パート労働法の趣旨に則り、「登用」ではなく正社員への「転換」を
08年に改正されたパートタイム労働法。厚労省によるとその趣旨は、「パートタイム労働者の待遇は、一般に通常の労働者と比較して働きや貢献に見合ったものとならず低くなりがちであるという状況があります。そこで、パートタイム労働法は、パートタイム労働者の就業の実態を考慮して雇用管理の改善に関する措置を講ずることにより、通常の労働者との均衡のとれた待遇を確保することを目指しています。(第3条)」
正社員との均等待遇を求めるということだ。
この国最大の非正規社員を雇用する「民間会社」郵政各グループは、当然この改正パートタイム労働法に沿って21万人非正規社員の待遇を改善する努力義務が課せられている。
格差の拡大と貧困層の増大、いわゆる小泉-竹中路線によるネオリベラル的政策によってもたらされたこの国の社会の荒廃状況に対する反省の意味も込められているだろう。何よりも反貧困運動として闘われたナショナルセンターを越えた労働者・市民による広範な様々な運動が圧力となって非正規社員の均等待遇の課題が社会的に広く認知されてきた成果でもある。郵政グループ内においても、郵政ユニオンや郵産労はこれを最大の要求課題として数次にわたるストライキを闘ってきた。
今年3月、亀井静香元郵政改革担当相は10万人非正規社員の正社員化を郵政に求めた。それに対する回答は対象者を絞った上で非正規社員6万5,000人に対して希望者を募るとした。応募は約3万4,000人。そしてこの土日、第一次の採用試験が全国一斉に行われた。
亀井元大臣の要請をはじめ各労組の要求にも回答する形で、正式に文書として正社員化の道筋を郵政が示したのは5月7日である。その文書の名称は、「期間雇用社員の正社員への登用について」。
改正パート労働法12条には、「パートタイム労働者が通常の労働者へ転換するための試験制度を設けるなど、転換制度を導入する」とある。これは義務として定められている。
会社は「登用」という言葉を使用しているが、この言葉は民営化以前の「任用」という言葉を思い起こさせる。つまり官僚用語ではないかということ。民間ではこのような言葉は使用しないだろう。
パート労働法にもあるように、本来なら正社員への「転換」とすべきだろう。細かいことだがこのような言葉遣いをみても、まだまだこの会社には官僚主義体質が色濃く残っている証拠だといえるだろう。
実はこの指摘はある労組の役員から受けたものである。私も以降、なるべくこの言葉を使わないようにしている。「登用」を「採用」という言葉に置き換えるよう気をつけている。
さて、先の「期間雇用社員の正社員への登用について」という文書だが、その最後の3項には以下のような文言がはっきりと示されていることを改めて注意喚起しておきたい。
3.不合格者に対する研修
資格審査で不合格となった者のうち、希望者に対し、再度の資格審査に向けて業務知識・技能等の向上を図るための研修(職場研修、集合研修、通信教育講座)を行う。
なお、こうした研修を行うほか、郵政グループ社員の資質向上を図るため、全国規模の研修施設として、郵政大学校を再生する。郵政大学校は持株会社の組織とし、グループ全社社員を対象にした人材育成施策を実施する。
一部の職場ではJP労組などが「これが最後の機会となるかも知れない」という周知を行っていたという。今参議院選の結果を見て、状況は逆風が吹き始めているからというのだ。JP労組はそれ以前にも亀井元大臣の10万人発言に対して「経営感覚のないものである」といった発言を行っている。(5月10日付JP労組近畿地本古賀委員長発言)
上記文書でははっきりと不合格者の再研修を行うと明言している。
JP労組はこの文書を反故にさせるつもりか。そのようなことは決して許されない。
政治状況の逆風は、現場の運動によって跳ね返していくというのが労働運動の基本ではないのか。
正社員採用審査日程 ★ 一次審査 |
第一次試験の結果発表は当初の予定(8月下旬)からズレ9月中旬頃とされた。その後の予定は右の表の通り。
土日の試験を終わり、受験者の社員は今後しばらくはまた不安な日々を送らざるを得ないことだろう。
しかし、上記文章の文言にもあるように、万が一これで失敗したとしてもこれで終わりというわけでは決してない。希望者は今後も継続して正社員採用に向けたチャンスが与えられるということだ。
また、今回条件からはずれた社員も次回、次々回と継続して正社員への「転換」に向けた制度を活用できる道筋をきちんと求めていかなければならない。
さらに、様々な条件のもと、今後も期間雇用社員として働き続ける道を選んだ社員についても、パート労働法の趣旨に則り、正社員との均等待遇を求めていく運動を強く押し進めていくことになる。
一時的な政治状況の逆風などに一喜一憂している暇などない。
社会から格差と貧困を一掃するまで、愚直に運動を続けていくだけだ。
