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かんぽ生命―支社営業部長による恐怖支配    (01.21)
元王子郵便局部長時代の「功績」が認められ「詰め」は全支社管内に拡がる

2012年1月30日付けの通信文化新報。東京王子局の保険営業に関する記事が掲載されている。「王子局は今年度、13年ぶりに保険目標を達成した。それも、全国の渉外局の中で一番早い快挙だった」。
  先年の2月、その王子局の職員からの内部告発による記事を一度Web伝送便でも紹介している。この記事は王子局に不払い賃金の調査に労基署が入ったということを紹介したものだが、その王子局に関するまた新たな内部告発が届いた。以前頂いた方とはまた別の方からの告発で、「東京のある渉外局に勤める」方から、である。
  王子局の営業目標達成の裏にはやはりかなり無理をした過酷な現実があったようだ。そしてその陣頭指揮を執った管理者S元部長とは、上記通信文化新報によると、「毎日、話法研を行い、全員が数字を意識し、チーム王子として一丸となって取り組んだことが成果を挙げた」と語っている。しかしその実態はどうだったのか。頂いた報告の中からいくつか紹介したい。

自主退職に追い込む「詰め」

S元部長は「数字は人格」という言葉をよく使っていたという。逆に言えば営業の数字を挙げられない者は人格を否定されるということだ。
  低実績者に対する圧力は相当だったらしい。ノルマ達成までは計画年休の取得を制限し叱咤し続けたという。土日についても出勤を強要していたらしい。休日出勤せざるを得ないような圧力を常に受けていたと報告者の渉外社員さんは語っている。
  さらに「ヤクザのような脅し文句」で社員を恫喝し精神的に追い詰めていったと。この社員を追い詰めるやり方を渉外社員さんの間では普通に「詰める」という言い方をしているらしい。その詰め方は尋常では無く幾人もの渉外社員を実際に自主退職に追い込んだとともいう。

各局の営業の目標額は役職に応じて一人頭の目標額が設定されている。
  「つまり、一人辞めるごとに目標額が減る仕組みなので、そのために低実績者を辞めさせることで目標額が減ることになるのです」。
  S部長は意図的に低実績者を自主退職者に追い詰めていったのだと報告者は断言する。
「私の旧知の方も退職まであと一年切った時点で辞めました。強烈な詰めで四六時中仕事のことで頭がいっぱいだったようです。そして今も各局の低実績者を詰めまくって辞めさせるような指示が出ています」。

詰めの功が認められ出世

この「今も各局の低実績者を詰めまくって辞めさせるような指示が出ています」というのは、実はこの王子局で「実績」を挙げたS元部長、その後その「功」を認められ「出世」し、現在は東京支社の営業部課長に収まっているというのだ。
  そしてその肩書きを持って、「支社に出社せずに、毎日、各局へ直接訪問しています。詰めに来ているということです。基本、支社の営業部の課長という立場上、毎日のように支社に出社せずに各局に訪問というのは違反じゃないんでしょうか?支社のつての関係で認めているのか、もはや誰も止められないのかはわかりませんが・・・」ということだそうだ。

現在各局を回り始めたこのS部長は、王子時代に使った手法を同様に各局に押しつけるようになっているという。たとえば休日出勤の強要などだ。
  「直接、出ろ、とは言いませんが、土日祝日の超勤枠が二ヶ月で四回あるのですが、それをすべて使わないと『対話』というの名の詰めにあうことになります。土日祝に誰が出勤するかや当日の実績を詳細に彼(現支社営業部課長S)にメールを入れるやり方をやっていたため、どの日に誰が出勤していたかは明確に把握できているでしょう。しかしこれ、本来、支社の営業部の課長の仕事とは思えませんが」。

同様に超勤強要も各局で「指導」されている。
  「各局に割り当てられる超勤時間に対する予算は決まっていますが、どんどん超勤を使えと言います。これ自体は問題はありませんが、一昨年、王子局で実際に超勤管理の不正の件で労基署に入られた経緯もあり、現在は立場上『違反しろ』とは確かに言いづらいのだろうと思います。しかし、すでに各局に割り当てられた超勤に対する予算は年間のペースを相当上回っているのです。これも今後、どうするのかはわかりませんが、たぶん、各局の現場の部長を詰めるしかないのだろうと思います。予算が足りなくても『何とかしろ』と言い出し、無理難題を押し付けてくるのではないかと思っています。こういう無茶な詰め方をするのがSなのです」。

社員を使い捨てにするやり方

「この10月で担当課長や課長代理など、東京エリア管轄で特に低実績者職員が前年より多く退社されています。このS東京支社営業部課長が各局をまわり、過度な詰めで退社に追い込んだのではないかと思っています。もともと、自分の評価を上げるのには手段を選ばない人間ですから、職員が一人退社するごとに局の数字の目標額が下がり、その局の目標達成に近づくのですから、低実績者を詰めて、精神的に追い詰め、一つでも多くの局の目標を達成させ、支社の営業課長としての自分の評価をあげようという考えなのだと思います」。
  報告者は、「そもそもなんでこのような管理者を現場の局の部長から支社の課長に昇進をさせる」のかと憤る。

王子局での実績は結局は上記のような強引なやり方と社員を辞めさせるまで「詰める」という手法で成績を上げてきたわけだが、支社に上がってからはその手法を東京支社管内全局に広げたというわけだ。現場での異常なパワハラ、違法営業、ずさんな勤務時間管理、結局はこれらは東京支社として半ば組織的に公認し、推奨さえしているということではないか。
  ただ、その後報告者からは新たな情報が寄せられた。
  「S支社営業課長のあまりの傍若無人ぶりにとうとう各局の局長の連合と支社長あたりなどから厳しく抗議があった模様です。それで現状はだいぶおとなしくなったのですが、それでもまだ軍隊式に発破をかけるような所は残っています」。
  部下に対する精神主義的な指導方法以外はそれを知らないということなのだろう。

(文責 多田野 Dave)