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郵便局渉外、不正募集と異常なパワハラ    (10.15)
単身不条理に立ち向かい闘い続ける一職員から

郵便局会社、それも渉外社員からのパワハラ報告事例が増えている。特定局時代からその内部矛盾はつとに問題が多かったが、民営化後、募集営業に絡む過度な締め付けが横行している。その中には明らかな違法行為と思われる事案も少なくない。一つの事例を紹介したい。

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私の職場内で実際に起きている案件です。
  私の上司(パワハラをした担当課長)ですが、部下を引き連れて不正募集を頻繁にしています。具体的には、機構契約(旧簡易保険)を故意に消滅させて、かんぽ生命保険の新規申込をしています。

その手口はまず、営業同行者にほぼすべての事務処理を負わせ自らは責任の追及が及ばないような措置を取ります。同行者にアポイントをとらせる、世帯シートを準備をさせる、OCRの授受をさせる、満期の担当者割当もやらせる、重要式紙を同行者にすべて処理させる、書類の仕上げをさせる、契約者フォローアップをやらせる等です。
  訪問先では、「当時この契約は面接をしましたか?」と聞き「していない」と言うと、満期時に受け取れない等(無効契約である、とお客に言う。契約取り消しができるはず。無効契約にはならない。)のニュアンスを伝え不安をあおります。
  解約返戻金をあらかじめ調査をして、訪問先にてわざわざ教えます。払込途中の契約ならば、最終的に払込総額と満期金の関係を教えます。
  当然ながら、保険には掛け捨て部分が保険料に組み込まれておりますから、払込の額は満期金より多くなるのは当然です。
  「金利引き上げのお知らせの件でお伺いをいたしました」と挨拶後に話す。かんぽ生命の商品は金融商品ではないので、話法的におかしい発言です。かんぽ生命の商品は金利がつきません。保険は金融類似商品です。

これらの話法を使ってお客に解約する意思に傾けるようです。関係者等から寄せられた情報です。
  解約は同行者が受付処理をする、もしくは近くの特定局にお客を解約手続きに出向かせます。彼(担当課長)は一切の手続きをやりません。証拠隠蔽工作でしょう。
  一緒に同行をさせられる職員には、コンプライアンス違反すれすれの行為でリスクを負います。彼(担当課長)は名刺を置いていきません。
  これらの方法を用いて、 かんぽ生命の新規や年金保険の成約をとります。乗換判定にならないように、自らの都合に条件を整えます。同一被保険者ならば、責任開始日を故意的に一ヶ月以上を空ける等です。窓口に来る苦情は近くの特定局に責任転嫁をする詭弁等を使っているようです。

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犯罪である。
  報告者によると、「例の担当課長ですが、役職者としての業務がまったくできません。 困ったことに覚えようともしません。彼(担当課長)は机上のパソコン操作をする作業がまったくできず、保険申込書作成も人に聞かないとできない状況です。はっきりいって役職者(担当課長)としての仕事ができないレベルです。よって他の社員を引き連れてしか営業をしないのです。酷過ぎるレベルです」。

 度を超した執拗なパワハラ

そしてこの担当課長は以前この報告者に対して異常なまでのパワハラを執拗に行っていた。報告者はその数々を克明にメモを取っていた。これが後に功を奏した。
  メモの中から一部引用しよう。

