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崩壊する次世代郵便システム    (05.01)
次世代どころかすでに旧世代システム、集配DOSSも延期か

「ゆうパックのトラブル対応で毎日帰宅は深夜一時すぎ、何が次世代だ」。これは関東のある郵便局の部長の怒りの声。

4月1日スタートの次世代郵便情報システム移行に伴うトラブルは一ヶ月経過しようという現在に至っても収束の目途さえ立っていない。
  あきれたことに今回のトラブルについて会社が報道発表したのは発生から二日も経った4月3日、それも「現在、ゆうパックに関するシステムに障害が発生しており、現時点では、大量に差し出していただいているお客さまを中心に、追跡情報サービスが一部ご利用いただけないといった状況が発生しております。復旧に最善を尽くしておりますが、ご利用いただけるまでもうしばらくお待ちください」という短い内容だった。

しかし事態はそんな軽微なものではなかった。
  各郵便局では、「再度配達希望を出したのに来ない」「集荷を頼んだのに来ない」といった苦情の嵐に見舞われたのだ。
  特に夜間(20~21時)希望の集荷、再配達希望では当日対応が出来ないケースが続出し、受託者、期間雇用社員、社員、管理者はクレーム対応に深夜までてんやわんや。ぶち切れた現場管理者が本社に怒りの報告メールを送ってもなしのつぶて、復旧の見通しさえ見えない中、現場では疲労と怒りが諺積し、厭戦気分がひろがる。

次世代郵便システムの不具合報道発表では「追跡情報サービスが一部利用できない」としたが、実際のシステム障害は多岐に及んだ。
  コールセンター受付の集荷・再配の配信トラブル、業務用ゆうパックの引受け入力不能、後納着払いの配達補助票の出力不能、代引、セキュリティ、本人限定受取、25㎏超ゆうパック、点字・聴覚ゆうパックの引受不能、複数個口割引の適用不能、取扱店での引受不能、手数料計算不能、コンビニ取集が行えない等である。

次々と発生するトラブルに、本社では原因究明どころか、その全容を把握するのさえ困難を極める。
  急場しのぎで「一旦復旧」と発表してもすぐ再演したり、また新たな箇所でトラブルが発生したりで、もぐら叩きのような対応がつづく。
  3週間経過した4月22日にも顧客からの再配受付システム(IVR)がパンクする事態が発生しまた新たな対応に追われたほどである。

業者に丸投げ、原因究明できず

本社は今回のトラブルの原因について、「新システムにデータを移行する際最初はデータの量を少しずつ流していたが、期日に間に合わないので量を増やして流したらパンクした」と説明する。
  要するに見切り発車で始動したらパンクしたということ。
  会社は懸案の旧ペリカン便系のシステムとゆうパックシステムの完全統合を来年の10月とし、そのステップとして今年4月1日からのシステム移行をスケジュール化し臨んだ。しかし何百億円も投資しシステム構築を丸投げしたIT会社が納期に間に合わせようとした突貫工事が失敗したのだ。

今回移行したシステムは、「発送管理システム」「新追跡系システム」「顧客債権管理システム」の三つ、これがそれぞれに不具合を起こし、ゆうパックすべての分野に複合的なトラブルを招いていった。
  本社は電話会議やメールでトラブルの実態把握と日々の暫定対応に追われ、原因究明と抜本的復旧には手が回らなかった。
  システム構築を業者に丸投げしたツケが回ってきた格好、復旧もすべて業者頼み、本社幹部は具体的対処方法など指示もできないありさま。
  4月9日、ついに「システム復旧の目途が立たないため当面システムを使用しない暫定運用をとる」ことを決定したのである。

本社は、システム不具合・クレーム等対応用に急きょ二勤務体制(午前8時出勤組と午後1時出勤組)を敷くことを決定、これを受けて現場でも急きょ早番・遅番制をとる局所も出た。

次世代システム移行は完全に失敗

ペリカン便とゆうパックシステムの統合は至上命題であるが、それぞれ別のIT会社が構築したシステムを一気に統合するのは時間も手間もかかるのは初めからわかっていたはず。今回その前段として移行に臨んだわけだが、現場ではシステムがどう変わるのかの事前周知も徹底されず、担当者向け業務研究会もシミユレーションも形式的に行ったのみだった。
  4月1日、担当者は今まで通り携帯端末機を操作しようとしたらフリーズ、本社に問い合わせしてもわからない、結局手作業で対応するしかなかった。

