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広島福山郵便局で続くパワハラの数々    (01.07)
緊急レポ―福山局の惨状

恫喝して営業を強要

12月10日の福山局集配部の朝礼で、部長は「営業がないなら早く帰ってもらってよい。営業をしないと福山局の原資(予算のことか?)が下がり、社員の給料にも影響する」と発言した。
  配達を終えたら誰だって早く帰局したい。ところが福山局では「営業の実績が上がっていないと帰りにくい」という雰囲気があり、ついつい帰局が遅くなる。
  寒い中、仕事が終わっているなら誰だって早く帰りたいし、安全面からもそうすべきだろう。それなのに帰れない雰囲気があるのは何故か。部長の言葉にあるように、営業をしていないと、いや正確には実績を挙げていないのに帰局すると、悪いことをしているような雰囲気があるからだ。

部長の発言は矛盾に満ちている。いつから各郵便局は独立採算制になったのだろうか。
  正社員の給与は労働組合との協約・給与規定に定められており、福山局が独自に決めることはできない。部長は正社員に支給される「営業手当」の事を言ったつもりかもしれないが、同じように営業をしても、契約社員にはそのような手当は付かない。
  正社員の手当にしても、立て前としては班およびチームの実績と個人の実績によって支給されることになっているが、引き受けや集荷の多い大局の社員には、個人の営業実績に関係なく多く支給される傾向にある。

部長の発言は、単に社員を営業に駆り立てるための桐喝である。責任の大きい人にはもう少し責任を持った発言をしてほしいものだ。
  早く帰ったら営業ができたのかしつこく問われるので、ついつい帰局が遅くなる、というのが実態だろう。福山局の社員は不幸である。

営業を利用したパワハラ

この部長発言には伏線があった。朝礼の前日、ある班長(課長代理)が、班員が営業レポートに前日の年賀営業の訪問件数を1件と記入したことを取り上げて「1件とはどういうことか、書留も多かったのに」と叱責した。
  書留の配達の際に声掛けができただろう、と言いたかったようだが、「特定商取引に関する法律」は訪問時にはその目的を告げるように定めている。書留配達のついでに営業は、法の趣旨に反している。社員がそう主張すると「5秒もかからない」とのトンチンカンな返答。
  ちなみに同法はクーリング・オフについても定めているが、そのような周知はない。

班長の目的は社員に営業をさせることにある。それならそのような話し方があるはずだが、班員の前で特定の人に指摘したということは、みんなの前で恥をかかせることによって、圧力をかけようとの意図が伺える。世間はこれをパワハラという。職責を利用して社員に無理なことを求めているからだ。
  コンプライアンス違反を指摘されても無視したことも問題である。営業の怖さは実績が全てで、実績のためには何をやっても許される、逆に実績を上げないと何を言っても相手にされない、という雰囲気が作られる事にある。

スキルダウンを狙った班替え

福山局のパワハラはさらに続く。
  契約社員に対して、帰局が遅いことを指摘した上で「(局から近い)市内の班に変わるか」と班替えを匂わしたのだ。
  遅い時間の帰局は、暗くなって危険だという。いかにも社員の事を心配しているようだが、本音は違う。班を替わることは「通区数」がリセットされてスキルがダウン、つまり時給が下がる。
  この社員は即座に断ったのだが、班替えした社員のスキルについて会社は、「集配部長が元の班の区へ配達に行く必要があると判断したら」元の班での通区数もカウントしてスキル評価を行うとの見解を示している。要は、評価は部長の判断でどうにでもなるということである。
  「あなたのためになる」との甘言を信じていたら、賃金が下げられた、という事になりかねない。

こうした評価制度を悪用して、会社は意図的にスキルをダウンさせて、人件費の削減を行っている。特にスキルがAランクの時給の高い人が狙われている。また、「総合評価(10項目全部○で10円)」を一律△にした局もある。
  その他、誤配があれば「正確に仕事ができていない」ので「習熟度無し」。営業をしないと、上司の指示を理解していない。交通事故をすると、「バイクを丁寧に扱っていない」等々、いくらでも難癖をつけて△評価や「習熟度無し」にできるようになっている。

そもそも帰局が遅いのは、業務量に対して要員が不足し、一人分の業務量が過重なことに原因がある。必要な人員を確保することこそ会社の責任である。それをせずに、社員の時給を下げて、その圧力で働かせようというのは、間違っているし、労働安全についての会社の責任の放棄である。

ブラック郵便局

今年度の年末繁忙のアルバイトの募集が行なわれた。会社のHPには、各局の募集人員・時給・勤務時間や休暇等の労働条件・仕事の内容などが掲載されている。
  ところで県内の多くの郵便局は「年賀の区分・道順組立」としてバイトを募集したが、時給が750~60円となっていた。
  周知のように、県の最低賃金は、今年の10月から750円に引き上げられた。日本郵政は、別に県最賃プラス20円を郵政最賃として独自に設定している。従って、県内の郵便局の賃金は770円以上でなければならない。これは長期の契約社員はもちろん短期のバイトにも適用される。
  こうした局は、自らの最賃を下回る時給で堂々とバイトを募集している事になる。恥ずかしくないのだろうか。
  誰だって人を雇う以上出来るだけ高い賃金を払ってやりたいと思うものだが、郵便局は違うらしい。
  この様な企業に労働者を雇用する資格はない。案の定、こうした局は12月末までバイトを募集していたが、応募者が少なかったのだろう。既に郵便局は社会から見放されている。会社が気づいていないだけなのだ。

最高裁へ行こう

福山局の過去のパワハラについては、裁判でその責任が問われることになった。
  一審では元課長代理の暴言については、その不法性を認め、会社の管理責任と合わせて、損害賠償の支払いを求めた。被告浜本第一集配課長(当時)・末田総務部長については、その不法性が認定されなかったが、それは損害を賠償する程度に不法ではない、と判断したのであって、広島高裁での控訴審の判決では、浜本課長が交通事故現場で言ったことについて次のように述べている。

「本件事故現場での注意は、少なくとも、控訴人(原告)が主張する趣旨のものであったと認めるのが相当である」として、原告の主張を採用し、「事故の責任が控訴人にのみに有るように述べる点に於いて相当性を欠くと言うべきであるが、事故の防止が会社の重要な課題である事、非控訴人浜本の行為としては、控訴人の不注意に対する指導ないし叱責として、許容される限度を超えたもので社会的相当性を欠くとまでは言えない。」と微妙な表現をし、相当性に欠けるが、不法行為に当たるとまでは言えない、としている。
  同様に、浜本・末田被告が休憩室で退職の話をしたのは、「3人のやり取りが15分程度に及び、また、休憩室の外にいた他の従業員に聞こえる程度の大きさの声でされた事が認められる」と、この点についても原告の主張を取り入れている。

このように控訴審では、被告の主張を何点か採用している。ところが、それらが損害賠償を命じるまでに違法とは認定されず、判決としては「控訴棄却」という内容となった。

この裁判について、ユニオン呉支部は、最高裁に上告する事を決定し、既にその手続き(上告受理申し立て)を終えた。
  最高裁のハードルは高いことは、十分に承知しているが、裁判提訴後も福山局でパワハラが続いている状況を最高裁にアピールすること、郵政の非正規労働者の現状を最高裁に訴えることで、「65歳雇い止め裁判」「労働契約法20条裁判」などの他の裁判にも、有効になると判断したからだ。

(郵政ユニオン呉支部機関紙12月24日号より転載)