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ゆうちょ職場の原状―貯金事務センターのユウウツな日々  (03.26)
JPネット大阪通信第6号(3月15日号)より転載

新年早々、職場は大混乱

2013年1月4日、ゆうちょ銀行は5次システムをスタートさせたが、過去にない大きな混乱に陥った。
  報道発表はされなかったので、郵政関係者でも知らない人は多い。「お客さまに直に迷惑をかける(例えばATMで入出金ができない等)不具合ではない」というのが、報道発表しなかった理由のようだが、事務センター(以下、JCと言う)の職場は、新年早々振り回され業務遅滞も発生している。
JPネット大阪通信  「直に迷惑」でなくとも、お客さまからの各種請求の返しが遅延する事態は起こっており、会社内部で収まるとは思えない。
  コンプライアンス上の問題はどうなっているのか。

コンプラだけではない。内部統制の面からも脆弱な組織体制が垣間見えた。
  他の職場(店舗や地域センター等)のことは充分わからないが、JCでは「半日やった仕事が、全部ムダになった」「事前の説明と全く違い処理方法がわからない。期限に聞に合わない」状況があちこちで起こっている。
  本社からの指示が朝令暮改のうえ、JC内で指示漏れがある。全国の現場で起こっている現象(不具合)が本社に集約されない、集約されないからシステム上の問題点が解明されない・・・危機管理としては最低である。

2年前にJPエクスプレスがコケた時、「リハーサルもやってないなんて、郵便会社は何やってるのか」と陰口を言ったが、そっくりそのまま、わがゆうちょ銀行に返ってきた形だ。
  言うまでもなくシステムの更改は会社の最重要課題であり、万全の準備をしていたはず。少なくともここまで大きな混乱は「5次」にして初めてであり、原因を明らかにしてもらいたい。
  業務混乱=仕事が大変という以上に、「こんなんで会社は大丈夫か」と思っている組合員も多い。その上この混乱の中でさえ、管理者から「役職者はもっと危機意識を持て」「普段から報・連・相を徹底していないからこの非常事態に動きが鈍い」等の発言もあり、期間雇用社員の中からも「その前に『システム混乱で社員に苦労かけて申し訳ない』って、管理者なら普通言うよねえ」との声が出ている。

すでに1月下旬から、遅れた業務を取り戻すため休日・非番目出勤等も始まっている。
  結局、エライ目に遭うのは現場である。

「標準化指標』という名の合理化施策

新しいシステムの惨憺たるスタートであるが、唯一の救い(!?)は、今回のシステム更改では直接の人員削減が実施されなかったことである。
  これまで、減らされた要員でシステム更改の過渡期(新旧システムが平行に動いていたりする)を乗り切らざるえなかった。JCの歴史は人員削減・統廃合の歴史でもある。

では、経営側が合理化の手を緩めているのかと言えば、そうではない。
  JCでは3年程前から『標準化指標』の取組みが行われてきた。簡単に言えば、全国11のJCで、主要業務に従事した時間を全社員が記録してJCごとの効率をはじき出し、効率の悪いJCは効率の良い他JCを見習い、業務改善を図っていこうというものである。
  導入当初は露骨に「人員削減施策」と言うはずもなく、経営側は「効率化すれば超勤が減って社員も楽になる」「余裕ができれば業務品質も上がる」等を全面に出していたが各業務の効率が「11JC中○位」と言われ出す頃から、JC内の要員配置において「××業務でこんな人数は要らないはず。他JCは△△人でやっている」「□□はワースト1だ。人を増やせない」等として、実際の業務実態を無視して退職後不補充など、要員削減がおおっぴらに行われだした。

JP労組のスタンスは原則容認、各論(運用面)で意見を言っていくといったもの。「規模の違いをどこまで考慮するか」「数字の取り方がどうなのか」「施策そのものが負担になっていないか」等々、ブレーキをかける努力もあったが、JC大合理化の引き金になるという危惧は、現実となりそうである。

「最高効率』なら、必要要員は現在比65%!

第10回中央委員会議案『付属討議資料』で示された、将来の労働力配置として、JC職場は「最高効率で算出すれば、現在比65%の要員」との、とんでもない数字が示された。
  全国のJCで3000人の剰余人数という数字である。

改めて言うまでもなく、JCも残業が当たり前の職場になっている。「せめて年間300時間に」と時間外労働の上限を労使確認しているが、2月時点で『後がない』人が社員・役職者を中心に続出。期間雇用社員の中にも200時間超は多い。
  どこをどうすれば、65%という数字が出てくるのか?

最近ひとつ、その原因(!?)が明らかになった。あるJCで標準化指標に絡み、時間数でなくブツ数報告の漏れが発覚したのだ。
  実際の仕事に加え、「数字」そのものに追われるような実態である。本社に向けて、少しでも見栄えのいい数字を報告するため、JCの管理者・幹部も必死だ。
  「経費(超勤)削減」と「処理推進」のかけ声を器用に使い分けながら、本社には、実態とはかけ離れた『標準化』の数字があがっているのだろう。

「事故」は個人の責任か?「忙しかった」「焦っていた」は禁句

経費削減と同時に処理推進を図りながら、求められるのは業務品質。究極の「事故ゼロである。
  しかし、目の回る忙しさと頻繁に変わる手続きの中で、残念ながら「事故」は多発している。
  ひとたび事故が起これば、まず「10分ルール」「4段表」「緊急事務品質向上対策会議」が3点セットだ。
  つまり、所長まで10分以内に報告し、詳細な原因を処理者・検査者・審査者ごとに検証し、原因分析と再発防止の徹底を図る。
  こう書くと、一見、当然の対応に見えるが、事務品質向上対策会議では「受入数が多く焦っていた」「病休者があって人手が足りなかった」等は禁句だ。

結局は「各個人が慎重に、確実に処理しなかった」のが事故原因であり、再発防止策の中には『要員補充』はあり得ないのだ。

また「4段表」には、「個人を責めるモノではない」と言いつつ個人名が載り、事故防止委員会に回っていく。
  再発防止を目的としているのなら、「処理者A」「検査者B」で何故だめなのか。
  この委員会の経験者は言う。「つるし上げって、こういう事を言うんや・・・」。

ちなみに、この事故件数が11JCのランクに大きく影響し、手当に反映していく仕組みになっている。
  店舗の社員からは「JCは営業目標が無くてええな」と言われるが、JCでもこの「事故」は自分と同僚の賃金に直結する問題となるのだ。
  誰も好きこのんで事故は出さない。もし事故を出してしまったら、「お客様に迷惑かけた。周りの人に申し訳ない」と、ほとんどの真面目な社員は落ち込み、反省するのだ。

ヒューマンエラーは必ず起こる。それを補う仕組みや体制を整えるのが会社として当たり前の対応であり、再発防止策ではないのか。
  しかし実態は、社員の真面目さにつけ込むかのように、「個人のミス」にのみ事故原因を収れんさせていく。
  自らの責任を棚上げにする経営側の態度に、怒りは収まらない。

(大阪貯金事務センターK)

*JPネット大阪通信第6号(3月15日号)より転載