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Headline 2011

JP労組第4回全国大会へ現場の声をぶつけよう    (06.14)
JP労組大会用情宣紙「奔流(ほんりゅう)」No.115より転載

世界の人々と共に脱原発を掲げよ

JP労組第4回定期全国大会に参加されたみなさん!

日本の歴史を大きく塗り替える日となった3.11、あの日から3ヶ月後に川崎市で開催される本大会はまさに歴史的な意味を持つ大会となります。
南三陸町志津川郵便局  3月11日、東日本を襲った大地震と津波は、多くの郵政関係労働者の生命をも一瞬にして奪い去りました。その数は行方不明者も含め61人にのぼるといいます。職場も家も流され、今も避難所生活を余儀なくされている仲間もいます。
  そんな中、がれきに覆われた街を赤バイクに乗り、被災者に心のたよりを届ける郵便労働者の姿は多くの人々の感動をよびました。心を運ぶ、情報を伝えるという郵便の原点があらためて浮かびあがったのです。ゆうちょ、かんぽも含めまさにライフラインとしての郵政事業の存在意義が今回ほど認識された時はないでしょう.。

日本郵政グループでは震災発生直後に「グループ危機管理委員会」を設置して各社対応を行ったようですが、いくら「想定外」とはいえ、そのスピードの遅さは目にあまるものがありました。
  同業他社のヤマト運輸が全社を挙げて行った「救援物資輸送協力隊」などの取組みとは対照的です。自らも被災者である社員が市の職員へ自発的に申し出て、被災者への救援物資の管理や配送の手伝いを始めたという現場の動きを聞いたヤマト運輸本社がこれを追認し、直ちにグループ各社から人員を集めて応援隊を編成したといいます。
  また同社では被災地支援と復興のため「宅急便1個につき10円の寄付」を実施するとともに、社員のボランティア休暇制度の整備や全社員の共通ワッペン、車体ステッカーなどを展開するといいます。

いくら郵政が巨大組織で分社化しているとはいえ、情報伝達網も含めた危機管理体制と行動力の脆弱さが露呈しました。
  今後いつ起きてもおかしくない直下型地震に備えた外務、内務社員の緊急避難マニュアルの早急な策定とライフラインとしての郵政ネットワークの危機対応が求められます。

JP新聞大会議案書ボランティア休暇の積極的取得を

JP労組は、「震災対策本部」を設置し、安否確認、支援物資の送付、カンパ活動を取組み、連合ボランティア派遣要請にもとづき本部役職員・地方機関の代表を被災地に派遣し支援活動を展開しましたが、助け合いを掲げる労組として、非常事態に即応できる体制づくりとともに、組合員にボランティア休暇(年間5日間)の積極的取得を呼びかけ支援活動を行うなどの取組みが今後求められます。

一方、原発事故により現在も高濃度の放射線が計測される地域で外務作業を行っている労働者は見えない放射能に不安な日々を過ごしています。住民の姿がまばらな周辺地域を、外務員は被ばくをおそれ自主的に雨合羽を着て作業しているのです。
  会社はようやく周辺地域の支店・局に高精度の放射線計測器を3台ずつ配置することを決めましたが、はたして高い放射線量が計測されたら外務作業を制限するのか、その基準や権限も不明なままです。労組として組合員の健康と安全を守るためにも早急な対策が求められます。

なぜ脱原発を言えないのか

  福島原発事故を契機として世界が脱原発社会へと大きく舵をきろうとしている今、JP労組の大会議案書では脱原発の一言も触れずじまいです。
議案書  「エネルギー政策などの基本政策については政党間の議論や連合の議論の進捗を見極めつつ、組織内議論の準備を進めていきます」と他人まかせ。そして「基本政策に対する組合員の考えは多様であり、一つの結論を得るのは容易ではありません。議論過程における意見の対立が組織の団結力を低下させることがないよう、慎重に対応していくこととします」と議論さえ封じ込めようとしているあり様です。