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・平成X年Y月Z日
  私が昼食をとっているときに携帯に電話があり「回ろうぜ」。私が「食事中です」と言うと「え、食べるの?さぼる人間とは思わなかった」。
  ・平成X年Y月Z日
  pm3:30頃、仕事携帯に電話が入り「もう帰るの?なんでもっと仕事せんのだ。そんなことやめてくれ」とわざわざ電話をかけてくる。買い上げ勤務で勤務時間は過ぎている。買い上げ時間はpm2時までと伝えたがわざわざ嫌味を言うためにかけてきたようだ。彼(担当課長)は非番日。 
  ・平成X年Y月Z日
  pm6時頃 「たった40万の実績だがや。さぼり過ぎだろ」。自主目標は20万で達成している。職場内で自主目標達成をした職員はこの月は数名のみである。月間自主目標は大幅にクリアーしている。ちなみにこの二か月間で保険実績は約80万。この実績は期間中の管内個人実績優秀順位として後に表彰されている。
  ・平成X年Y月Z日
  「ちんたら、ちんたらやるなら辞めてくれ」としょっちゅう言っていた。私はY月の実績は自主目標の約2倍近くの実績で目標突破をしている。
  ・平成X年Y月Z日
  「土曜日は全部出勤だ。冠婚葬祭以外は用事と認めん」と発言。  
  ・平成X年Y月Z日
  夕刻辺り 私に対して「たった40万の実績だがや。結局50万できんかったがや」と侮辱発言をする。ちなみに自主目標は35万。この月の実績は、自主目標を10万以上も超えており後に個人表彰を受けている。
  ・平成X年Y月Z日
  机上を片付けて帰宅をしようとすると「もう帰るの?これからアポをとれ、いつやるんだ」と怒鳴りちらす。勤務時間は終了している。時間外労働の強要。夜7時20分頃である。私は9時から勤務をしており扉を開けて帰り際にこのような発言。
  ・平成X年Y月Z日
  非番日。am10:00頃、満期OCRの押印忘れの件で注意の電話をしてくる(普通はこの程度なら非番に連絡をしない)。「処分だぞ。」と発言する。その後、この件で問責はされていない。私に根拠のない事実を伝えるためわざわざ非番日まで嫌がらせをしたことになる。  
  ・平成X年Y月Z日
  Z日が非番と伝えると「さぼるつもりか。まだ買い上げできるだろ」と買い上げ勤務を強要する。怒鳴り声で言う。局長、副局長が近くにいたが傍観をして黙っている。もうこの頃には自身の年間目標は保険、年金とも100%突破をしている。
  ・平成X年Y月Z日
  帰宅後、携帯に電話あり。「やる気がないなら辞めてくれ」と言う。夜の9時頃である。遅い時間に電話が鳴り取ったらいきなりこの発言である。この日以降は携帯電話を一定の時間からは電源を切るようになる。
  ・平成X年Y月Z日
  「休みは死んだ時だ」と私に向かって大声で言う。機動車運転中。この時もいきなりの発言である。なんらかの仕事でのミスがあったのではない。

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ここに抜き出したメモはほんの一部である。途中「頭痛、めまいの症状が発症。市販薬を頻繁に服用をすることになる」といった自らの体調の変化も並行してメモを取っていた。
  「仕事中はかなりきつかった。私自身の思考力や気力がなえていた」。「吐き気、頭痛を催す。めまいあり。もうこの頃には少し前より慢性的な睡眠不足が続く」。
  そしてある日同僚から「私の痩せ方に驚愕」したと伝えられる。
  病院で「適応障害」の診断。6ヶ月の休職を余儀なくされた。

 内部告発、そして長い闘い

報告者はこのメモをコンプライアンス窓口に送付した。そのメモの内容は上記のように時系列に沿って詳細に、なおかつ簡潔に事実関係を記してあったのが功を奏したのだろう。報告者は裁判のことなどは考えていなかったようだが、会社は身構えたに違いない。

復職後、一応管理者は以下のような手順を踏んでいる。
 1.復帰直後は2ヶ月という短い期間ではあれ勤務緩和措置を取った。
 2.パワハラに対する注意事項の社員周知を行った。
 3.人事統括との個別対話等、コミュニケーションの円滑化にあたった。
 4.パワハラに関する事実経過の調査をした。(調査文書の提示はないが、裁判等の担保資料として保管されているはず)
 5.超過勤務等の不払い賃金の精算。

1から3までの措置は厚労省のマニュアルに一応最低限従った手順だろう。厚労省の指針の範疇内でできる限りの努力をしたというアリバイ作りである。4,5はさらに万が一の裁判対策でもあろう。
  報告者はしかし復職後は当該課長とは顔をつきあわせることのない「隔離」勤務を自ら望んでいた。確かに厚労省の指針にも場合によってはそのような措置を講じるような記述がある。

