人をぼろ切れのように使い捨てにする郵政
6月26日付け日経新聞。“7月1日付で共同出資会社「JPエクスプレス」の「ペリカン便」事業と4100人の従業員を日本郵便が引き受ける。”とある。
「従業員」の中に、委託・請負労働者はどのくらい含まれているのか。ペリカン便はかねてより委託・請負労働者の割合が多い。日本郵便が彼らに示した契約条件は大幅な収入減を含むもので、業者によっては撤退を強いられ、一部は会社解散をも余儀なくされている。
7月1日直前の6月28日に電話がかかってきた。委託労働者さんから。「あまりにひどい。どうしてこんな条件で続けられますか」。
10年以上ペリカン便で山間部の配達を委託されてきたという。そこにはゴルフ場があり、二人でチームを組み一年365日ローテンションを組み働き、信頼を得てきたと。
「ゴルフ場の方からの信頼は絶大でしたよ。一手に私たちに任せてくれていましたから。ゴルフ場だけではなく山間部の配達は大変なんです。ですから地域の方からの信頼も厚かったと思っています」。
ペリカンからJPEXに移ったときにすでにこれまでより収入が下がったが、地域の信頼もあり我慢してこれまで続けてきた。
JPEX解散の報が流れ、日本郵便への異動の打診があるからと、そのときにはきちんとした説明と個々人から要望を聞く機会も与えられると、上司から伝えられていたという。
ところがいつまで経ってもなんの説明もない。5月になってようやく周知が始まったが、具体的な説明は何もなく、ただJPEX解散に伴い所属替えが行われると。委託労働者は一旦契約切りの上再度日本郵便と新たに契約を結ぶことになる。その契約内容の説明は一切なかった。
6月3日になって突然「選定外」と通知された。
「ようするに今私が委託されている地域は委託地域からはずされるということだというのです。」
会社説明によると、日本郵便に異動の際はこれまでとは違う配達地域の契約となる。そのときに初めて説明された契約条件は、これまでの収入が半減する条件を提示された。
「一月もないんですよ、統合まで。直前になってこんなひどい条件を提示して、しかも今すぐ答を出せと。」
とてもこれでは家族を養えない。契約条件の変更を申し出たが、会社はそれでは期間雇用社員として契約してはどうかと。時給900円台で、しかも一日6時間勤務だと。
「人をバカにしているのかと思いましたよ」
とてもそのような条件は飲めないと抗議したところ、時給は1000円台に少し上がり一日の勤務時間も8時間にできるかも知れないとの打診があったという。
「かも、ですよ、かも。それでもこの額ではとても暮らしてはいけません。しかし会社は、ならば貴方は契約外ということで、と、その一言なんです。」
6月18日、電話で6月30日で契約打ち切りの通知がなされたという。
「私たちは雇用保険にも入っていません。あと二日で、その後は全く収入が途絶えてしまうのです」。
彼は次の仕事が見つかるまでのせめて一月分くらいの保障が出てもおかしくないのではないかと。そのような請求はできないものかと。
確かに、法的には一方的な不利益契約を強制された場合には補償を求めて争議をすることは可能である。しかし現実には、争議の為の費用と時間の消耗を考えると、とても割の合う闘いにはならない。それなりの覚悟が必要になってくる。
「そうですよね。では一体私の怒りはどこに向ければいいのでしょう」。
小包は季節ごとの増減が激しい。年間一定の収入が保障されているわけではない。
「ペリカンにいたときは、閑散期には保障が出ていたんですよ。せいぜい1~2万円の額でしたが。それでもそういう気持ちがありがたかったんです」。
郵政は、人をぼろ切れ扱いにして切り捨てるだけだと。
