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Headline 2011

ゆうちょ銀行物語   (08.31)
無法職場の放置を許さない

ゆうちょ銀行第一話

「働きやすい環境」づくり?

ゆうちょ銀行では、一昨年12月、金融庁の業務改善命令に対する対応策として、昨年から、いわゆる「10年異動」を実施してきた。
  そこで、その対象となった女性社員のSさん、浜松店勤務中は、勤務時間前後に保育園の送迎のため、2時間の育児部分休業を取得していたが、愛知県の豊橋店異動に伴い、2時間の部分休業分はすべて通勤時間に消えてしまうことになった。
  ゆうちょ銀行は、「人事異動の考え方」で、「育休中の社員、育児・介護のため異動が困難な社員の個別事情を踏まえる」と周知しているにもかかわらず、掟破りの人事発令である。彼女は、それにより育児に支障をきたす、なおかつ子供を保育園にあずけてから出勤するために駅の近くに駐車場を借りなくてはならなくなり、余分な出費もかさむなど、たくさんの不利益を被ることとなった。

ゆうちょ銀行HPはかく言う。「働きやすい職場」づくりのために、「社員が仕事と家庭を両立し、自己の能力を充分に発揮できる「働きやすい職場」を目指し、育児や介護に対する支援制度を整備するほか、労働時間の短縮や休暇取得の促進、関連セミナーの実施など、社員への支援に取り組んでいます。平成22年度には、次世代認定マーク(くるみんマーク)を取得しました。」などとヌケヌケと言い、Sさんの扱いとこの公式見解と比べれば、二枚舌の極みだ。

育児・介護休業法26条では、「事業主は、労働者を転勤させようとするときは、育児や介護が困難となる労働者について、その育児又は介護の状況に配慮しなければならない」としている。ゆうちょ銀行が行った彼女への人事発令は、明確に法律の趣旨に背くものであり、「コンプライアンスなくして会社は存続し得ない」というトップメッセージが聞いて呆れるというものだ。

執拗なパワハラと嫌がらせ

彼女への仕打ちは、この問題から始まる。豊橋店着任後、今度は店長らによるパワハラ被害を受けることになるのだ。
  彼女は、ひどい花粉症で常時マスクを着用しながら勤務していたのだが、店長はマスクを着用して窓口業務につくことを禁止し、彼女だけ窓口係を外して、後方の雑務を行うよう命令した。さらに、窓口係を外しておいて、「窓口営業日誌」を毎日書かせ、本人が記入を拒否すると店長は、「仕事をしてて何も感じないのか」などという挑発的コメントを日誌に記し返した。
  そしてある日、「窓口営業日誌」に、体調が悪い旨書いたところ、翌日から、いきなり「局周活動」と称して、約一時間にわたって豊橋店周辺のチラシ配布を行うよう命じる。チラシ配りによって、彼女の花粉症は悪化し、涙と鼻水で頭痛がしてきたという。豊橋店では「局周活動」など行ったことはなく、彼女へのイジメ・人権侵害であることは誰が見ても明らかであった。

事ここに及んで、彼女は「身の危険」を感じたという。「ゆうちょ銀行は、私を職場から排除しようとしているのではないか」と。
  彼女は、民営化直前、浜松局貯保課長のセクハラ行為を朝礼の場で告発し、それが引き金となって課長が退職に追い込まれたことや、自分が権利を行使して部分育休を取得していることなどへの報復が始まったのではないかと。そんなふうに感じたという。

ユニオン加入きっぱりと決意

彼女はJP労組の組合員だったが、「なんとなく大きな組合にいた方が安全なのでは」「異動もある程度やむを得ないのではないか」といった程度の平均的な意識であったが、課長のセクハラ事件をきっかけにその意識は大きく変化する。
  意識の変化を促したのは同じ職場のJP労組の幹部の言動だ。その幹部某は、セクハラ被害女性に対してこう言い切った。「あなたがセクハラを問題視し明るみにすれば、課長の生活を壊すことになるが、それでもいいか」と。彼女はこの被害女性への恫喝を聞いた瞬間、「彼は、ぜったいに私たちの味方ではない。敵だ」と、キッパリ結論を出したのである。

その後彼女は、JP労組を脱退してユニオンに加入となるが、そこから反撃が始まる。
  ゆうちょ銀行にとってはまさに青天のへきれきであり、東海エリア本部との交渉では、異動を除いて彼女の要求のほとんどが満たされることとなる。反撃の材料は事欠かない。
  動転した豊橋店管理者は、彼女に対して、「組合替わったのか?」「どういう心境の変化なのか?」「考え直すつもりはないのか?」などと発言した。JP労組との蜜月と弛緩した労使関係に慣れてしまったゆうちょ銀行は、合法と違法の境目も分からなくなってしまったようだ。
  この発言は、「JP労組育成、ユニオン嫌悪」の労組法七条三号(支配・介入)に違反する不当労働行為であることは明らかであり、君ら管理者がもう一度トップメッセージを唱和しよう。「コンプライアンスなくして会社は存続し得ない」と。        

