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2月20日、新人事・給与制度学習会報告    (02.21)
東京神田公園区民館、会議室は満杯に

新人事・給与制度学習会報告2月20日、平日の夕方という時間帯にもかかわらず、少し遅れてこられた方も含めて準備した会場の席は全部埋まってしまいました。もともと30名弱キャパの小さな会議室だったのもありますが、遠方から参加して頂いた仲間も積極的に職場状況を報告して頂いて、熱気あふれる会となりました。

今回チューター役を務めたのは伝送便本体のコラム等でもおなじみの土田宏樹氏。まず最初は簡単に08年からこれまでの5年間の簡単な推移を説明します。
土田宏樹氏  そもそもこの制度はJP労組から会社に「頑張った者が報われる制度を」と要求したところから始まります。08年1月のことです。それがJP労組独自の要求だったのか、事前に会社とすりあわせた上でのものだったのではないか、とは当時からよく現場で噂になっていたものでした。

09年4月、「人事・給与制度の概要(案)」というものが会社から提示されます。これが第一次案ですが、この交渉は一旦頓挫します。現場からの反発が強かったという事もありますが、12年4月に再度交渉が開始されまでの間に政権交代があったことも微妙に影響しているのではないかと土田氏は述べます。
  この12年4から始まった交渉は、会社から再提示されたものをベースにします。3年間のブランクをおいて修正された主な点は、基本給と成果給の割合が7:3から8:2に緩和されたこと(現行は約9:1)。当初は局会社だけに創設とされていた「新一般職」がグループ全体にわたって創設。また昇給や賞与における査定幅が若干緩くなっていました。それに伴い退職金の最大格差も500万から350~400万ほどに。

これをベースにJP労組はこれまで4次に渡って要求書を上げ交渉してきたのですが、その最新の交渉結果をみると、当初の会社案からは確かにある程度の譲歩を勝ち取っています。その評価は後に譲るとして、主に変わったところは、AからEまでの5段階査定において、Eだけが絶対評価・絶対選考だけで、あとのAからDまでは絶対評価・相対選考だったものが、Dも絶対評価・絶対選考にしたこと。会社提示の資料によると、これを昨年度の実績に当てはめると、D評価はで当初の10%→約5%に、E評価者は全体のわずか1%になると。
資料  ポイント制についても一部緩和がなされ、これまで誤配をすれば減点だったのが、誤配がないと加点される仕組みも作ると。ただし交通事故による減点は重大事故で120ポイントも引かれるなどの点は変わらず。

このポイント制については伝送便2月号の連載記事などを例に土田氏も「決定的に職場の雰囲気が変わる」可能性を危惧しています。団結・連帯などという言葉は今以上に職場から蒸発してしまうことにならないか、と。

次に土田氏は、そもそもこの交渉はやはり出来レースを共に演じて見せているのではないかと提起します。
  「競争を忌避する気分が少なくとも現場段階ではまだあって、制度導入の同意を取り付けるには細工が必要ということではないか」
  現在の郵政の賃金制度は、会社の資料によればまだ民間の他社のそれと比べると格差の幅が緩い。郵政の場合、現行査定給の割合が13%に対して自動昇級は87%。それが民間他社平均だと査定79%、自動昇級分はわずか21%だとのこと。
  会社の意図はこの数字にはっきりと表れています。
  「査定を拡大し、競争をもっと持ち込むことでこれまでの職場の空気を一掃したい」のだと。
  この間JP労組のとの交渉によって会社が譲歩してきたというのは、とにかく新一般職の同入を急ぎたかったのではないかと推測します。さらに、一旦制度を導入してしまえば、そのあとに査定部分の見直し、ポイント制のさらなる締め付け等も将来的に容易になってくるだろうと。

新一般職をどう考えるか

JP労組はこの新人事・給与制度とは別立てで交渉を行っているという「労働力政策」ですが、その交渉の結果会社から出てきた資料は、新一般職の導入を前提としたものであり、結局は新人事・給与制度と緊密に連動したものとなっています。
資料  そして会社から提示された資料は驚くべきものでした。
  現状と「あるべき姿」との間の人員数は、郵便事業においては2万人以上に及ぶリストラを前提とするものなのです。
  中でも特徴的なのは非正規雇用の削減幅です。
  しかし、これはまた違った希望的解釈をも現場に流布されることにもなっています。
  つまり、正社員登用が増えるからではないかと。
  これについては会場の期間雇用社員さんからも意見があり、実際の所どうなのか、と。
  私(報告者多田野 Dave)は、去年6月4日付の記事「新人事・給与制度に仕込まれた毒まんじゅう」について、その要旨を修正するものではないと思っています。

さらに土田氏はこの新一般職の制度は、95年に日経連が出した「新時代の『日本的経営』」論をそのベースにしていることは明らかだろうと述べます。ここらあたりについては伝送便来月号に掲載されますので詳細はそちらに譲ります。Web伝送便でも後ほど紹介しましょう。

いずれにせよ、この新一般職制度の導入は、現在の正社員のほとんどを低賃金化するものであり、さらにその下に依然として41%もの不安定雇用労働者を固定化するものでしかありません。格差は小さくなるどころかさらに細かく分断されてしまうことになります。

*資料 学習会レジュメ、「新たな人事・給与制度に反対する」

JP労組第11回中央委員会報告

土田氏の報告の後会場討論に入り、参加者の中から今JP労組第11回中央委員会報告がありました。簡単なメモを準備して頂いたのでそれをこちらでも紹介しておきます。

JP労組第11回中央委員会報告メモ (PDF)

委員会全体の雰囲気は、やはりJP労組中央のこの間の交渉を評価する意見が多く、大部毒素が抜けてきたことをもってこの夏の大会で承認することが理解されたとの本部答弁でもあったようです。夏の大会での了承は時期尚早と強く意見表明したのはわずかな地本に止まったと。

土田宏樹氏状況は厳しく、この制度の導入はすでに既成事実化していっているといってもいいでしょう。
  しかし、最後に土田氏は、なおかつ闘いは必要だと述べます。
  「確かに私たちは圧倒的に力量不足ですが、だからといってこの明らかに職場に格差と分断をもたらす制度についてはきちんと反対の声を上げていくべきです。例え力及ばずとも、職場にはまだまだ抵抗が根強いということを会社に、JP労組に叩きつけることで、少しでもこの制度からさらに毒素を抜いていくこともまだ不可能ではないと思うのです。さらに、制度が導入されて以降の職場・現場から、なおかつ連帯を構築していくためのとっかかりを作っておくためにも、今後の闘いは大事だと思うのです。今からでも遅くはありません。今夏のJP労組大会へ向けて、今からでも職場・現場から反対のネットワークを作っていきましょう」。

(多田野 Dave)