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新人事・給与制度―郵便局渉外の現場から    (10.09)
選別強化、職場環境劣悪化を懸念

先般開催された日本郵政グループ労働組合全国大会で「新たな人事・給与制度」(以下新制度といいます)が妥結承認されたことを受け、日本郵政グループ各社はこの新制度導入に向け、職場周知など本格的な準備に乗り出しています。

渉外社員の新給与体系

この新制度では、まず現在の基本給が「役割基本給(現行基本給の80%)」と「役割成果給(現行基本給の20%)(*人事評価により増減あり)」とに分割され、渉外社員はさらに「役割成果給」の60%を削減し、「役割基本給(現行基本給の80%)」と「役割成果給(現行基本給の8%)(*人事評価により増減あり)」に削減されます。その代わりに営業手当を引き上げ、結果現行に比べ「基本給のウエイトを縮小し、営業手当のウエイトを拡大する」給与体系になります。
  人事評価(昇給・賞与)においても、新制度では全体的に「職務行動評価のウエイトを縮小し、業績評価のウエイトを拡大する」給与体系になります。
  営業手当はゆうちょ・かんぽ共に引き上げられ、かんぽの販売基準額が廃止される点が現場から歓迎される大きな点だと思います。

営業インストラクターの新体系

この新制度では、社員を育成・指導する役割のひとつである営業インストラクター(営業力養成センター係長を含む)の処遇(手当)も改定されます。
  まず、現行の「営業指導等手当」が廃止され「営業指導手当」が新設されます。新設される「営業指導手当」は大きく分けて「営業指導分(定額支給)」と「営業実績分(指導を受ける社員の実績などを反映)」から構成されます。さらに、エリアごとに「重点指導社員」を選定し、主にその実績や前年比などが「営業実績分(指導を受ける社員の実績などを反映)」に反映される仕組みです。
  支社の管理機能も強化されます。支社に「営業指導推進役」という、営業インストラクターへの指導技術を指導する管理職が新設されます。

「育成」の現場では

現在の郵便局には、主に地区連絡会ごとに配置されている営業インストラクター、主に支社ごとに設置されている営業力養成センターがあります。
  営業インストラクターは駐在局だけでなく、主に駐在局が所属する地区連絡会内の郵便局を日ごとに巡回し、渉外担当営業インストラクターの場合は渉外社員と同行募集し、営業活動の育成・指導を行ないます(Web伝送便13.08.28参照)。
  一方の営業力養成センターは、主に支社単位の長期集合訓練などにおいて、講義・ロープレや同行募集を通じて営業活動の育成・指導を行ないます。

その営業力養成センターの指導はまさに軍隊式で、卒業生からは「二度と行きたくない」という声も多々あります。もちろん、この訓練で学ぶこと・得るものは数えきれないほどあると思いますが、その反面過度の緊張状態にあるのも事実です。具体的には、
○ 朝礼の司会時において、声が小さかったということで「よし、じゃあ本番行こう!」などと言い、やり直しをさせる。
○ ロープレの待ち時間に「先輩達はこの時間もかばんを持って走り回ってるんだ!」などと言い、わざと中身を詰めた重たい営業かばんを持って立たせる。
○ 講義において「今お前に費やした時間で、他の訓練生の時間が奪われたんだ。どうするんだ!」というように、問い詰める。
○ 夜遅くまでの課外授業・宿題の付与など、絶対服従の緊張感に浸っているというものです。

導入後の職場環境は

この新制度の導入によって、ゆうちょ・かんぽの営業手当が引き上げられることは現場にとって歓迎されることですが、それと引き換えに基本給、さらに賞与も減額されます。
  また営業インストラクター(営業力養成センター係長を含む)の処遇(手当)も、指導を受ける社員の実績などを反映したものに改定され、「営業指導推進役」の新設という支社管理機能も強化されるため、「重点指導社員」など指導を受ける社員の選別、管理、服従・上下関係の強化によって、今以上に緊張感・プレッシャー・ストレスに浸った職場になることが想像に難くありません。
  そうした過度に緊張した職場は、強引な募集など不適正な営業活動を誘発させる危険性が高まること。また育成・指導においても、「育てやすい社員、育てにくい社員」の選別など、目先だけの育成・指導を誘発させ、社員を「育てるのではなく、使い潰してしまう」という危険性も高まります。

そもそも渉外社員の仕事は、営業にとどまらず各種手続き・受取年金の払い戻し・お届けなど、公共福祉の役割も大きなものです。それには地域に根差した信頼関係が何よりであり、今の郵便局があるのもそうした信頼関係があるからだと思います。それにはある程度の「ゆとり」が大切だと思います。
  さらに「御輿は皆で担ぐ」ものだと思いますが、同時に「御輿は軽くする」ことが原則だと思います。そうした中で「営業指導推進役」の新設というのは、「ただでさえ重い御輿をさらに重く」してしまうのではないでしょうか。

また「民営化に相応しい」というのなら、まずフロントラインではない部署(本社や支社など)や「専門役」などの天下りポスト、ファミリー企業との癒着などを整理すること。そして「頑張った者が報われる」というのなら、正社員登用など均等待遇を実現し、労働環境を改善することが何よりも重要だと思います。

(郵政産業ユニオン宇和島分会 KO)