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Headline 2011

ノルマがもたらす年賀状販売狂想曲   (11.01)
郵政ユニオン九州地本機関紙11月2日号より転載

いま九州で一番有名な町、佐賀県玄海町の郵便局のナンバー2の課長代理が強盗傷害容疑で逮捕された。顧客(高齢の女性)の定期預金解約金300万円を渡したあと、その女性の首を絞め、奪ったと報道された。金に困ってのことだとしても強盗は犯罪で、いけない。

郵政ユニオン九州地本機関紙「未来」11月となり、年賀状が売り出された。職場では予約先行で、厳しい尻叩きの実態が進んできた。しかも、現在ははがきと現金の交換で、この時期、職員は手持ちの金が必要となる。営業販売では、顧客と品物の交換時に即金とは限らないからだ。
  仮に1万枚を売ると、たちまち50万円がいる。どこからその金が出てくるのか。職員はボーナスが減る中、困っている。また非正規契約社員はボーナスも超低額、大金は出てこない。どうやって年賀はがきの現金取引営業をしろというのか。

この50円の年賀状の発売日前に、すでにネットでは、「1枚45円で売ります」と堂々とでている。
  記事によると、「わが社は昨年65万枚を売った」と実績まで書かれている。年賀状の原価割れという事態に郵政はどう対応しているのだろう。
  バナナの叩き売りではあるまいし、「もってけ!泥棒」と値下げ競争を煽る、年賀状販売狂想曲は、異常すぎるし、職員のモラルも低下し、勤労意欲を奪い去る。

この根っこには、営業ノルマ第一主義の勤務評価と、違法と知りながら、自腹、時間外、職場外営業、原価割れ横流しを事実上黙認、放置、あるいは結果的に推奨(?)する会社に責任がある。
  この年賀はがきの原価割れの理由は、商品取引の「いろは」=市場原理にある通り、年賀はがきが買い手市場になっており、売り手は買い手の「言い値」で売るしかない現実があるからだ。
  その事情は、年賀はがきの需要よりも、供給枚数が多ければ、はがきは売れ残り、原価割れでも売るということになる。
  しかし、そこは、まさか胴元の会社が最初から値引きして売るはずもないから・・・。
  そうすると、社員の誰かが、万単位でこのネットにある某販売会社へ持ち込んでいることになる。その理由は、その社員が大量のはがきを自腹で買い込み、処分に困ったことから値引き合戦となる。

では、なぜその社員は必要枚数以上を買い込むのか。それは年賀はがき販売営業の実績づくりからだ。
  職場で「何千、何万枚以上を売れ」との目標のもと、上司に檄を飛ばされ、毎日パワハラ同然で叱責される職員らが、営業成果を出すために、違法と知りつつ、大量のはがきを自腹で買い込み、原価割れで市場に横流しをしているからだ。
  断言できるが、郵政の社員以外に、損を覚悟ではがきを買い込む人はいない。

ところで、この職員の某さんが、某販売会社に売り渡す値段は45円以下でなければ、その某会社は経営が成り立たない。値引きされたはがき代は多分1枚40円ほどだろう。
  するとその社員は1万枚を売った場合、10万円の赤字となり、その社員は年賀はがき営業目標達成のために、10万円を自己負担していることになる。先の職員の現金強奪事件も、この時期のことだ、
  真相はどうだろう。

数年前から、非正規契約者員の販売目標も出され始めたが、噂では「1万枚以上の販売者が正社員になる条件」といわれた。しかし、ある人は去年も一昨年も1万枚以上を売ったが、正社員への登用はなかった。噂はなんだったのだろう。
  馬の鼻先の人参よろしく、弱い立場の人の心を弄(もてあそぶ)会社のありよう=仕組みは、正しくない。

今年も、正社員登用試験が12日から始まるが、また「年賀状販売」の目標を釣りあげ、今度は2万枚以上だとかの噂を流し、職員を走りまわせるのだろう。
  私たちは自腹をなくし、原価割れ横流しをせず、勤務時間外の夜昼問わない営業活動ではなく、ただ働きをしない営業で、年賀はがきを売る。こうした営業活動を考えたい。
  なぜなら、社会も会社も法律遵守とコンプライアンスが第一である。営業の仕事でもこれは当てはまるからだ。
  売れさえすれば「無茶は問わない」とはならない。そんな違法な営業では、会社も社員も結果的に破滅するからだ。

過去、偽装表示だとか食品中毒事件だとかで倒産した会社はたくさんある。
  民営化された郵政の会社でも、お年玉付きの旧「官制」の年賀はがきはいまも独占販売であるが、それが原価割れしているということは、販売する郵政その原因があると思う。
  そしてその原点に、違法状態を野放しにする年賀はがき営業狂想曲がある。
  これは社内の事情からとすると、定価の偽装表示ではないか。
  以前、会社は営業でアクセル(営業成果主義)とブレーキ(コンプライアンス)を同時に踏んでいるとマスコミから批判されたが、これでは車は動かないし、最後は壊れてしまう。
  年賀はがきは会社のドル箱から不良債権化し、会社そのものが泥船になってしまう。

社員の営業のありようは会社のありようも決める。

郵政労働者ユニオン九州地方本部機関紙「みらい」No.3151 11月2日)