会社はそこまでやる必要はなかったとの判断だったようだ。先の手順を踏んだことで万が一訴訟になっても十分公判を維持できるだろうとの判断だろう。
  ちなみに件の担当課長がハラスメント行為を続けるさなか、当時の管理者(局長、副局長)の対応は、「彼らは、傍観をして様子をみつめているのみでした。一切の注意や指導をすることはありませんでした」という。
  「先輩の課長代理をイジメつづけていたときも同様だったそうです。降格をされたその方によりますと、局長に理不尽な事実をきちんと相談をされたそうです。そのとき局長は『担当課長が正しい』ときっぱり言い切ったそうです。その後責任もとらないままに局長は退職(定年)、副局長は異動となりました。彼らの取った態度は人間として糾弾をされるべきでしょう」。

職場復帰後のパワハラを行った担当課長からの「隔離勤務」の希望について、私は「どうしてもということでしたら、JP労組以外の組合の活用」を勧めていた。しかしこれまでの会社の対応を見ると、「お一人でよくぞここまで会社を追い込まれたと思います」ともお返事していた。
  報告者からは、「私が病休期間に降格をした先輩がおります。成績不良が原因ではなく、担当課長の執拗な嫌がらせが要因です。私は決して許すことがないでしょう。今現在でも真面目に勤務をしている先輩です。人柄も温厚です。そんな人物を苦しめた担当課長を許すことができないのです」。

  報告者は未だ過重労働に苛まれ体調を崩しがちだという。
  周りは管理者を含め明らかに気を遣っている節が見られるが、件の担当課長の分まで事務仕事を負わされている現状は変わらないと。担当課長にたいして局長が業務の指示をしない。副局長も同様である。どこの職場でも担当課長のするべき業務を報告者に指示をしている。そのことが業務過負担の最大の要因であると。

最近そのことを局長に訴えたという。
  「局長に業務過負担を訴えました。組合の分会長も意見をしました。その日は局長と副局長は別室に消えました。不穏な空気でした」。
  JP労組の分会長が動いた。以前報告者はJP労組にも相談している。そのときは、「JP労組や支社の人事統括を私はまったく信用をしておりません」。
  現場にはまだまだ真摯に原則的な組合活動を行っている少なくないJP労組の役員がいることを私も知っている。しかし多くの役員は正直まったく役に立たないということも。
  今回分会長は彼のこれまでの壮絶な闘いに共鳴するところがあったのだろうか。正直私は胸をなで下ろした。

JP労組が動いたことで局内の雰囲気も少し変わってきたという。
  「本日は、局長が傍観中に、課代三人いるなかで、担当課長の勤務状況批判がはじまり、『あいつは一体何の仕事をしとるんだ、帰局後は仕事がないだろ』となりました。局長は『俺は何度も言っとる。あいつはまったく言うことを聞かん。直接言ってくれ。』となりました」 。 
  私は、「件の担当課長、針のむしろ状態なのでは?」とお返事した。

一度受けた心の傷は簡単に癒えることはない。
  「件の担当課長」は自らの業務能力の不足を部下に当たり散らしていた、そのぐらいの認識しかないかもしれない。管理者に対するきちんとした研修を怠ってきた会社の責任も重大である。このような管理者は実は郵便局では珍しい存在ではない。構造的な問題である。
  今回「針のむしろ状態」にある「件の担当課長」は自らが犯した過ちの重大さを身に染みて感じているだろうか。
  もちろんそのような状況を再生産してきた会社は、今この記事を教訓としてきちんとくみ取る能力を持ち合わせているだろうか。

彼の闘いは今現在まだ続いている。最近はまた病院で薬の処方も受けているという。
  今回この記事を公開することで、わずかでもその傷口が癒えることがあればという思いでいっぱいである。

 (文責:多田野 Dave)