その一等地を分捕るのが彼らの夢なのだ。最後の超優良物件、あと百年は出ない物件を一斉に分捕ることができる最後のチャンス、と彼らは群がったのだと。

 チーム西川のずさんな利権あさり構造

今建て替えている東京中央郵便局。あれは1300億ぐらいかかるといわれている。歴史的建物を保存するかどうかでもめたところですね。日本郵政はその上の空気を買っているんですよ。空中権というやつです。2百数十億円東京中央郵便局再開発イメージ図という話です。
  大阪中央郵便局、名古屋中央郵便局。ここも建て替えうると。二つ合わせて少なく見積もっても3000億以上といわれています。今この二つは止まっています。
  かんぽの宿にかかわらず、ここでもいわゆる利権供与みたいな構造がないのか、政権交代によって今ちょっと止まっているわけです。
  これら大型不動産開発を一手に指揮していたのが、チーム西川。ところが西川社長が退任したときにこのチーム西川は解散。みんな郵政から出て行ってしまった。みんな古巣の三井住友銀行や三菱地所などに戻ってしまった。横山専務は三井住友銀行の社宅に住んだままで日本郵政に出勤していました。ようするにチーム西川とは出向者の集まりだったわけです。出身母体と繋がりを持ったまま郵政の経営に携わっていたということです。彼らが東京中央郵便局や大阪や名古屋などの大型不動産開発を一手に握っていた。
  よく調べてみると不動産開発とはこの三つだけではなくて、マンション開発なども手がけている。

そもそもこのビルってどうやって建てるの?どこにそんな金があるの、といった素朴な疑問を郵政に質してみました。すると民営化するときに郵便局会社に手持ち資金として3500億くらいに配分されたのだと。それを回して40階建てのビルを三つも建てるのだと。
  その手持ち資金の内訳を問うと、これが退職引当金なども入っていると。え、それは問題ではないかと、資金計画を出すよう要請しました。当然これだけの大型開発ならばそれなりのきちんとした資金計画があるはずです。民間企業ならば。ところがこれがないという。チーム西川が出て行くときに持ち逃げしたのか?どうかは分かりませんが、とにかくない、という。
  何も残っていない。チーム西川が抱えていたであろう資料が何も残ってないわけです。
  郵便局会社が将来不動産事業で儲けるというのは郵政民営化の目玉の一つとされてきた。でも実は郵便局会社が不動産開発をやっていたのではないんです。チーム西川がやっていたんです。そのための資金を郵便局会社から分捕っていたという構図ですよ。詳しくは明日(17日)に出る「日本郵政ガバナンス検証委員会」の最終報告を参照してください。
  ゆくゆくは会社を作ろうとしていたみたいですね。日本郵政不動産、JP不動産、その先はPが抜けてJ不動産会社とかJ都市総合開発とか。
  ところが、駅前の一等地だからと期待した土地は実は今や期待したほどの利潤を生まないのではないかといわれている。大阪や名古屋が今止まっているのは、そういう背景もある。そもそもずさんな計画ではなかったのか。

郵政事業が不動産事業などを一切やってはいけないといっているのではない。やるからには100%郵政事業の下支えに寄与・貢献するようなやり方をすべきだろうと。公共事業なのだから、郵政事業は。

実はそれ以外にも個別のいくつもの事案を紹介して、まだまだ解明されない深い闇があることを保坂氏は注意喚起する。
  郵政の問題はマスコミもなかなかきちんとした記事を流してくれない。市民がその問題をきちんと検証していくことが大事。事実の解明を今後ともいっしょにがんばりたい。

 活発な意見交換

その後会場からの活発な質疑応答がなされる。考えられない偽装「入札」。あまりにもあからさまな利益誘導。国鉄民営化時の不動産開発バブルの構造と同じではないか。民営化とは結局国民の財産の簒奪でしかなかったのではないか。ゆうちょ2000万円問題と投融資の問題。議論はその後の第3部に引き継がれる。

第3部は具体的に郵政改革法案の中身についての問題提起を郵政ユニオンの中村さんから、また監視ネットとして、あるべき改革論を稲垣さんから提起された。

今「郵政改革法案」には実は前年成立した「公共サービス基本法」に基づくという文言が入っている。特に郵政事業はユニバーサルサービスの義務と共にこの「公共サービス基本法」に基づく事業を行うとあり、事業が公共サー郵政ユニオンの中村さんビスであるということをはっきりと明言してある。ところが個別貯・保事業となるとこれがない。ユニバーサルサービスの義務づけも抜け落ちている。持ち株比率の問題といい中途半端な法案というしかないが、私たちとしては、郵政事業を全体として公共事業として位置づけるよう運動を続けていくしかない。
  また、非正規社員6万5千人の正社員化という問題も、一歩前進であると考えるが、非正規社員全員の均等待遇に向けた闘いは今後も重要な課題である。

稲垣さんからは、民営化の見直しといいながら、株式形態はそのままというのは何も見直しにはなっていない。株式会社としての民間企業というのは利潤を出すということを前提にした形態で、公共サービスが儲けを追求していいのかという根本的な矛盾を解決しない。貯・保資金を元手に儲けを追求するというのはリスクが大きすぎる。結局利用者にしわ寄せがいくなんてことになりかねない。
国会要請行動  公共サービスとしての金融事業という目的をきちんと追求すべき。市民の監視・コントロ-ルのきく金融事業を展望すべきだ。

その後また活発な討論が会場と交わされ、監視ネットが提起する「市民公社」という形態の可能性についての検証が今後の課題とされた。

この集会の後、19日には国会要請・座り込み行動も行われ、折から派遣法問題を取り組む仲間と合流しつつ、この国を市民・社会の手に取り戻すべく国会前でシュプレヒコールを上げてきた。

(多田野 Dave)