21万人郵政非正規社員の内、8,438人。これが、「期間雇用社員の雇用の安定と労働条件の向上」を目的とした、今正社員「登用」審査の結果であるという。
第一次審査応募者33,279に対しても、合格率はわずか25%である。
厚生労働省の7月14日付報道発表資料、「持続可能な活力ある社会を実現する経済・雇用システム」には以下のような指摘がなされている。
「非正規労働者の雇用期間は長期化している」「従来非正規労働者として位置づけられてきた労働者に対しても、ある程度正社員的な雇用管理をするような雇用システムが望まれる」
表題にもあるとおり、現在の非正規労働者の増大は「持続可能な社会」に対する障害になっているという認識を持つべきであると。
それは同省の労働政策審議会雇用均等分科会でも同様の危機感が共有され、9月10日付文書、「有期労働契約研究会報告書のポイント」にも、有期労働契約には「雇用の安定」「公正な待遇等」を確保するよう指摘している。
そして同審議会では、期間雇用という雇用形態自体の「廃止」をも視野に入れた議論が続いているのだ。(10月26日第82回労働政策審議会労働条件分科会資料 有期労働契約研究会報告書 等)
非正規労働者の存在が「持続可能な社会」を脅かしているのは、まさに私たちの職場にこそ言えるものである。
雇用を盾に様々な恫喝が陰に日に日常的に行われている私たちの職場こそ郵政事業の「持続可能な」事業継続を脅かしているのだ。
営業ノルマに対する自爆強要、軽微な業務ミスや交通事故などに対する見せしめの「お立ち台」、自己責任という言葉を乱発し、それが先日の小包統合の失敗の際にも「現場の不慣れ」という社長の言葉にも表れたのは記憶に新しい。
本来チームで行ってきた仕事は、成果主義賃金制度によってズタズタにされ、効率も合理性も無視した個人プレーと責任の押し付け合いに、ともすれば職員間で怒号が行き交ったりする職場になってしまった。さらにこれに現場管理者の怒鳴り声が重なる。
こんな、まるで監獄か収容所のような職場になってしまったのは、不安定雇用労働者が職場の大半を占めるようになったからに他ならない。
収容所のような職場で精神を病む職員は正規・非正規を問わない。しかも非正規社員はそのことを理由にまた雇用が脅かされているのだ。
私たちがなぜ非正規社員の正社員化にこれだけこだわり続けるのか、何度でも何度でも繰り返し訴えよう。
正社員は、この収容所のような職場から脱するためには、非正規社員の正社員化のために闘わない限り展望は拓けないからなのだ。
非正規社員に同情しろなどと言っているのではない。ぶつかっている壁は、正規も非正規も同じなのだ。不安定雇用労働者の増大こそが私たちがぶつかっている共通の壁なのだ。
職場に人権を取り戻すには、まずは雇用が比較的安定した正社員こそが率先してこの現状を打破する行動を起こすべきである。非正規社員の正社員化とは、まさに正社員の今のこの現状を打破するためにこその闘いでもあるのだ。
非正規社員に対する支援のための闘いではない。正規も非正規も、自らのための闘いなのだ。
ところがどうだ。我がJP労組ときたら。
第6回JP労組中央委員会に対する近畿地本の見解とやらを一部紹介しよう。
「今回の正規社員登用は、~当時の亀井郵政担当大臣の発言等政治的パフォーマンスを受けて会社が実施したものであり」「今回の受験資格特例措置は今回限りとしてて、次期登用試験からは月給制契約社員、新たに短時間社員からの登用制度を確立することが必要です」
これは、今まで通り大量の期間雇用社員の存在を前提とした方針を会社に求めているに等しい。
JP労組に限らず、今正社員化施策に対して一部の正社員からいくつかの揶揄が聞こえてくる。例えば、正社員化によって社員の3割の給与がカットされる等。
これは、このことを指すものと思われる。
09年7月1日付記事
・競争と格差拡大の賃金制度大改悪
・下がります―基本給・諸手当・ボーナス・退職金
しかしこの賃金制度改悪提案は今回の正社員化施策が発表されるはるか以前になされた会社側提案であり、今正社員化施策にリンクしているものでは全くない。正社員化の結果給与が削減されるという風聞を流布するのは間違いである。
正社員化によって赤字になって会社が傾くのではないかと、現場労働者がしたり顔で心配している。
ちょっと待ってくれよ。事業の非効率性は労働者のせいか?
これまで私たちはなにを見てきたか。トヨタ方式―JPS方式の無残な破綻は事業を傾かせなかったか?「金日成」バッチというのを覚えているか?あれで何か効率が上がったか?小包統合の失敗、つい最近の報道だが、郵便番号区分機談合という旧い話まで持ち出せば、一体経営陣はこれまでどれだけの損害を会社にあたえてきたろう。
日々毎日の仕事の中でもどれだけ無駄な手順、無駄なハンコ押し、無駄な業件、ミーティング、ただただ精神主義的なラッパ吹きに長時間付き合わされて、その間どれだけの箇所数の配達が可能か、常にみんな勘定しているのではないか?
これらをすべて精算すれば、私は21万人非正規社員を全員正社員化してもおつりが出るに違いないと思っている。
安定した雇用こそが協働による効率的な業務の運営を可能にし、人権に配慮した職場環境を作っていく。
持続可能な事業、社会を築いていくためにこそ、私たちは不安定雇用の一掃のために闘っているのだ。
雇用は、期間の限りのないものにしていくしかない。
期間雇用制度そのものの撤廃をも視野に入れて、これから第2ラウンドが始まるのだ。