大震災については、「安全・安心を軸とする社会づくりの重要性、絆の尊さや助け合いの大切さを考えさせる機会となりました。この教訓を活かし・・・福祉型労働運動の本格展開につながていくこととします」と述べたにすぎません。

すでに連合中央が福島原発事故を受けて脱原発の方針を明らかにしたというのに、今も組合員が被ばくの恐怖にさらされているにもかかわらずJP労組は何一つ打ちだせないのです。
  原発の安全神話が崩れ日本のエネルギー政策が根本から問い直されている今も、旧民社党-全郵政組合員は原発推進に拘泥していると本部は考えているのでしょうか。
  意見の対立があるのなら正々堂々と討論し、労組としての方針を打ち立てるべきです。「地球環境を守る」ための「JP労組エコ運動」を提起する前に、はっきりと脱原発方針を掲げるべきです。

スト権を行使してこそ労働組合

スト権投票は組合の基本

今春闘はJP労組の歴史に大きな汚点を残しました。会社経営が厳しいからという理由で労働者の生活費の一部である一時金の大幅削減(3割超)を認めてしまったのです。
  さすがに生涯賃金に影響する定期昇給カットまでは承認しませんでしたが、会社は「できる協約」(現行協約では、昇給させることができるという条文)の解釈について撤回してはおらず、来年度以降も交渉にのぼる可能性は否定できません。

かつては春闘といえば、ベア30%超アップという時代もありましたが、今やベア要求どころか一時金カット、定期昇給カットまで俎上にのぼる賃下げ交渉になってしまったのです。「春季生活闘争」とは呼びますが、闘争に入る前から闘いの武器を放棄してしまったJP労組に勝ち目はありません。
  労働組合が経営に対抗する手段として、労働組合法に規定されているストライキが最大の武器としてあります。
  JP労組の規約第八章にも「ストライキ権は全組合員の直接無記名投票により、有効投票数の三分の二以上の賛成を得て確立する」と銘記しています。しかし、労組結成以来、ストライキ権投票は実施どころか俎上にすらのぼったことはなく、もはや死文と化してしまったようです。

連合の民間大単産の多くが毎年実施しているにもかかわらず、JP労組は労使パートナー宣言を結んだ以上、永久にストライキは放棄したとでも言うのでしょうか。あらかじめ丸腰での交渉では、相手に足元を見られてもしかたありません。

一時金削減は本給・定昇カットの先取り

今春闘ではあまりに低い一次回答に組合として初めて「抗議行動」(はがき・レタックス)を実施、それが功を奏したのか0.2ヶ月(一時金)の上積みを引き出したとはいえ、今後の労組の行方に大きな禍根を残す妥結となったのは確実です。
  今回の郵便事業危機の原因となった宅配統合混乱の経営責任追及はおざなりのまま、「債務超過」の脅し文句に屈服し異例の一時金3割減を呑んだ本部、いくら年末に「特別報奨金を支給することを検討」という回答(0.2ヶ月といわれる)を得たとはいえ、来年度についても黒字化を前提に本年度と同様の一時金カットを容認したも同然です。
cut  会社の損益を人件費で補填しようというそもそものやり方を批判できない本部の姿勢があるかぎり、来春闘は一時金3カ月をベースに再び定昇実施を含む攻防となることは必至です。さらに会社側は凍結していた「新たな人事給与制度」について提案し、実質の給与本体の低位水準化について踏み切る構えをみせており、「会社存続」の名のもとに本給カットまで手を伸ばそうとしているのです。

経営陣の失敗を労働者に尻拭いさせようとする会社に対し、労働組合として最低限の権利であるストライキ権を担保し、交渉に臨むのはあたりまえのことです。公務員時代の「スト違法論」をひきずり、ストライキをタブー視する労組幹部にはその資格はありません。

