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目に見えて格差が増大する新人事・給与制度    (06.11)
足の引っ張り合い制度 (伝送便6月号記事より転載)

4月から「新人事・給与制度」が導入されました。すでに4月、5月の給与は支給されていますが、給与減額に驚いた社員も多いのではないでしょうか。給与減額の仕組みと業績手当ての問題点を明らかにします。

まず減額の内訳は以下の通りです。
  4月の給与では基本給の一部がカットされました。長崎中央局勤務の社員では1万3,100円です。これは基本給の中に郵便業務調整額というものがあり、そのうち2千円以外は業績手当ての原資となったからです。
また合わせて連動する調整手当も減額されています。営業・業務系の「区分能率向上手当・内外業務精通手当・配達能率向上手当・内外業務支援手当・外務業務手当・営業手当」が廃止され、新設される業績手当ての原資となります。
  なお4月に支給された上記の手当は3月分の実績です。これらの手当は4月からは業績手当となり、翌々月(4月分は6月、5月分は7月に支給)の支給となります。そのため5月の給与は上記の各種手当(私の場合約3万円)が支給されません。その代わり5月のみ業務調整額のカット分1万3,100円が支給されています。

頑張っても結果が出なければ

業績手当を始めとする成果給の導入は(新)一般職の新設と共に、これまでの年功序列的人事・給与制度を大きく転換させるものです。
  この「新人事・給与制度」導入に当たって、組合との交渉の中で会社は「総人件費は変わらない。頑張った社員が報われる制度」とした、と回答しています。このことは何を示しているのでしょか。以下、問題点を明らかにします。

この表現、一見人件費が削減されるわけでなく、頑張った社員に与えるだけで(他の社員は)今までと変わらない、と思えます。しかしこれはマヤカシです。
  本当の意味は、頑張ったけど結果が出なかった社員も含めた、その他の社員の手当をカットした分を、頑張った・成績として表に現れた社員に与えるということです。
  実際、年収シュミレーション(業績手当は平均額を使用)では、これまでに比べて年収が約1万3千円下がることが分かりました。平均的な成績では年収ベースで減額されるということは、他の社員から手当(業績手当)を分捕らないと自分の(現在並み)年収が確保されないということになります。

年間数十万円もの格差

さて頑張った社員に多く支給されるという業績手当は営業と業務の二つからなります。
  業務の手当の仕組みは「要員数に応じて決定した原資を、郵便局、班、個人の業績に応じて順に配分する」ものです。このうち個人への配分は、原資額の50%が「業務量、品質」、50%は「役職、役割、勤務実績」に応じて分配されます。この「業務量、品質」の基礎ポイントと加減算ポイント(班長特別ポイント)が問題です。

通配区では当日の配達物数を実働時間で割って、一分当たりの配達物数をはじき出し、最低2ポイント(以下P)から最高10Pまでの間で付与されます。
  長中局で班の業績日報をチェックしたところ、通区中を除き23回中10Pが2回、4Pが一回で残りはすべて2Pでした。

一概にはいえませんが、各区の基準物数の見直しを行わないと、通配区担当者はほとんど2Pとなる可能性が高いです。
  ちなみに混合担務は物量に関係なく6Pです。また班長特別Pはどうしても恣意的な付与となる危険があります。

その結果、毎日通配区で2PだけのAさん(班長P 、0の場合)と、混合担務が中心で班長Pも毎日きっちり獲得できたBさんとでは月に150P前後の差がつきます。1P100円と換算しても1万5千円もの差となります。

営業の手当はある意味実績が反映されるものですが、その分支給額に大きな差が生まれます。たとえば、獲得Pが5PのAさんと50PのBさんとでは、仮に1P当たり4百円だったとするとAさんは2千円、Bさんは2万円となり1万8千円もの差がつきます。

不毛なポイントの分捕り合戦

さらに問題なのは、班に配分された原資を獲得Pに応じて分配する仕組みです。
  この仕組みだと、班の総P数で単価が変わるため、ポイントを多く獲得しても個々人の手当の増額には直結しません。それどころか班内に大量に獲得した社員がいれば1P当たりの単価が下がるため、自分がどれだけ頑張っても手当額は低いまま。
  極端に言えば一番の社員だけ多く支給され、他の社員は全員低額ということも起こります。一番の社員も今後ずっと一番でなければ平均額は保障されません。

またポイントの分捕り競争となるため、足の引っ張り合い、誤魔化し合いということも起こります。JPCC事案となるとポイント減となるため、誰も認めない。交通事故となるとさらに大きなポイント減となるため、(自分で弁償し)事故報告しない、労災隠しとなる危険性もあります。
  一番の社員はずっと走り続ける必要があり、その他の社員は「彼(一番の社員)がいなければ平均的に支給されるのに」と思う仕組み。この制度でモチベーションが上がる社員がどれだけいるでしょうか。

(郵政産業ユニオン長崎 向井)