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郵政絶望工場―「新一般職」の真実    (08.29)
有期雇用社員も正社員もさらに絶望工場へと追い立てられる

3月25日付けJP労組交渉情報。改正労働契約法に関わる有期雇用社員の5年後の待遇に関する要求についての会社側回答。「会社としては無期労働契約への転換後の労働条件は基本的には有期労働契約と同じと考えている」。
  これまで労使双方は共に「新一般職」の導入は有期雇用社員の正社員化への道を拡げると喧伝してきただろう。事実、元日本郵政齋藤社長が2012年5月に行った記者会見では、「正規社員に新しい職種を作る。〈略〉これで非正規社員も吸収できるし、経営負担も軽減できる」と。

先の会社側回答は、経営負担の軽減のみを念頭に置いたもので、有期雇用社員の正社員化はこれまで同様の制度を踏襲するとする。初年度は月給制社員からの登用。今後月給制社員制度がなくなり、有期雇用社員の新一般職への登用は時給制からの直接登用となるだろうがそのハードルは依然として高い。
  その登用コースからはずれてなお5年間経過した有期雇用社員には、会社はまた新たに「無期契約社員」といった職階の新設を考慮しているというのだ。それは、雇用の継続性は確保するがそれ以外の労働条件はこれまでの有期雇用契約のそれと変わらないのだと。

差別・分断・競争の激化

有期雇用労働そのものはなくならないしその比率も依然高いままだ。
  会社が示した労働力構成推移を見ても、その「あるべき姿」は、全体的な大幅な人員削減を図りつつ、新一般職の比率の増加と共に、時給制社員の割合も依然4割を維持し続けるというもの。
  ここでは再雇用社員も正社員枠に入れられている。先の「無期契約社員」というのもこの枠に入れられるだろう。これらをやはり広義の「非正規社員」とすると、その比率はさらに増す。つまりこれまでと変わらないということだ。
  新一般職は、有期雇用の受け皿には一切なっていないということなのだ。

であるならば、そもそもその新一般職というのは単に現在の正社員の労働条件を大幅に切り下げるというもの以上ではなくなってしまう。
  転居を伴う異動がない?今だってそんなものはない。管理職登用がない?今だって管理職になれるのは一割にも満たない。

  「あるべき姿」を具体的にシミュレーションしてみよう。
  例えば集配のある班の総人員が10名とする。課長代理(班長・副班長)2人、これが基幹社員(これまでの正社員)、新一般職3人、再雇用ないし「無期契約社員」1人、時給制社員4人。
  しかも、この各階層ごとに成果主義賃金と業績手当による苛烈な競争環境が準備される。業績手当に占める営業実績は6割、これまでなかった有期雇用社員のスキル評価にも営業項目が加わるだろう。
  各階層ごとそれぞれ一人ひとりに格差が拡げられることになっている。

JP労組の全国大会とは何か

現在の有期雇用社員の比率も変わらず、現在の正社員の待遇は一方的に大幅に切り下げられ、さらに成果給という名の競争に全職場、職種を通して追い立てられる。
  ひどい話しだ。
  しかしもっとひどい話しは、このような制度の導入が職場の圧倒的多数派の労働組合の手によって決定されていくということだ。
  JP労組内の反対運動は日の目を見なかった。日常的な現場の組合活動を形骸化させてきた、指導部の役員代行路線がそれをもたらした。一番ひどい話しは実はそのことなのかもしれない。

*初出は伝送便8月号掲載の拙文。一部加筆修正の上再掲しました。

(多田野 Dave)