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Headline 2011

【広島・呉】
過酷な小包委託の条件    (01 .12)
法の谷間でピンハネされる受託労働者の実態を撃つ―雇用形態の抜本改善を

現在の小包配達業務は受託者の存在なくして成り立たない。しかし、その労働条件は過酷である。

事業会社と受託者の契約は、1.完全歩合(185円、主に繁忙期など短期に適用)、2.最低保障+歩合(主に通年委託者に適用)の2種類ある。都市部は完全歩合の方が収入になるが、過疎地は1個の配達に時間を要するために最低保障があり、どちらを選択するかは受託者の希望による。最低補償額は、月額7~8千円。支店の違いや、同じ支店でも配達担当地域によって違う。

呉支店で、ペリカンから契約変更した受託者の多くは後者が適用されている。一方で労働時間は長い。8時から朝礼が始まる。その前に小包の積み込みを終えるためには7時過ぎには着手しなくてはならない。そして、20時~21時頃に配達を終えて、それから清算事務を行なうと、終了は21~22時を過ぎる。途中一時間の休憩を除いても、労働時間は13時間以上にも及ぶ。

これを時給に換算すると、次のようになる。
  平常時で1日の配達個数が100個の場合、時給1000円。70個の場合890円。つまり、集配ゆうメイトの最低水準以下なのだ。しかも、これが実収入ではない。車の減価償却・ガソリン代等の必要経費は自分持ち。国民健康保険・国民年金と掛け金の高い社会保険などの経費が掛かる。仕事中にケガをしても労災の対象外、事故をすれば修理代がかかる。

目に見える条件だけではない。ペリカンから事業会社に契約が変更になり、配達の能率は低下した。以前は、受取人の口頭了解で「差し置き配達」が可能だったが、これが出来なくなった。
  第二は、携帯端末はペリカン時代のドリーム端末より、機能が低下した上に処理能力が劣る。処理スピードが途中で遅くなる。
  第三は、特定の客、例えばデパートの小包等は持ち出しの際に記録を求められる。そもそも端末入力しているのに無駄な仕事だ。
  その他挙げれば切りがないが、こうした結果、配達効率は20~30%は低下した。
  その分配達のスピードを上げるのだが、その結果配達事故も多くなる。待ち受けているのは、叱責。
  客の苦情なら仕方ないが、客よりJPCCや支社の「お客様相談室」の方が余程怖い。
  平常時は、交代で週1日の休みがあったが、繁忙期は休みのない日々が約1ヶ月続く。

 法の谷間で搾取される労働者

こうした条件は郵政だけではない。他の宅配業者も同等かこれ以下。佐川の委託は完全歩合で、1個150円。ペリカンから奪ったアマゾンは130円。ダンピングのしわ寄せである。
  苦情処理対応も全て受託者がしなければならない。平常期でも1ヶ月に3000個を配ると言うから、殺人的労働である。

委託契約というのは、一定の業務量をこなせば、時間に制約されないところに旨味がある。しかし宅配業の委託は、事実上時間も拘束される。企業にとっては、社会保険料を払わなくても良い、労災の責任も問われない、勤務時間管理の責任もない、等など都合の良い事この上ない。そして、直接雇用よりはるかに安上がり。

郵政を含む宅配業者は同じ事をしている。
  宅配業の成長は、受託者の犠牲の上に成り立っている。にも拘わらず、ミスをすれば解約解除をチラつかせる。労働契約ではないので、労働法の適用を受けない。その事を良いことに、会社は酷使している。
  派遣労働が社会問題になった時に「偽装請負」が問題になったが、配達委託もこれに近い。過去の判決を見ると、どれだけ委託する側の支配下・指揮下に置かれているかが判断基準となる。
 ・朝礼から20時以降配達まで、実態的に時間を1日中拘束される。
 ・朝礼でのロープレなどで、作業方法が細かく指示される。
 ・制服の着用。
  こうした事を、どの様に評価するかがポイントになるであろう。

ちなみに、以前佐川は受託者の車に佐川のステッカーを張っていたが、これを止めた。偽装請負と判断される事を恐れたのであろう。

更に大きな問題なのは、「椿本グループ」という会社の受託者が働いていること。
  車には「TMG」のステッカーが張ってある。事業会社から同社が受託し、さらに委託に出している。つまり孫請けなのだ。契約は同社が行なっているが、その他の配達や事務は、他の受託者と同じように、孫請けが行なっている。典型的なピンハネである。
  「椿本グループ」は大阪茨木市に本社があり、西日本(福岡・広島・神戸・南大阪)を主に事業展開。愛知・東京・仙台にも営業所がある。同社のHPによると、社員180名に対して、保有する車は1800台。つまり、車をリースして委託をさせピンハネをしている。こうした場合、受託した方だけでなく、委託した方(事業会社)の責任も発生する。

 同じ働く仲間として連帯を

繁忙期中、業務事故が続いた。受託者によるものも多い。会社はその度に朝礼で周知する。あたかも受託者に責任があるかの如く。しかし、事故の原因は会社にある。
  ドリーム端末は、例えば期日指定や時間帯指定を間違えて配達入力すると、警告が出る優れた機能がついていた。そうした端末に慣れた人が、低機能の端末を使うのだから、間違うのは必然だろう。

それでは何故、統合の際にドリーム端末を採用しなかったのか。
  同機種は高価なので採用しなかった。コンピューターのプログラムの統一が間に合わなかった。等の噂があるが、何れにしても統合を焦ったのは間違いない。小包と荷物は、形状は一緒でも育った文化がまるで違う。こうした背景を無視して統合した結末が、今日の姿だ。

こうした事実を隠して、会社は事故が起きると「気をつけろ」と朝礼で長々と説教する。「契約解除」をちらつかせて恫喝をする。そして、「受託者の怠慢が事故の原因」との情報を職場に流し、社員に受託者への不信を煽る。
  直接雇用であれ間接雇用であれ、同じ職場同じ会社で働く労働者に違いはない。協力・共同して、直接雇用への切り替えを求めるか、契約条件の向上(単価の引き上げと会社の指揮の緩和)を求めていく必要がある。

(呉通信員)