組合も変わらなくてはいけない

結成4年を迎えるJP労組ですが、目標にかかげた30万人組織建設には程遠く、組合内部の空洞化は否定しようもありません。
  組織総力をあげて取り組んだという「なんば選挙」も当選したとはいえ得票は14万票余でJP組合員の6割にも満たない数でした。組織としての求心力はおろか帰属意識さえ希薄な、いわば名ばかり組合員が増殖しているのが現状です。
  いくら本部が「助け合いの精神」「こんにちは運動」「JP愛ネット運動」を提起しても現場組合員には空虚に響くだけです。
  本部が議案書で提起する「企業風土改革に向けて」の項目の中にある「上意下達型の組織運営からの脱却」「縦割り組織の弊害克服」「管理者教育の再構築」「社員意見の傾聴」などはそのまま今の本部に投げ返したい言葉です。

数々の経営の失敗原因を「風通しの悪い企業風土」にすり替え、自らの決断力のなさを、不透明な「郵政改革法」の行方のせいにする斎藤―鍋倉社長以下日本郵政の責任は報酬カットで済む問題ではありません。
  そして、チェック機能もなく数々の愚策に手を貸してきたJP労組幹部の責任も重大です。今、喫緊に求められるのは組織改革です。

会社が本社機能を縮小し支社・支店機能の拡充を志向するように、組合も中央集権化した本部機能を地方本部・支部・分会に委譲することが求められます。
  本部一元化の組織を改め、36交渉権はもとより、スト権をも視野に入れた現場主体の連合体組織への改革です。また連合指針で提起している地域ユニオンへの二重加盟推進も積極的に行い、未組織、非正規労働者の組織化や、原発問題や過疎化問題をはじめとした地域課題にも市民組合員として参加し、職場活動に還元するのです。
  さらに、今回の春闘妥結で顕著となった企業内組合の限界を克服する視点から同業他社の労働者との連携を行い、新たな産別組織の結成も求められます。企業のシェア争いに巻き込まれ労働条件のダンピング競争に歯止めをかけるためにも地域、産業別の労働組織の再編は急務です。

全特の解体を 希望者全員の正社員化を

組織改革でもう一つ求められるものは、「全特」の解体です。
  「聖域なき見直し」と言われながら民営化後も「特定局制度」は実質温存され、全特は政治力を駆使して郵政事業全体にその影響力を広げ、事業改革の大きな足かせとなっています。民営化後は政治団体「郵政政策研究会」を旗揚げし、先の参院選では全国2万人の局長が公然と選挙活動を展開しました。落選したとはいえ40万余票を獲得、なんば候補とは対照的な結果となりました。
  今や郵政グループへの影響力はJP労組を凌いでいるのはまぎれもない事実、郵政法案成立に関してもJP労組は全特に依存している現実があります。法案では2万人の局長の地位は堅持され、全特は統合された局会社・郵便事業会社・日本郵政の覇権を握り、ゆうちょ・かんぽ会社をその配下に治めようとしているのです。

cut民営化から4年、いまだ半官半民のままの郵政職場、この間分社化の既成事実化だけは確実に進行し、グループの一体感はますます希薄になっていきました。
  そんな中、今春闘での「各社原則横並び」妥結に対しては、事業会社以外の組合員から不満が噴出し分断に拍車をかけています。

一方、昨年わずかながら実施された非正規の正社員化(約8,400人)について、今年度も実施が確約されているものの来年度以降は実施が危ぶまれており、正規・非正規の分断固定化はさらに進もうとしています。各社間の溝、正・非正規の溝は深まり職場の閉塞感は増すばかりです。

本大会では、いまだ収束の目途さえ見えない原発事故の現状を直視し、地域に密着した労働組合としてきっぱりと脱原発の方針を打ち立て行動を起こすこと、そして労働者に責任転嫁する日本郵政経営陣と腹をすえた闘いを決意することが求められているのです。

(2011年6月15日)