四国 4・1の変 旧集配センターでは

旧集配センター、(集配特定局)は、旧郵便支店とちがい、内務者が存在せず外務員が内務作業も行います。管理者も常勤していません。
  こんな中で迎えた4・1、まず、書留、代引、小包すべて到着入力をしなくてはならない。郵便局を通さずすべて地域区分局から直接送ってきました。中には査数も何も書いてない書留もありました。

新システムに移行したパソコンで代引等の管理票を作成、また通常郵便の受取人払い票も作成しました。本人限定郵便は集配センターに置けないため文書作成後は現物を郵便局に送り返すという手間が加わりました。
  小包の引受は全て業者ごとに特約(安い料金)で従来の差出表を見ながらシールを貼りその後でラベルで一個ずつ入力します。サイズ、バーコード、指定時間などを入力していきます。
  ところが1日、2日はシステム不能となり、パソコンで一個ずつ入力しましたが全国的マヒのため「処理中」のままとなりました。
  「こんな状態、いつ終わるのか」と言いたくなりました。

前回の宅配便統合の際にもトラブルでお中元中でシール貼りで3日間帰れなかったことを思い出しました。それが1千億の赤字につながったのです。
  今回はいっぱい、いっぱい。その上郵便局の外務員は今まで通り自分の配達のみ、内務は内務のままなので集配センターの業務の分が減った状態のまま。

この格差。その上、センターの中でゆうメイトはリーダーがいなくていいことになっているので、同じ8時間働いても格差は広がる一方です。
  すべてのセンター郵便労働者はつらいのです。 (M)

現場では、一時的なトラブルで2、3日経てば復旧すると当初は楽観視していたが、一週間経っても復旧の見通しさえたたず、2週間、3週間が経過しいよいよトラブルの深刻さが浸透していった。
  そう、次世代システム移行は完全に失敗したのだ。

さらに深刻なのは、送金にかかわるトラブルだった。
  代引ゆうパックの送金管理システムの不具合により、引受入力をせずに処理しているゆうパックが続出し、差出人からの引受情報が連携されないため、送金不能となる事態を迎えたのだ。
  代引ゆうパックには、日通由来のコレクトと呼ばれる大口代引きがあり決済は「日通キャピタル」が行っている。本来ならば送金・決済関係も統合しなければならないが、大口顧客との関係もあり、今回の「顧客債権管理システム」移行では「日通キャピタル」からの引き上げは先延ばしされた。これが混乱に拍車をかけた。
  現場では旧コレクト代引もすべて新代引システムに統合されたと思い込み、引受未入力の荷物が続出したのである。
  引受(受託)情報がシステムに反映されなければ運賃請求も品代金送金もできないことになるため、急きょ送金締め日を遅らせ、「日通キャピタル」と「ゆうパック決済センター」がそれぞれに再チェックし送金処理を行うことになった。

さらに「運賃マスタ」では支店特約運賃で外税表示される運賃が税抜きとなるトラブル、本社特約運賃で小口貨物システムにあった既存のサイズ制運賃が反映されないトラブルも発生した。
  連休明け、一体どれだけの未送金、未入金の山が出るのか、損失額は、と戦々恐々の日々がつづく。

次世代どころか旧世代

すでにヤマト運輸や佐川急便ではコレクト(代引)荷物についてカード決済が可能なシステムを採用しているが、来秋本格稼働という郵便次世代システムにはそれがない。
  ネット通販花盛りのいま、現金払いのみ可能というシステムではもはや「旧世代」と言われてもしかたあるまい。顧客離れが加速するのは目に見えている。

すでに集配部門では次世代郵便システムの一環として構築されたDOSS(集配業務支援システム)の6月1日稼働が先送りされた。
  はたして来年10月、ゆうパック関係も集配関係も統合した次世代システムの本格実施は予定通り行われるのだろうか。小さな携帯端末機にゆうパックから書留、レターパック、日々の作業時間まですべてを詰め込むシステムは素人目でもうまくいかないのではと不安が募る。
  いくつものIT会社が独自に設計構築したそれぞれのシステムをすべて統合しスタートする次世代郵便システム、ムリ、ムダ、ムラを無くすことが目的というが、JPEX破綻による一千億円赤字を大リストラで解消させたのもつかの間、それを上回る負債を抱えることにならないか。

郵便会社はトラブル原因の徹底究明を行うとともに、労働者をコストとしてしか扱わずITシステムに巨費を投じつづける姿勢を改め、今こそ「ITから人へ」の転換を図るべきではないだろうか。

(編集部)