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♪友達100人できるかな?    (10.04)
「私のお客さま100」の愚

「♪友達100人できるかな#」、こんな歌のフレーズが今職場で流行っている。10月末までに各自100人の顧客リストをあげうという指示が出たためだ。
私のお得意さまリスト  集配外務員全員に配られた「私のお客さま100」における私のお得意さまリスト、と題された用紙には、お得意さま(事業者)名、住所、連絡先(電話)の欄の次に郵便商品利用状況として、年賀葉書、かもめ~る、ゆうパック、ゆうメール、EMS、レターパック、切手、カタログといった商品名が記され、お得意さまの利用状況に○を付けるようになっている。
  担当エリアだけでなく知り合いでも可、班内でお得意さまがだぶっても可、と課長は言うが、実際相手の連絡先や具体的利用状況を記すとなればウソもかけない。そこで先ほどの歌が椰楡されるように口ずさまれるようになったというわけ。

取組の目的とは

「私のお客さま100」取組みの展開新会社発足に合わせたかのように出された今回の「私のお客さま100」という取組の目的は以下のようなものである。
 1.平成24年度単年度黒字化へ向けて、集配営業課等外務社員が配達・集荷時に100名(事業所を含む)のお客さまを訪問し、郵便商品利用顧客(以下マイ顧客と言う)の安定確保を図るとともに、マイ顧客への効率的な外務販売を展開します。
 2.日々お客さま訪問の際には、笑顔のあいさつを徹底することにより、安心と信頼得られるコミュニケーションを身につけ、お客さまとの繋がりをより強いものとします。
 3.「私のお客さま100」とは外務社員一人ひとりが100名のお得意さま」を作ることで、数ある郵便商品の中から固定の商品だけでなく、年間を通じてお得意さまと接し、様々な郵便商品をご利用いただくとともに、特に今期の年賀はがきの一人あたり販売枚数を向上させるため、外務社員の営業力アップも目的としています。

一番のねらいは、「顧客の安定確保」と「効率的な外務販売」にあることは間違いない。言うなれば「広く薄く」から「狭く濃い」営業への切り換えである。

再勧誘禁止・過量販売禁止条項も無視

しかし、これは今でさえ遵守されていない特定商取引法をさらに逸脱する方向に向かうことは明らかであろう。
  契約時の書面交付義務(同法4、5条)など完全に無視している現状に輪をかけて、今後「お得意さまリスト」に載った家には一度断っても、「再勧誘禁止」(同法3条2項)などお構いなしに訪問する。
  さらに「過量販売禁止」(訪問販売の際、消費者が通常必要とされる量を著しく超える商品を購入する契約を結んだ場合契約締結後1年間は、契約の申し込みの撤回又は契約の解除ができる(同法9条)も無視して、切手やカタログなどの郵便商品をまさに押し売りのように次々と売り込む。
  法令遵守など単なるスローガン、実態はとことん、しつこく売り込め、である。

郵政版「カモリスト」

独居老人をターゲットに高級羽毛布団や浄水器などを次々と売り込む業者の間には「カモリスト」と呼ばれる顧客リストが存在することが報道された。一度リストに載れば、様々な訪問販売業者が訪れ高額商品を買わされるはめになるのである。
  被害者は「あまりのしつこさに断れなかった」と答えていたが、制服を着て毎日配達してくれる郵便屋さんから頼まれれば必要なくても買ってしまうことになるというもの。従来は担当者が退職すれば訪問も途絶えることもあろうが、今度「顧客リスト」に上げられたとなれば違う郵便屋さんの訪問を次々と受けることになるのだ。
  個人情報などお構いなし、リストはどんどん利用されることになる。

かりに郵便外務員が20万人だとして1人100人のリストを上げたとすれば、全国で2千万人の顧客がいることになる。
  その顧客が各種郵便商品を次々と購入してくれれば、などと上層部は夢見ていることなどないだろうが、当面は「今期の年賀はがき」で前期以上にノルマをかけ自爆を誘発させる苦肉の策と見たほうがいいだろう。

(竹井進)