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Headline 2011

年賀ハガキの市場での値段はどのくらい?   (11.10)
風が吹けば桶屋が儲かる。営業の尻叩きをすれば企業のコストダウンに結びつく?

「悪いけどうちは郵便屋さんからは買わないよ、これがあるから」と、見せられたのが、1枚46.5円の値段が付けられたチラシ。
年賀ハガキ46.5円  最低200枚単位からとあるが、その下には「20万円以上注文で送料無料です」とある。約4300枚。完全に大量に年賀状を差し出す企業にターゲットを絞ったチラシだ。
  しかもこのチラシにはインターネットからの注文も受け付けるとあるから、この業者、相当な在庫量を誇っているのだろう。
  なるほど、今どきの自爆年賀の売りさばき方はネットをサクッと検索して一番高く買ってくれそうな所に郵送するのだろう。背を丸めてこっそりチケット屋に持ち込むというこれまでの哀愁漂う郵便屋さんの姿もそのうちなくなるのかも知れない。

郵便事業会社も企業向け営業には力を入れている。2011年度アクションプランには以下のような記述がある。

・ビジネスユース(年賀タウン・オリジナル年賀・年賀DM)の利用拡大を図るため、今期は、前年実績125%アップの8,100万枚を目標に掲げて、法人パーソン・営業専担者等による、平常期からの営業活動を展開。

そのビジネスユース向けに配られた46.5円の年賀ハガキが何十万円単位からも購入可能という。右のチラシに対抗する現場法人営業パーソンの苦労はいかばかりか。

ちなみに郵政ユニオンが大会要求として出した1項目には「営業活動に関して、買い取りの強要などの不適正営業を根絶するための指導を徹底すること。また、郵便内務社員など、利用者との接点が限定されている社員に対する個人目標は設定しないこと」とあり、それに対する会社側回答は以下のようなものである。

営業活動は、「実需の掘り起こし」「実需に基づく営業」によって行うものであり、「実需のない買取」など不適正な営業活動を行うことのないよう指導しているところ。

全国どこのチケット屋にも普通に見られる年賀ハガキの安値販売や今回のチラシのような事例は、ちょっとした指導が行き届かなかった結果なのだろうか。
  今年だけではない、毎年繰り返されるこの光景は、毎年指導が行き届かなかった結果なのだろうか。毎年毎年。

震災義援切手。額面80円の切手に20円足して、ほとんど善意の「押し売り」販売を繰り広げ、やっぱり売れないよねと販売期間を一月延ばしてまでも現場で必死の営業尻叩きをしたにもかかわらず、実際の販売実績は60%を切るとの情報もある。
  東京御徒町のひなびたチケット屋。「大量購入なら安くするよ」と1シート1000円の義援切手を、698円で入手できた。この業者、いったいいくらで引き取ったのだろう。持ち込んだ郵便屋さんの顔がゆがむ光景が目に浮かぶ。

営業ノルマは毎年毎年上積みされていく。そのたびに実需に基づかない架空の営業成績も積み上がり、市場には大量の安い年賀ハガキがさらに出回るようになる。
  企業にとっては額面より安い年賀ハガキを簡単に大量に購入できるのだから、そのコストダウンには相当貢献しているのだろうが、郵便事業会社の信用は年々相当落ちていっているに違いない。いくら営業をかけようとも、冒頭のように「悪いけどうちは郵便屋さんからは買わないよ」というところが今後ますます増えていくばかりだろう。

 窮したタコが自分の足を食っているようなものだ。

(多田野 Dave)