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Headline 2011

リストラには、津波のような喪失感がある    (02.24)

(NZ地震の救援に願いを、そして犠牲者のみなさまに、ご冥福をお祈りいたします)

地震は、ガラガラと現実を崩壊させてその場に残す「現実」が残酷だが、津波は一切を引きずり持ち去る「むなしさ」が、残された人に何とも言えない喪失感をもたらす。

降って湧いたように、年末から年明けにかけての社長のコメントやマスコミ報道に職場は振り回されている。
そして、その結果が、ゆうメイトに対する2月末までの課長面談による、リストラ宣告である。それも、自己都合退社を誘導しているようだ。「会社からの退社宣告は、履歴に傷がつく」のだという。

おいおい、これだけ新聞で「郵便事業赤字」が報道されているのに、「会社都合退職」が巷にあふれたらイメージダウンとでも郵便事業会社は思っているのだろうか。
  いまさらながらである。

まず、真っ先に、集配順立ゆうメイトさんに「早朝、夜勤の郵便課へ」の選択が迫られた。
  昼間勤務の労働者は、昼間勤務で日常生活を組み立てている。
  突然、そういう言い方でリストラを迫る支店長・課長連のいやらしさが見て取れる。
  その波は、郵便内勤ゆうメイトに「集配ゆうメイトさんがここにきて、勤務時間が減るらしい」と伝わり、支店長名と課長名で「事業赤字による退職希望の申告」が周知された。
  一連の新聞報道が、現場に現実として押し寄せたのは2月に入ってからである。

管理者たちは、2月末までに、ゆうメイトたちに「3月末退社」を宣告しなければならない。その成果が、自己の栄転につながるかのようないやらしさがここにもある。
  ゆうメイトの多くはこう思う。
  「なんで私たちが(安い給料の私たちが)首切られるの。そんなんなら、あちこちの正社員を辞めさせる方が筋が通るんじゃないの」
  そこへ課長がよってきて、
  「会社はゆうメイトを切れと言うけど、あの特殊のしゃべってばかりいる正社員を辞めさせる方が、ずっと会社のためだよなぁ」

 ああ、私たちの職場も、こうなってしまった。

最終的に会社側が導きたいのは、非正規社員と正社員の明確な分断と、正社員への成績給導入による年500億円のコスト削減という、3年前から言われている「成果主義=3割カット→成果配分=+500億円」の強行であろう。(そういう意味では、昨年の亀井元大臣の発言は非正規と正規との架け橋であったと思う)

支部交渉を15年携わった身としては、三六協定こそが、「実効あるスト」を打てない労働組合の最後の砦だと思う。
  毎月だった三六交渉は、月末に職場内すべてを見渡す緊張感があった。それが月末20日期限になっても、月半ばから職場点検が始まり、逆に時間があるが故に、多くの問題が労使交渉となった。

三六締結が二カ月になり、1年になったことは、いかに「労働組合」の存在が軽くなってきたかということであり、二年締結になるというのは、大労組が組合員だけでは三六権を持てず、非正規社員に頭を下げて回らなければならないなどとという者もいる始末。労働現場に平身低頭することが「屈辱」だなどと勘違いしているのではないかと思ってしまう。

この三月は1年でたった一度、JP労組が三六交渉権を「錦」として会社側と真摯に渡り合える季節だ。
  この期に合わせて、非常勤の大リストラを公然と行ってきた郵便事業会社は、いかにJP労組が20万人の非常勤ゆうメイトと遊離した存在かを分析している。

今の私は無力である。ゆうメイトたちに、声をかけるしか術はないが、伝送便の読者たちの多くがいまだJP労組に留まって、「この職場をなんとかしたい」と思っている時、職場の主役(労働力の主要提供者たち)ゆうメイトたちの間には、まさに津波のように、「郵便事業」への求心性が失われている。

「もう、いいですよ」
  「どうせ九月に辞めさせられるなら、もういいですよ」
  「あれもこれも押しつけられるなら、もういいですよ」
  「正社員の道が見えたのに、もう諦めです、もういいですよ」

ああ、この喪失感は何だ。年末の、会社一丸となった「ゆうパック信頼回復」の気運は、年が明けて「お金、使いすぎました」がオチで、公然と大リストラではあまりにも情けない。

正社員であるわが身が、津波に襲われた村を、津波に襲われる街を、高台から、まるで、土台のしっかりした高級ホテルの上階から「見下ろして」いるようで、そこにも空しさが湧きあがる。

労働運動は、現場の底辺に身をおいてこそ奮起できるものと思う。古い考えかもしれないが、25年前に静岡南局という地域区分局の、深夜勤導入の真っただ中に飛び込んで、みんな正規郵便局員の中で、死を身近に引き寄せる深夜労働職場のそこに身を置いてこそ、心底、労働運動が発揮できると心躍った。

まあ、正社員=労働貴族の図式は、郵便事業会社にあってはすぐに崩れるだろうが。

(報告:JP労組清水支部 白井 じろう)