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セクハラ・パワハラ事件、広島地裁に提訴    (03.27)
3月22日、日本郵便福山市店の期間雇用社員が会社を相手に提訴

福山支店のセクハラ事件については、これまで何度も報告してきました。
  占部さんは、06年1月11日、福山支店1集に8H雇用ゆうメイトとして採用になり、一貫して通配業務に携わっています。
  採用の半年後から課長代理Xによるパワハラが始まりました。Xは正社員退職後もゆうメイトとして採用され、フロント業務に携わっていますが、パワハラは継続しました。

 *資料 ・ セクハラ・パワハラ・退職強要―無法地帯の福山支店 (11/08.09)

10年1月には、年末繁忙の連日の超勤で体調を崩し、救急車で運ばれても勤務をしたが、12日連続勤務の最後の日に早退した。これに対してXは、「体調管理も出来んヤツが職場におっても迷惑じゃ。仕事は遊びじゃないんじゃ。わかっとんか」等の暴言を浴びせました。
  こうしたパワハラで、占部さんは何度も体調を崩し、心療内科の治療を受けたり、仕事を休まざるを得ない状態になりました。
  福山支店はこうした事態を放置したばかりか、集配課長までパワハラを行なうようになり、挙げ句の果てに業企室長と共に退職の強要を行ないました。

ユニオン呉支部機関紙占部さんは昨年7月にユニオンに加入しました。福山支店にユニオンが存在しないため、呉支部の所属としました。
  昨年8月以来、呉支部は会社に対してこの問題について「支部労使委員会」の開催を求めてきました。ところが会社側は、これに応じようとしませんでした。
  そこで、呉支部は当事者である組合員の占部亜紀さん(38歳)と協議し、3月22日に広島地裁に損害賠償請求裁判を提訴しました。

630万円の損害賠償を請求

以下、訴状の要旨です。

1 被告X(福山支店1集社員)の不法行為

  1. 原告の入社間もなく事あるごとに理由無く原告を怒鳴りつけるようになった。
  2. 10年5月20時頃自宅にいた原告に3回電話をかけて、バイクの鍵が見あたらないことを原告の責任に決めつけ「この窃盗犯が」「お前がやっているのは犯罪じゃ。鍵出せや、こらあ」等と罵倒した。
  3. 10年頃からXは原告を名前で呼ぶのでなく「ババア」などと呼称するようになった。原告が聞こえる範囲にいるにも拘わらず、「あのババア」「占部の馬鹿」などと蔑称するようになった。
  4. Xの各行為は、理由無く原告に精神的苦痛を与え、民法709号の規定する不法行為に該当する。

2 被告Y(第1集配課長)の不法行為

  1. 交通事故の際のパワハラ行為
      11年6月13日、原告はバイクで集配業務中に軽自動車と接触した。原告からの電話で現場に来たYは、「お前が悪い。これが避けられないならバイクに乗る資格はないわ」と原告に詰め寄った。帰店後もYは「修理代が10万円以上かかったら処分だから。110CCには一生載せないから」と言い放った。後日の示談で、過失割合は50対50で合意された。
      Yの行為は、原告からの事情聴取することなく、一方的に原告に責任を追及し、パワハラに該当する違法行為である。
      このパワハラによって原告は、「辞めるしかない。消えてしまいたい」と思い悩み、精神的苦痛を被る事になった。
  2. ロッカー検査の強要
      11年9月17日Yは、原告が「男性に検査をされるのは断る」と明確な意思表示をしたにも拘わらず、「これは任意じゃない。会社の決まり事だ」といって、執拗に検査を強要した。
    不法行為はやめろ  これは不相当な手段でプライバシーを制約する違法行為であり、原告は精神的苦痛を受けた。民法709号の規定する不法行為に該当する。

3 被告Y及びZの共同不法行為(退職の強要)

11年7月29日、両名は原告を休憩室に呼び出し、原告に退職を強要した。その時間は30分に及んだこと、休憩室であったため翌日には同僚の知るところとなり、「オマエ辞めるんか」と言われるようになった。これにより原告は、周囲から何れ退職をすると見られるようになった。
  被告らの行為は、違法に労働者の権利を侵害する違法行為である。

4 被告Z(業企室長)の不法行為(退職の強要)

12年8月3日休憩室において、原告に「10月から1日の勤務時間を4ないし6時間程度に変更します」と通知した。原告は「生活があるので、それは困る」と抗議した。にも拘わらず被告は強い口調で、「会社の方針です。困る困らないの問題ではありません」と言い放った。
  職場の慣行に反し、同意を得ずに勤務時間の変更を強要した行為は、退職の強要であると言わざるを得ず、民法709号の規定する不法行為である。

5 被告郵便事業会社の不法行為(使用者責任)

同社は使用者として、従業員が他の従業員にパワハラ・セクハラを行なうことを防止する義務を負う。被告会社はこれを怠り、その結果不法行為が発生したのであるから、民法715条により不法行為責任を負う。

6 損害額

  1. 慰謝料600万円
      原告はセクハラ・パワハラを受けたことによって著しい精神的苦痛を受け、不眠・精神不安等の症状を呈するようになった。これをあえて金銭評価するならば600万円は下らない。
  2. 弁護士費用30万円

裁判の意義

22日10時、原告代理人の西岡・武井弁護士(笹木事務所)が広島地裁に提訴を行なった。その後、弁護士会3月23日読売報館で両弁護士と呉支部米今書記長等の関係者が、記者会見を行なった。その内容は23日の中国・読売新聞の朝刊に掲載された。

福山支店事件の背景には、交通事故・業務事故を発生させた者への懲罰、実情を無視した経費削減(超勤カットやスキルダウン)、異常なまでの営業成績の追求という、民営化後の会社の姿勢がある。その結果、Xのような暴力的な言動を取る社員が出てくる。
  特に、立場の弱い期間契約社員に対する管理者の振るまいは、人権を侵害している。
  個々の管理者の資質ではなく、会社の体質・施策に原因がある。

一方、会社の「人権相談窓口」があるが機能していない。
  以前は男性だけの職場だった集配に、女性が多く雇用されるようになった。必然的にセクハラが発生しやすくなったにも拘わらず、会社の対策はおざなりだった。
  集配課では、女性管理者は皆無にも近い。女性のロッカー検査を誰がするのかの規定も無い。女性社員にやらせる支店もある。ところが男性課長がロッカーのある更衣室に入ること自体がセクハラである。

郵政ユニオンへの以前の相談は、「賃金が低い・休暇が少ない・正社員との格差」といった内容が多かったが、最近の相談はパワハラ・セクハラの相談が急増している。
  しかし、こうした問題は表面化しにくい。事実の証明が難しい、報復が予測される、等々の理由で多くの社員、特に期間契約社員は泣き寝入りを余儀なくされている。
  郵政ユニオンは交渉を行なっているが、労使協約の不備もあって、交渉での解決が困難。会社は逃げ回って時間を稼ぎ、事件を風化させウヤムヤにする。

今回の裁判によって、こうした姿勢の会社に警告をする。
  併せて、パワハラに苦しんでいる社員に、「泣き寝入りせずに闘おう」とのメッセージを送りたい。
  呉支部は勝訴に全力を挙げる。

(郵政ユニオン呉支部機関紙3月27日号より転載)