ゆうちょ銀行第二話

現場管理者も連帯・団結する

昨年9月、浜松店で働く17名の社員が連名で内部通報窓口(本社コンプライアンス統括部)へ申告を行った。
  申告の趣旨は、店長による窓口サービス部長へのイジメがエスカレートして、社員は毎日ウンザリするような見たくもない光景を目にすることによって、職場環境が著しく害されている、というものだ。また、最も近い席で仕事をしている役職者達は店長のパワハラ発言で相当なストレスを感じたという。

店長発言は以下のとおりである。
 1.「こんなに仕事ができない窓サ部長は、全国でお前だけだ」
 2.「文書も読めない奴が、何で部長なんだ」
 3.「他の管理者ができて、何でお前にできないんだ」
 4.「お前、降格するか?」
 5.(窓サ部の営業成績が振るわなかったとき)「お前、こんなこと許されるわけはないだろう。どう責任とるんだ」
 6.「あんた、毎日、何もやってないでしょう」
 7.「あんた、そんなことも分らんのか」
 8.役職者ミーティングの席で、店長が「部長も休みをとるように」という発言を行った際、窓サ部長に対しては、「おまえは、ず~っと休んでいたらどうだ?」、等々である。

当の部長は家族と退職について相談していた。連日13~14時間勤務を続け、当然土日も出勤する。加えて店長からのイジメ・パワハラとなれば「死の領域」であり、退職を決断するのもよくわかる。
  しかし一方で、「たとえ管理者であれ、このような労働実態を放置することはできない。いつ火の粉が自分たちに降りかかるか分らない」という意思が職場内で共有化され、希有な大申告となったのだ。

本社コンプラの回答はおよそ想像できるが、それが主眼ではない。むしろ多くの社員が監視の目を持っていることを見せつけてやることの方が重要である。
  当の部長はこの職場内世論に励まされて、「開き直って職場に残る」ことを決めた。その一方で店長は一年足らずで消えるようにどこかに行ってしまい、赴任先は誰も知らない。

この件で、ユニオンは要求書を提出した。それに触発され、JP労組組合員からも、「JP労組もパワハラをやめろという要求をすべきだ」という意見が出てきた。
  しかし、JP労組執行部は、「組合員に実害が無いので要求は出さない」ことを決めたが、「実害がでても何もしないくせに、やらない理由だけをいつでも考えてるな!」という不満が噴出したのは当然である。
  第一話のケースと同じだが、JP労組はいつでも、セクハラ・パワハラの加害者の側に立つようだ。そして、職場組合員とは立ち位置も目線も全然違う。

ゆうちょ銀行第三話

ロッカー検査の法的根拠

「所持品検査・ロッカー検査」の件である。最高裁はこう判示している。
  「使用者が従業員に対して行う所持品検査は、従業員の基本的人権に関する問題であって、その性質上常に人権侵害のおそれを伴うものであるから、たとえ、それが企業の経営・維持にとって必要かつ効果的な措置であり、他の同種の企業において多く行われるところであるとしても、また、それが労働基準法所定の手続を経て作成・変更された就業規則の条項に基づいて行われ、これについて、従業員組合又は当該職場従業員の過半数の同意があるとしても、そのことの故をもって当然に適法視されるものではない」としている。

この立場が法的な原則である。そのうえで、「所持品検査は(1)必要とする合理的な理由に基づき、(2)一般的に妥当な方法と程度で、(3)制度として職場従業員に対して画一的に実施され、(4)就業規則その他の明示の根拠に基づいて行われるときは、他にそれに代わるべき措置をとりうる余地が絶無ではないとしても適法となる」としているのである。

保身・上意下達が先行

ゆうちょ銀行の日常は、こんな法的立場とは無縁であり、実に単純な「職務命令」のような空気の中で行われている。
  「会社が決めたことだから、協力するのが当然」というムードであり、防犯対策というよりも、「会社への恭順」の意を図るものとして行われているようだ。そのため、被検査率はかなり高いが、それでも「強制か任意か」と改めて問いただし、「任意ならばお断りする」と主張する人たちも中にはいる。
  もし、それでも強制するなら、行政指導させるか、所持品検査禁止の仮処分を裁判所に申し立てることになるが、そこまで会社が腹をくくって強制できる態様ではおよそない。

第一話のSさん、所持品検査の時にポケットに花粉症対策のミンティアが入っていて、管理者から「仕事に関係ないから持ち込むな」と注意されたそうだ。まさにガキの世界だな。

(郵政ユニオン東海地本 鈴木英夫)