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第一回伝送便カレッジ開催    (02.01)
労働 はたらくってなに?

1月27日、東京飯田橋ユースホステル会議室にて東大経済学部教授の小幡道昭氏を講師に第一回伝送便カレッジが開催された。テーマは「労働」。
  冒頭司会の池田実氏からは、私たちも日常の仕事をしていて、いったいなんのために働いているのか分からないと思うことが多々ある。改めて皆さんと労働そのものについて少し突っ込んだ議論をしてみたいと挨拶。

小幡氏はiPadをプロジェクターに繋ぎプレゼンテーションするというモダンな教授でもある。iPadを器用に操りパワーポイント並みの操作性を見せ、あるときは画面上にやおら手書きのメモを書き付けるところまでスクリーンに映し出される。分かり易い!(^^;)。

「今さら搾取論を労働の中心テーマとするつもりはない」と、いきなり会場を挑発しニヤニヤする小幡教授。正直私たちも今さら搾取というのはちょっと古めかしいと思っている。でも、まずはマルクスの資本論から基本的な労働搾取論を簡単に説明し始める教授。と、実はこれが分かり易い。iPad上に手書き文字の数字をすらすらと書き始める。

たとえば、仮に日本のGDPを労働力人口と年間総労働時間で割ると(手書きによる数字がずらずらと並ぶ)、一人あたりの時給としては、ほら、だいたい4千円ぐらいになります。みなさんはどれくらいもらっていますか?その実質賃金との差がいわゆる搾取率。
  これぐらいは中学生でも分かりますね。問題はここから。
  搾取は確かに存在するけれど、それを不正義だとして糾弾するだけでは資本主義は乗り越えられないんです。実際資本主義は今も倒れていませんよね。
  でも、資本主義は原理的な限界も持っている。

資本はこの搾取―利潤をどんどん蓄積していきます。資本の利潤蓄積運動です。そうすることで今度は「資本構成の高度化」が始まります。機械化、効率化、集中化、といったものが大規模になされるわけです。
  それは生産力を飛躍的に増大させます。ところが雇用は収縮する。労働者をどんどんリストラしますからね。これは経験上みなさんもおわかりかと思います。
  しかし利潤の源泉は労働力搾取率だから、この労働力=雇用の縮減は結果的に資本の利潤率の低下をもたらすようになります。効率化すればするほど実は儲けが減っていくわけです。

この資本主義の利潤蓄積運動自体の矛盾からいずれそのシステムは没落せざるを得ないもの、資本主義はいずれその歴史的な使命を終える、というのを歴史的必然性といいます。
レジュメ  ところが、資本主義はマルクスの時代からしてもずっと持続し続け、さらに飛躍的に発展してきました。歴史的必然性なんてどこにあったのでしょう。そこらあたりを今後じっくり分析してみたいのです。
  鍵は労働力商品化の問題。資本は労働力を商品として売買しようとしますが、普通の商品と違ってこれがなかなか上手くいかない。単純に商品化されえない労働力というものについての考察なども今後検討してみましょう。

資本主義は倒さない限り倒れない、勝手に自分から倒れたりはしないものなのだ。ヨロヨロとはするだろうけど。
  小幡教授は、問題はどういう運動をもって倒すのか、とも問う。これまでのやり方はともすれば党の独裁やエリート官僚の支配などを産み出してきたのだから、と。
  搾取されているのは紛れもない事実。ただそれを上から啓蒙主義的に教え諭すような運動のやり方はもう時代遅れ。通用しない。
  運動の作り方は難しいけれど、みんなで考えていくしかない。

とりあえず今回はここまで。教授は全体で4回ほどの講義を予定。
  次回は実際にマルクスの「資本論」の中から一部抜き出したテキストを使っての講義にします、とのこと。「そもそも労働とは?」というテーマで本質論を講義したいと。
  カレッジというよりは本格的な小幡ゼミの始まりです。

今回参集は13名と少し少なかったのですが、遠く福島や静岡からも駆けつけてくれた仲間もいました。
  また、実は小幡教授、前日までインフルエンザで高熱を出してらっしゃたとのこと。にもかかわらず無理をして参加していただき本当にありがとうございます。
  なかなか連続して抗議を受けるのは大変かと思いますが、参加者の感想も非常に面白かったとのことですので、是非次回は多くのみなさんの参集を呼びかけます。私が面白かったというのですから面白いんだって(^^;)。

(多田野 Dave)